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40代こそ転職するなら企業研究ノートを作れ!面接時に役立つまとめ方とは

新卒時の就活などで、自分なりの「企業研究ノート」を作ってから応募するよう、指導を受けた経験はありませんか?

企業研究ノートは、どちらかというと社会人経験が少ない学生向けの転職対策に思えますが、実は40代以降の年代にも有効なものです。

年齢が高くなるにつれて、中途半端な気持ちで転職するのは難しくなります。

自分の経歴・スキルを効果的にアピールするだけでなく、それを受け入れてくれる業界・職場探しをするためにも、企業分析は重要なファクターです。

実際に一人の求職者として企業研究を行おうとすると、圧倒的に情報が足りないことに気付くことでしょう。

業界についても同様で、経験の有無を問わず、分かっていないことが多々あるはずです。

そういった「分からないこと」に向き合うのが、40代以降の転職には求められています。

しかしながら、一定の年齢を経てしまうと、どうしても「分からないでは済まされない」ことが増えてきます。

この記事では、そんな転職活動・企業研究の「分からない」ことに少しでも近づくために役立つ、企業研究ノートのまとめ方についてご紹介します。

 

基本的な企業研究ノートの作り方

企業研究ノートの作り方には、厳密なマニュアルがあるわけではなく、様々な方法・まとめ方があります。

しかし、多くの場合は型を体系化でき、それらを複合したものもあります。

どれが正解ということはありませんが、それぞれの型の特徴を押さえておくことで、分析に活用しやすくなります。

まずは、主な型やその中で使われる項目について、以下の通りご紹介します。
 

チェックシート型

企業の情報について、特定の項目ごとに情報をまとめるのであれば、チェックシート型が便利です。

具体的には、以下のような項目をまとめて、企業分析に用います。

  • 設立年
      
  • 資本金
      
  • 売上高
      
  • 従業員数
      
  • グループ企業
      
  • 主要取引先
      
  • 離職率
      
  • 上場の有無/株式公開など 

これらの情報は、書類作成・面接時に役立つというよりは、その前段階として「転職してもよい会社かどうか」を最低限見極めるために用いられます。

例えば、資本金の多さ・売上高の大きさで企業の経営状況がある程度分かりますし、中小企業であっても取引先が大手なら安定性が高いと判断できるでしょう。

新卒者の場合は、働きやすい環境かどうかを確認する上で、離職率も重要なファクターとなります。

このように、企業の大まかな情報をとらえようとする場合、チェックシート型は役立つことが多いでしょう。

しかし、これらの情報はあくまでも表面上のもので、しかも企業規模によっては十分な情報が手に入らないおそれもあります。

企業がコーポレートサイトを用意しているとは限らないため、チェックシート型では企業分析が難しいケースも往々にして存在することを、分析前に頭に入れておきたいところです。
  

グラフ型

企業研究の内容を数値化して、グラフなどの形で示すタイプのノートです。

先にあげたチェックシート型の情報があれば、それを数値化して、候補となる企業の情報を比較・検討できるメリットがあります。

面接に向けた自己分析に用いるのであれば、一つひとつの企業に対して、自分の動機を掘り下げるための方法の一つとして用いることもできます。

具体的には、自分が応募先となる企業に対して感じる「バリュー」と「オリジナリティ」を軸に、以下のようなマトリクスを作成するイメージです。

文章・数字だけを羅列してまとめていると、次第に自分の考えが飛躍し過ぎてしまったり、逆に迷路に迷い込んだりしてしまうおそれがあります。

グラフ型の手法を取り入れると、自分の考えの着地点を決めやすくなるでしょう。
 

論述型

とことん自分の考えをまとめたいのであれば、論述型のノート作りも役立ちます。

企業側の情報を深く掘り下げるためには、どうしてもロジックと向き合わなければなりません。

掘り下げる方向性としては、以下のようなものがあげられます。

  • 企業の主力商品/サービス
      
  • 業界のシェア ・事業展開(新規事業立ち上げ/特に注力している分野 など)
      
  • 代表のメッセージ/社風

これらの情報と、これまで積み重ねてきた経験・スキルとを付け合わせながら、自分が貢献できる範囲・興味を持てる業務内容について思考を積み重ねていきます。

40代という年齢を考えると、仮に役職者として採用された時、どこまで即戦力として能力を活かせるか具体的にイメージをふくらませることも大切です。

例えば、企業の主力商品/サービスをテーマに論述するのであれば、以下のような形で小テーマを決めて進めていきます。

  • 事業は多角的に進められているか、それとも一極集中型か
      
  • 企業としての強みと、それゆえの弱みは何か
      
  • 競合となる相手はどこか、どのくらいの事業規模か
      
  • 応募先が独自に持っているリソースは何か
      
  • 差別化できる点はどこにあり、それは自分の入社によって実現できるレベルのものか
      
  • 顧客層と自分のキャリアは相性が良いか

情報だけをノートにまとめるのではなく、自分のアイデア・推測も含めて書き出しながら、自分が貢献できる範囲を絞っていく作業になるでしょう。

よって、論述型ノートは、じっくり腰を据えて転職活動したい人向けの方法です。
  

複合型

ここまでお伝えしてきた方法は、単独で行うよりも、それぞれを組み合わせた方が効果的です。

企業情報の概要はチェックシートでまとめ、それらをグラフで比較検討して応募先の順位付けができたら、気になる部分を論述していく、といった具合です。

実際にノートに書き出すだけでなく、Excelなどを使って項目別にまとめると、グラフ化もしやすいので効率的です。

型にとらわれず、まとめやすい方法を選ぶことが、限られた時間を有効に使うことにつながります。
  

40代の転職における、企業研究ノート作りの課題

先にお伝えした企業研究ノートの作り方は、あくまでも基本的なものであり、問題はまとめ方ではなく「情報・分析の質」です。

そして、40代の転職において、応募先を満足させるアピールをするためには、内定・採用につながるレベルまで掘り下げてリサーチができるかどうかが重要になってきます。

ただ、どの企業でも自分が望むような情報を集められるとは限らず、四季報で詳しい情報を確認できない企業も珍しくありません。

満足のいく企業研究ノートを作るためには、以下にお伝えする課題について自覚した上で、情報を集める・まとめる必要があります。
  

求める情報が分からない

企業研究を始める場合、まず何を知るべきなのか分からなければ、ノート作りのスタート地点に立てません。

型通りにチェックシートを作り、情報を集めるだけでは、新卒レベルのノートしか作れないでしょう。

実際のところ、同じ業種・職種で働いている人でも、そのキャリアは様々です。

自分が今までに培ってきた、限られた経験の中で、企業に対してアピールできるものを探さなければなりません。

また、自分が企業に求めるものによっても、重視するポイントが変わってきます。

つまるところ、誰かと同じような企業研究ノートを作っても、まったく参考にすることはできないのです。

にもかかわらず、いざ情報収集を試みた時に、自分が求める情報が何なのか分かっていないケースも少なくありません。

単純に、事業規模や売上高について調べるだけでは、その企業に勤めて「安全か」どうかが多少分かるだけで、そこで「どう貢献できるか」には結びつかないはずです。

40代からの企業研究が難しく、また40代にとって企業研究をすべきである理由は、自分にとって得るメリットのある企業情報を「見極める」必要があるからです。

どんな情報を集めれば、自分にとって有利に転職活動を進められるのかを見極めることが、最初の課題になるでしょう。
  

求める情報を得られない

自己分析ができて、自分にとって必要な企業情報が分かった時、次に問題となるのが「どうやって欲しい情報を手に入れるのか」です。

どの企業も、自社にとってアピールしても差し支えない情報に絞って紹介するのが基本ですから、なかなか欲しい情報にまで手が届かないのが実情かもしれません。

一例として、企業の離職率を確認できる術は限られており、四季報であれば上場企業クラスまでが限度です。

しかも、情報が開示されていない場合もあり、未上場企業だとさらに情報を得るのが厳しくなります。

検討している企業の強みを研究するにあたって、どのような商品・サービスが最近人気なのかを探る際も、かんたんに・身近な場所で十分な情報を集められるとは限りません。

業種が同じなら、ある程度当たりを付けてリサーチできるかもしれませんが、まったくの異業種・地方の中小企業となると、自力でのリサーチはそれだけ難しくなります。

もちろん、転職エージェント経由で情報を得るなど、プロの力を借りる方法もあります。

ただ、自分が重視している情報にアクセスできるかどうかは、キャリアアドバイザーとの相性にも少なからず左右されます。

そういった事情から、情報不足でリサーチをあきらめ、一部の企業を断念する可能性が出てきます。

求める情報が分かっても、それを調べる術がなければ、そこで企業研究の手が止まってしまうのです。
  

質問・疑問が生まれない

企業研究を続けていく中で、情報の不足に気付くと、それを埋めていく必要性が生じます。

しかし、同じ業界での転職など、慣例・慣習などをよく知っているフィールドにいると、新しい疑問が生まれにくくなります。

過去に経験のある業種・職種の場合、当たり前に理解できていることを疑うのは、意識しなければ難しいものです。

例えば、一部の業種に対してブラックな印象があると、それを「仕方ない」と受け入れてしまう例が該当します。

そのような思い込みは、純粋に企業情報を分析する上で障害となります。

本来ならもっと自分の希望に合った業種・職種などがあるはずなのに、過去の経験がかえって可能性を狭めてしまうのです。

新卒時の就活と違い、ベテランになればなるほど、フラットな発想が生まれにくくなります。

この点を理解し、自分の思考の壁を踏み越えられるかどうかが、企業研究ノートの出来にかかってきます。
  

企業研究で知らないことを知るための「転職の技法」

40代が企業研究を進めるにあたり重要なことは、知っていること・知らないことの幅を広げていき、知らないことを徹底的に洗い出すことです。

そのためには、自分が応募しようとしている企業について、どこまで知っているのか・何を知らないのか深くリサーチすることが重要です。

調査する方法は様々ですが、まずは「知らないこと」を把握しないことには、それを知ろうとして行動することはできません。

今回は、その方法の一つとして、読書猿さんの著書・独学大全より「ラミのトポス」という技法をご紹介します。
  

ラミのトポスとは?

まるで古代の暗号のように聞こえる「ラミのトポス」ですが、もともとはギリシアの古代弁論術のトレーニングに用いる格子のことが「トポス」と呼ばれており、古代ギリシア語では場所という意味です。

そして、ラミのトポスという名称通り、これはフランスのベルナール・ラミという聖職者・数学者が用いていた手法です。

一般的なビジネスの現場で問いを構築するには、例えば5W1Hのような方法が知られています。

この方法は、より細かい・具体的な問いに対する解を探るためには有効かもしれませんが、自分が知りたい問題について詳しく知らない状況では、あまり役に立ちません。

特に、企業というものはその諸々の側面を知り、それらすべてを考え合わせてからでないと、全容が見えにくいものです。

しかし、ラミのトポスを使えば、これから学ぼうとする・知ろうとする分野・トピックを明確化するために有効です。

以下に、具体的な作業手順をお伝えします。
  

自分が分からないこと、または知りたいことについて、次の問いをぶつけて、自問自答する

  • 類(___は何の一種か?)
  • 種差(___は、同じグループの中で他とどこが違うのか)
  • 部分(___を構成する部分を列挙すると?)
  • 定義(___とは何か?)
  • 語源(___の語源は?)
  • 相反(___の反対は?)
  • 原因
  • 由来(___を生じさせる(た)ものは?)
  • 結果
  • 派生(___から生じる(た)ものは?)

※出典元:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 
 

ラミのトポスを用いる際は、対象を徹底的に掘り下げるため、対象に複数の問いをぶつけていく作業が必要です。

この段階では、まだ何を問うべきかが分かっているだけの状態ですから、ここから自分なりに答えを用意していかなければなりません。
  

②自分だけで調べられる問いには答え、調べる必要があるものは後で調べておく

ラミのトポス(問い)その答え
類(___は何の一種か?)  
種差(___は、同じグループの中で他とどこが違うのか)  
部分(___を構成する部分を列挙すると?)  
定義(___とは何か?)  
語源(___の語源は?)  
相反(___の反対は?)  
原因・由来(___を生じさせる(た)ものは?)  
結果・派生(___から生じる(た)ものは?)
※※出典元:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 

  
実際に自己問答を行う際には、表を使って情報をまとめていくと分かりやすいでしょう。

Excelや方眼ノートなどを使い、自分なりのレイアウトで情報を整理していきます。

ただ、これだけの情報では、具体的な掘り下げ方が見えてこない人も多いと思います。

そこで、今回は牛丼チェーン店として知名度の高い吉野家を例にとって、サンプルとなる考え方をご紹介します。

もちろん、今回お伝えする内容だけが正解ではありませんから、自分だけの答えを見つけて欲しいと思います。
  

サンプル:株式会社吉野家

ラミのトポス(問い)その答え
「吉野家」は何の一種か?  牛丼を主力とする外食チェーンストア
吉野家は、同じグループの中で他とどこが違うのか  グループとしては、同じく牛丼を主力とするチェーン店と比較する形になる ・牛丼チェーン店の中で味を比較すると、スタンダードな味に仕上がっている ・歴史は他の牛丼主力チェーンよりも古く、創業1889年 ・もともとは、焼き豆腐・たけのこも具として含まれていたが、客が「牛肉を食べている」という点にフォーカスし、現在の牛肉・玉ねぎという具材にまとまった ・老舗という点で、メニューの多角化は遅かった印象 ・牛丼に特化したメニュー構成 ・M&Aにより他の飲食店事業を傘下に ※(はなまるうどんグループなど) ・BSE問題によって新メニュー展開を余儀なくされた
吉野家を構成する部分を列挙すると?  サイズを選べる牛丼、牛皿 ・「つゆだく」などの裏オーダー ・豚丼、マーボー丼など牛丼以外のラインナップ増強 ・レジ払いによる店員、客とのコミュニケーション重視の姿勢 ・海外でも高い知名度(アジア各国、アメリカに出店)
吉野家とは何か?  牛丼のほか、各種ご飯ものを売るファストフード店
吉野家の語源は?  創業者の松田栄吉が大阪の吉野町出身だったため
吉野家の反対は?  (メニューの種類という観点から)ココス、ガスト、ロイヤルホストなど ・(メニューそのものの違いで、外食チェーンとして単品特化しているという観点から)CoCo壱番屋、マクドナルドなど
吉野家を生じさせる(た)ものは?  もともとは東京・日本橋の魚市場で、魚河岸で働く職人たちを相手に、滋養のある牛丼をお腹いっぱい食べてもらいたいという想いから生まれた ・関東大震災、空襲、破産という多くの壁を乗り越える過程で、味にこだわり吉野家ブランドを構築した
吉野家から生じる(た)ものは?「うまい、やすい、はやい」のキャッチコピー ※(デフレ下では並1杯280円の時代も) ・人材重点主義 ・特化型のメニュー開発、品目展開
※出典元:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 

  
筆者が吉野家についてリサーチを試みたところ、上記のような情報が目に留まりました。

仮に、アルバイトからキャリアを始めるとしても、これらの情報が頭に入っているのとそうでないのとでは、仕事へのモチベーションが変わってきます。

単純に、売上高や離職率を調べるだけでは、企業の全容は見えてきません。

企業が生まれた背景・遭遇したトラブルなど、企業経営の脇にある情報を紐解いていくことで、そこから新たな問いが生まれます。

もし、自分の学歴にコンプレックスがあって、そこから現職でアルバイトから正社員になった経験があるなら、人材重点主義を持つ吉野家でもチャンスが得られるかもしれません。

ミスター牛丼と名高い吉野家ホールディングスの安部修二会長は、アルバイトから成り上がった異色の経歴を持っています。

参考記事:ミスター牛丼、原点はバイトの賄い飯 吉野家HD会長 

このように、脇の情報を押さえていくと、自分と企業との間にある共通点が見えてきます。

もちろん、これは吉野家という世界的大企業だからこそ、これだけの情報が集められたという点は否定できません。

自社サイトさえ持たない中小企業をリサーチしようと思ったら、ここまで掘り下げるには足を使わないと情報は集まらないでしょう。

さらに言えば、筆者が知らないであろう背景はまだまだたくさんあるはずです。

他の外食チェーン店で働いてきた経験のある人なら、より濃い情報に当たることができるかもしれませんし、その中でやはり「知らないこと」の壁に突き当たるはずです。

知識の不足を補完する意味では、企業とのパイプが強い転職エージェント・キャリアアドバイザーと連携して活動した方が、情報収集は楽になるかもしれません。

ただ、最終的に自分なりの企業研究ノートを作り上げ、書類作成や面接に活かそうと思うなら、自分の考えが載ったものを作った上でアドバイスを求めたいところです。
 

おわりに

40代ともなると、面接の場面で「知らないこと」が選考に響いてしまうリスクは避けられません。

即戦力になれるかどうかを判断するために、面接官の質問も厳しいものになりがちですし、自分が企業風土に合う人間かどうか推し量られる場面も少なくないでしょう。

知らないという事実に向き合って、自分の作成した企業研究ノートをプロに見てもらうことで、自分に欠けている情報が見えてきます。

しかし、自分と向き合って問いをまとめなければ、実のある答えは得られません。

面倒に思える作業かもしれませんが、何かを学ぶこと・知ろうとすることは、決して無駄になりません。

あなただけの問いを用意して、企業研究に臨んで欲しいと思います。

自分の頭で考えるためには、まず「問い」を立てることが重要です。

知らないことを知ろうとすることで、企業との距離がどんどん縮まっていくはずです。


◎参考書籍

この記事を書いた人
オンラインスキルマーケット「Coconala(ココナラ)」にて各種ライティングに携わる。会員登録後半年で確定申告を検討するほど収入が増え、1年後には個人事業主として登録。経理職として幅広い業種への転職経験があり、人事系コラムの執筆も行っている。

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