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40代の職務経歴書の書き方は、サンプルよりもワードセンスが重要と心得よ

40代が転職市場を勝ち抜くためには、40代だからこそアピールできるポイント・経験を、職務経歴書にしっかりと落とし込む必要があります。

特に、インターネット上で比較的自由度の高いフォーマット・サンプルがかんたんに手に入る職務経歴書は、その分だけ「刺さる」アレンジが重要です。

職務経歴書を書く中で、これまでに自分が経験してきたことを整理していくと、書類選考通過後の面接でのやり取りにも説得力が増します。

また、応募先の企業が求めるキーワードで自己PRを作れば、他の応募者とアピール面で差を付けることができます。

とはいえ、自分のことをポジティブに表現するのは、どこか気恥ずかしさを感じてしまう人もいることでしょう。

そういった態度は面接官に見抜かれますから、自分が読み直して説得力を感じる表現を工夫したいところです。

人間社会は、一見複雑なように見えて、実はワードセンスで解決できてしまうケースも少なからず存在しています。

この記事では、40代の職務経歴書の書き方に焦点を当てて、適切なサンプルの選び方・ワードセンスの磨き方についてお伝えしていきます。

職務経歴書の書き方でよく見かけるテンプレートと選び方

職務経歴書は、履歴書と違って形式の自由度が高いため、自分のキャリア・長所を相手に分かりやすく伝えやすいものを探す必要があります。

もう少し具体的に言うと、応募先が一番知りたい情報に焦点を当てて構成するためには、どの順番で自分のキャリアを紹介するのかが重要になってきます。

主なテンプレートの種類は以下の3つであり、応募者はそれぞれのメリット・デメリットを理解した上で作成に臨む必要があります。

履歴書とパッケージングされて売られている手書きのものを使うこともできますが、書ける文字数や行数に制限があるため、Wordなどのワープロソフトを使って作成することをおすすめします。

編年体形式(時系列順)

自分が社会人となってから現在に至るまで、どのような仕事に従事してきたのか、時系列で自分の経歴・キャリアを記載していく書き方です。

若い時分から経歴を書き進めていくため、転職回数が少ない人向けの形式と言えます。

面接官側の視点からすると、どのような過程を経てキャリアを積んできたのかが分かるため、間接的に人となりを知るのにも役立ちます。

老舗や大手企業など、歴史・風格のある企業に応募する場合は、この形式を選ぶとよいでしょう。

<形式サンプル>

【職務経歴】
  

○○物産株式会社  事業内容:加工野菜等のOEM生産

設立:1957年 資本金:1,500万円 売上高:10億円(2015年度) 従業員数:60名

勤務期間業務内容
2003年4~ 
2006年3月
実務研修の後、製造ライン担当として、主にご飯向けの加工食品の製造に携わる。
2006年4~   
2008年10月
新商品の社内公募に応募した結果、提案商品が採用されたことを契機に企画課へ異動。
10種類以上の商品開発・キャッチコピーなどの製作を担当する。
企画課の廃止に伴い、転職。

○○食品株式会社  事業内容:畜産物等の製造・販売

設立:1980年 資本金:4,800万円 売上高:130億円(2020年度) 従業員数:300名

勤務期間業務内容
2008年11月~2015年6月商品開発部の企画職として、主に以下の業務に従事する。
・調査計画立案、実行
・ターゲット分析およびコンセプト立案
・試作品開発
・キャッチコピー作成
・開発コスト管理
2015年7月~
現在
「商品開発部新商品デザイン課係長」として、上記に加え開発スケジュール管理および中長期戦略を担当。

【主な実績】
2010年代から主力商品となった「○○の素」において、味を損なわないまま化学調味料・保存料・着色料無添加を実現。
ビジネス誌「○○」など幅広いメディアに取り上げられ、前年比○○%のシェアアップを達成。

 

 

逆編年体形式(新しいキャリアから書いていく)

逆編年体形式とは、編年体形式の逆の書き方で、新しいキャリアから書き進めていきます。

限られた枚数でキャリアを書ききれない場合、応募職種が現在携わっている仕事と似た要素を持っている場合など、比較的最近のキャリアをアピールしたい場合に有効な形式です。

先にご紹介した編年体形式を逆にして書けばよいだけなので、以下のサンプルの通りWordなどで準備しておけば、応募先のスタンスに応じて編集しやすいため便利です。

<形式サンプル>

【職務経歴】
  

○○食品株式会社  事業内容:畜産物等の製造・販売

設立:1980年 資本金:4,800万円 売上高:130億円(2020年度) 従業員数:300名

勤務期間業務内容
2008年11月~2015年6月商品開発部の企画職として、主に以下の業務に従事する。
・調査計画立案、実行
・ターゲット分析およびコンセプト立案
・試作品開発
・キャッチコピー作成
・開発コスト管理
2015年7月~
現在
「商品開発部新商品デザイン課係長」として、上記に加え開発スケジュール管理および中長期戦略を担当。

【主な実績】
2010年代から主力商品となった「○○の素」において、味を損なわないまま化学調味料・保存料・着色料無添加を実現。
ビジネス誌「○○」など幅広いメディアに取り上げられ、前年比○○%のシェアアップを達成。


○○物産株式会社  事業内容:加工野菜等のOEM生産

設立:1957年 資本金:1,500万円 売上高:10億円(2015年度) 従業員数:60名

勤務期間業務内容
2003年4~ 
2006年3月
実務研修の後、製造ライン担当として、主にご飯向けの加工食品の製造に携わる。
2006年4~   
2008年10月
新商品の社内公募に応募した結果、提案商品が採用されたことを契機に企画課へ異動。
10種類以上の商品開発・キャッチコピーなどの製作を担当する。
企画課の廃止に伴い、転職。

キャリア形式(経験を主体としたまとめ方)

時系列から内容をまとめるのではなく、業務経験を主体として経歴をまとめていくのがキャリア形式です。

転職が比較的当たり前の業種・プロジェクト単位で仕事が進む職種の場合、よりスキル・キャリア重視でアピールした方が、企業側に伝わりやすい部分があるため、キャリア形式がよいでしょう。

<形式サンプル>

【主な経験業務】


◆商品企画に関する経歴

○○食品株式会社  事業内容:畜産物等の製造・販売

設立:1980年 資本金:4,800万円 売上高:130億円(2020年度) 従業員数:300名

勤務期間業務内容
2008年11月~
2015年6月    
商品開発部の企画職として、主に以下の業務に従事する。
・調査計画立案、実行
・ターゲット分析およびコンセプト立案
・試作品開発
・キャッチコピー作成
・開発コスト管理
2015年7月~
現在
「商品開発部新商品デザイン課係長」として、上記に加え開発スケジュール管理および中長期戦略を担当。

【主な実績】
2010年代から主力商品となった「○○の素」において、味を損なわないまま化学調味料・保存料・着色料無添加を実現。
ビジネス誌「○○」など幅広いメディアに取り上げられ、前年比○○%のシェアアップを達成。


○○物産株式会社  事業内容:加工野菜等のOEM生産

設立:1957年 資本金:1,500万円 売上高:10億円(2015年度) 従業員数:60名

勤務期間業務内容
2006年4~     
2008年10月
新商品の社内公募に応募した結果、提案商品が採用されたことを契機に企画課へ異動。
10種類以上の商品開発・キャッチコピーなどの製作を担当する。
企画課の廃止に伴い、転職。

◆食品製造に関する経歴

○○物産株式会社  事業内容:加工野菜等のOEM生産

設立:1957年 資本金:1,500万円 売上高:10億円(2015年度) 従業員数:60名

  

勤務期間業務内容
2003年4~    
2006年3月
実務研修の後、製造ライン担当として、主にご飯向けの加工食品の製造に携わる。

 

職務履歴書のサンプルに頼り過ぎると、説得力が少なくなる

職務経歴書を書くにあたり、サンプルはとても便利なものですが、あまりに頼り過ぎてしまうのも問題です。

例えば、以下のようなデメリットを想定しなければならないため、オリジナリティのある表現を意識しなければ、その他大勢の中に埋もれてしまうおそれがあります。
  

サンプルを使って文章をまとめている人は多い

本来、職務経歴書に書かれる内容は、人それぞれで違うはずです。

しかし、たくさんの書類や情報に目を通す必要がある採用担当者にとって、あなたの文章は数ある応募書類の一つに過ぎません。

そのため、ありきたりなサンプルをそのまま真似ても、採用担当者の心には届きません。

特に、若年者と比較して難易度が高くなりがちな40代にとっては、職務経歴書を作成するにあたり、サンプルに頼り過ぎないスタンスが求められます。

あらかじめ、自分が何を伝えるべきなのかをまとめた上で本文を書くようにして、くれぐれもサンプルの表現をそのまま真似しないよう注意しましょう。

 

手書きと違って個性を演出するのが難しい

職務経歴書をWordなどで作成する場合、定型的な文章をきれいにまとめる点ではメリットが大きいものの、その中で自分の個性をしっかり打ち出すのは難しくなります。

読みやすいものに仕上げるためには、書くべきこと・書くべき場所を形作ってから本文の作成に入る必要があるため、本文の内容もテンプレートに似たものになりがちです。

太字・斜字・下線などを効果的に使って見栄えを良くすることも考慮しなければならず、デザイン的な要素も問われます。

そのような状況で、自分のキャリアを相手に伝えようとすると、自分の個性をどう表現すればよいのか途方に暮れてしまう人も出てくるでしょう。

手書きの場合、文字がその人となりを表す部分があるため、履歴書では必ず手書きを要求する企業も少なくありません。

だからといって、職務経歴書をすべて文字で書くのは手間がかかりますし、文字が汚いとかえって逆効果になります。

採用担当者に伝わる職務経歴書を書く場合、こういったアピールのバランスを考慮する必要がありますが、かといってテンプレートありきで職務経歴書を書くと個性が失われやすいのです。

 

形式にこだわり過ぎると、使い回しを疑われる可能性も

サンプルを活用する場合にもう一つ注意しておきたいのは、形式にこだわり過ぎてしまうと、かえって使い回しを疑われてしまうことです。

似たような業種・同じ職種に対応できるよう、細かい内容を書き換えずに職務経歴書を作成していると、採用担当者が違和感を持つ可能性があります。

どの企業でも、自社のことを本気でリサーチした上で応募しているかどうかは、最低限チェックするものです。

特に、抽象的な志望動機・自分の情報だけでまとめた自己PRはリスクが高いですから、カスタマイズする部分を決めておく・自己PRは一件ごとに違う内容でまとめるなど、サンプルベースで作成する場合でもアレンジのルールを決めておきましょう。

 

40代が職務経歴書作りで気にすべき「ワードセンス」

エンジニア・経理職など、職種によって多少は異なりますが、書類作成・面接の場で求められるものは、年齢を重ねれば重ねるほどレベルが高くなる傾向にあります。

例えば、マネジメント経験の有無は、40代以降になると問われる場面が多くなります。

採用担当者は、募集条件に合った知識・経験があるのはもちろんのこと、その上でプレゼン能力・人格なども文章や会話の中からチェックしたいと考えています。

そこで重要になるのが「ワードセンス」で、どれだけ採用担当者の記憶に残る表現ができるかが、40代の転職を成功させる大きな鍵になるでしょう。

 

採用担当者が知りたいのは実績だけではない

書類選考・面接の段階で、採用担当者は実績以外の面について、以下のような内容を見極めようとします。

  • 思考の特性(考え方の硬直性/新しい価値観への順応性 など)
  • 行動の特性(臨機応変な対応力/フットワークの軽さ など)
  • 健康上の問題(持病/既往症 など)
  • 入社意欲(志望動機/自己PR/応募者の積極性 など)

これらのうち、どの部分を重視するかは担当者や企業の方針にもよりますが、最終的に入社の意欲が薄い・入社後の活躍が期待できないと判断されれば、その段階で不採用が決定するでしょう。

面接の場合は、雰囲気を読んでリカバリーの機会をうかがうこともできますが、書類選考は一発勝負なのでごまかしが通用しません。

よって、先にあげた4つのポイントは確実に押さえた上で、採用担当者の心の扉をこじ開ける努力が必要です。

 

「入社してから企業に貢献できる人材」であることをどう表現するか

採用担当者に言葉だけで自分のセールスポイントを的確に伝えるのは、決してかんたんなことではありません。

入社してから企業にどのような形で貢献できるのか、100%の確証を持って採用担当者に伝えることは難しく、多くの応募者が頭を抱える部分です。

というのも、自分が積み上げてきた経歴そのものは、どう頑張ってもひっくり返すことができません。

あまりにも率直に書いてしまうと魅力に欠けますし、かといって内容を盛れば鋭い指摘を受けるおそれがあります。

そこをカバーするのがワードセンスであり、自分が他の応募者に比べて不利な状況であったとしても、相手の聞きたいことに配慮しつつ言いたいことを伝えられる言葉を持っていれば、状況を変えることも十分あり得ます。

変えられない部分にこだわらず、変えられる部分を有効に活用するために、求職者はワードセンスを磨くことが大切なのです。

  

自由に書ける部分こそ勝負の場

それでは、職務経歴書において「自由に変えられる部分・自由に書ける部分」とは、どの部分が該当するのでしょうか。

真っ先に思い当たるのは「自己PR」です。

まず、自己PRに関しては、自分が応募先に対してどのような面で貢献できるのかをアピールする大事な部分です。

一方で、職務経歴書のサンプルにおいて「このような書式で書くべき」というルールを適用する必要がない部分でもあるため、まとめ方を自分なりに工夫できます。

「業務内容」を説明する欄でも、自分の実績を比較的自由にまとめることができます。

嘘は書けませんが、どんな業務を担当していて、その中でどのような成果を出せたのかについては、時に主観的な表現を使わなければならないケースも考えられるからです。

他には、業務内容を簡潔に冒頭でまとめる「職務要約」や、書き切れなかった部分を補足する「職務詳細」などの欄を設ける方法もあります。

これらの部分にフォーカスして、自分が応募先に対して何を提供できるのか、言葉を選びながら書き進めていきましょう。

  

職務経歴書に「ノーをイエスに変える文章」を取り入れる

ワードセンスを養うには、ただ本を読んだり、サンプル文章を参考にしたりするだけでは不十分です。

極端な話、自分の不利を有利に書き換えるだけのセンスを養う必要がありますから、具体的なテクニックを学ぶ必要があります。

では、そのテクニックとはどのようなものなのでしょうか。

続いては、コピーライター佐々木圭一さんの著書・伝え方が9割より、ノーをイエスに変えるステップについてご紹介しつつ、職務経歴書にどう応用すべきなのかを検討していきます。

  

ノーをイエスに変える3つのステップ

佐々木さんは著書の中で「ノー」となるはずだった答えを「イエス」に変えるには、カンタンな3つのステップがあると述べています。

  • ステップ1:自分の頭の中をそのままコトバにしない
  • ステップ2:相手の頭の中を想像する
  • ステップ3:相手のメリットと一致するお願いをつくる

※出典元:伝え方が9割

  

上記のステップを実践するにあたり、転職のケースを想定して、一つずつイメージを膨らませてみましょう。
  

「自分の頭の中をそのままコトバにしない」の実践

まずは、自分の頭の中をそのままコトバにしない、というステップについて考えてみましょう。

佐々木さんは、ストレートに自分の思いを伝えることでうまくいく場合がある反面、うまくいかないことも同様にあり、ストレートな表現だけに頼るのはバクチと一緒だと述べています。

これは職務経歴書の作成についても同様で、ただ「採用してください」とお願いするだけなら、極端に言えば誰でもできます。

もちろん、頭の中に願望・希望をイメージすることは問題なく、それをどうやって採用担当者の心まで届けるかが問題になるわけです。

メールや日常会話・会議などで直情的な表現をする機会が多かった人は、頭の中にある考えをそのまま本文として用意せず、下書きから徐々に推敲を重ねるイメージで職務経歴書と向き合うことを心がけてください。

  

「相手の頭の中を想像する」の実践

次に、相手の頭の中を想像する、というステップについて考えてみましょう。

佐々木さんは著書の中で、いったん自分のお願いから離れて、相手の頭の中を想像するよう促しています。

具体的には、デートに誘いたい相手について、

  • 何が好きか?
  • 何がキライか?
  • どんな性格か?

※出典元:伝え方が9割

  

こういった相手の基本的な情報を思い出し、そこから言葉を作っていくという流れです。

これを転職に当てはめてみると、やはり求人情報が「相手の頭の中」につながっていますから、書き出す前に何度も志望動機に目を通します。

特に、仕事内容・応募条件・選考ポイントについては丁寧に確認して、どんな人が欲しいのか・どんな経歴ならOKがもらえそうなのか、箇条書きでまとめてもよいでしょう。

なお、このステップは非常に重要なため、佐々木さんは想像に至る切り口をさらに7つに分けています。

詳しくは後述しますが、まずは相手の頭の中を想像することが、もっとも重要であることを理解してください。

  

「相手のメリットと一致するお願いをつくる」の実践

最後に、相手のメリットと一致するお願いをつくる、というステップについて考えてみましょう。

相手の頭の中を想像した後で、その想像をもとに言葉を作っていくわけですが、佐々木さんはこのとき「相手の文脈でつくる」ことが大切だと述べています。

この点について、佐々木さんはデートを例にして、以下のように説明しています。

<相手の頭の中>

×興味がない人とデートしたくない
○初めてのものが好き
○イタリアンが好き

<自分の頭の中>
・デートがしたい

<相手の文脈に合わせた言葉>
「驚くほど旨いパスタのお店があるんだけど、行かない?(私とデートで)」

※上記、著書内のイラストおよび本文から抜粋

※出典元:伝え方が9割

 

ここでのポイントは、相手の頭の中を十分に想像した上で、あくまでも相手のメリットだけを満たす言葉をチョイスしていることです。

言うまでもなく、転職時における求職者の願望は「採用して欲しい」ですが、この点を直接的にアピールするようなことは原則として避けたいところです。

ここがワードセンスの要諦であり、自分の本当の願望は内に秘めたまま提案する言葉をつくれるかどうかが、転職活動でも活きてきます。

自分を客観的な立場から見た上で、言わば「1つの商品」としてアピールすることを意識しつつ、相手のニーズに合致する旨を伝える努力が求められます。
  

採用担当者の頭の中を想像する7つの切り口

採用担当者の頭の中をのぞくことができれば、どういうアプローチが有効なのか、手に取るように分かることでしょう。

しかし、残念ながらわたしたちは、相手の目を見ただけで頭の中を100%理解することはできません。

ノーをイエスに変えるため、佐々木さんは相手の頭の中を想像する時の「とっておきの切り口」があると述べています。

・切り口1:相手の好きなこと
・切り口2:嫌いなこと回避
・切り口3:選択の自由
・切り口4:認められたい欲
・切り口5:あなた限定
・切り口6:チームワーク化
・切り口7:感謝

※出典元:伝え方が9割

  

以下に、それぞれの切り口について、転職という観点から紐解いていきましょう。
  

「相手の好きなこと」から想像する

佐々木さんによると、相手の好きなことにフォーカスすることは、ノーをイエスに変える技術の中でも王道であり、それゆえに応用例がいくつも見つかります。

著書の中で紹介されている佐々木さんの身に起こった例には、以下のようなものがあります。

・佐々木さんがファーストフードでフィッシュバーガーを注文した際に、時間がかかることが分かり「帰ろう」と思ったところで、店員さんが「できたてをご用意いたします。4分ほどお待ちいただけますか?」と、できたてを提供するメリットから話をしたこと

・佐々木さんが香港に出張した際、飛行機が空港へ到着した後、ビジネスパーソンばかりであわただしい中「後方のお客さま、お時間がかかってしまうので、ごゆっくり、お支度ください」とのアナウンスが聞こえ、まるでサービスを受けたかのような感じになったこと

※上記、著書内の本文を要約

※出典元:伝え方が9割

  

職務経歴書においてこの視点を活かす場合、例えば自己PRの中に応募条件や選考ポイントの文言を織り交ぜるというテクニックがあります。

例えば、選考ポイントに「新しいことを柔軟に取り入れられる人」といった内容が含まれていたら、以下のような文章を検討してもよいでしょう。

・現職では、主に社内専用の会計ソフトを使って業務を行っておりますが、自動仕訳をより効率的に行うため、支店で部分的に○○ソフトを導入する案を提案し、採用されました。

・現職の採用活動において、人材不足の観点からオンラインでの面接を提案し、交通費を前年比○○%削減することができました。

いずれも、何らかの問題に積極的に関与し、解決策を出した例を取り上げています。

目立ったものでなくても実績があるのなら、自分の日々の業務の中で、こういったアピールポイントがないかどうか探してみましょう。

  

「嫌いなこと回避」から想像する

相手の好きなこととは逆の方向性、すなわち「嫌いなこと回避」からも、切り口は生まれます。

佐々木さんが著書の中で紹介している例は、以下のようなものです。

・自分の敷地の芝生が踏まれて困っていて注意書きの立て札をつくるとき、直接的に「芝生に入らないで」と書くのではなく「芝生に入ると、農薬の臭いがつきます」と書いて相手のメリットに変える。
  
・チカンが頻発する地域で、防止のためのポスターに載せる言葉を「住民の皆さまのご協力で、チカンを逮捕できました。ありがとうございます。」に変えたところ、犯人の逮捕されたくないという思惑からチカンが止まった。

※上記、著書内の本文を要約

※出典元:伝え方が9割

  

これを転職において応用する場合、職務経歴書の読み手である採用担当者の気持ちになって考えることが大切です。

採用担当者の6割が職務経歴書を斜め読みしているという残念なデータもあるため、どれだけ応募者が熱い思いを込めても、その職務経歴書を読み込んでもらえない可能性があるのです。

もし、求人情報の内容を読んでどこか四角四面・あるいは最低限の情報しか載っていないという印象を受けたら、人事側の熱意はそれほど強くないかもしれません。

そのようなケースでは、誰もが目を通さざるを得ない部分に着目して、経験・スキルベースで自己PRや職務詳細をまとめてみましょう。
  

「選択の自由」から想像する

「人は決断よりも選択が得意」という特性を活かした、好きなこと視点の応用です。

この切り口について、佐々木さんは以下のように説明しています。

デートしてください
→あなたのメリットでしかない。相手は「決断」しなければいけない。

驚くほど旨いパスタの店と、石窯フォカッチャの店どちらがいい?
→こっちがいい、という「比較」は非常に簡単にできる。相手の好きなものである上に、選べることで、相手のダブルメリットとなる。

※出典元:伝え方が9割

  

この切り口を職務経歴書に応用する場合、採用担当者の食指を動かすための工夫に使えます。

具体的には、応募条件の中に含まれていないことも、一応書き含めておくようにします。

例えば、法務職として応募してはいるものの、過去のキャリアでWebデザインを担当していた時期があるなら、省略せずにその経歴も書き加えておきます。

応募するセクションでは必要とされない情報でも、あえて割り切らず盛り込むことで、別セクションの面接につながる可能性もありますから、種はたくさんまいておきましょう。

  

「認められたい欲」から想像する

多くの人は「誰かに認められたい」と思って生きているものですが、佐々木さんはそれを人間の本能と述べています。

この特性を活かした切り口の例について、佐々木さんは以下の通り残業を例にまとめています。

残業お願いできる?
→あなたのメリットでしかない。
  
きみの企画書が刺さるんだよ。お願いできない?
→認めている言葉から始まっていることで、面倒くさいこともやってみようとする気持ちが生まれる。

※出典元:伝え方が9割

  

この切り口を職務経歴書に応用する場合、やはり採用担当者・応募企業を尊重する文言を加えるのがイメージしやすいかもしれません。

例えば、ゲームメーカーに転職する際に「そのメーカーの心に残った作品集」をあげて、自分がそれらをキャリアにどう活かしてきたかを説明するなど、製品から自分が得られたものを伝えつつ、貢献していきたい旨を伝える形などがセオリーになるでしょう。

  

「あなた限定」から想像する

人が誰かに認められたいという承認欲を持っていることから派生した、特に強めの切り口の一つです。

抽象的な説明よりも、佐々木さんが著書の中で説明している「誰も行きたくない自治体のミーティング」に誘う例を見た方が分かりやすいでしょう。

自治体のミーティングに来てください
→あなたのメリットでしかない。
  
他の人が来なくても、斉藤さんだけは来て欲しいんです
→その人の名前を使い「私こそが必要と思ってくれている」と思わせ、心を満たすことで相手のメリットに変える。

※出典元:伝え方が9割

  

この切り口を職務経歴書に応用する場合、先にご紹介した「認められたい欲」以上に、もう少し踏み込んで応募先に対する敬意を伝える必要があります。

例えば、内定をもらい現職を離れる際の有休消化中に、現場を知りたいから勉強させて欲しいなど、自分から強い就労意欲を伝えるなどの方法があげられます。

もちろん、無給の強制的な入社前研修は問題になりますから、多くの企業は気持ちだけ受け取ることでしょう。

しかしながら、自分から積極的に知識を得たいとの申し出につき、その積極性を買う企業があっても不思議ではありません。

ここで重要なのは、自分が「応募先で働きたいのだ」という強い意思を伝えることですから、自分がどこまで応募先に貢献できるかをベースに文章を考えてみましょう。

  

「チームワーク化」から想像する

この切り口について、佐々木さんは、相手が「面倒くさいと思っている」「やる必要性がそこまで見つからない」ときに効果を発揮すると述べています。

著書の中では、勉強嫌いの子どもに勉強させるシチュエーションを想定して、以下の例があげられています。

勉強しなさい
→あなたのメリットでしかない。
 
いっしょに勉強しよう
→面倒なことであっても、人といっしょであれば動くもの。

※出典元:伝え方が9割

  

さすがにこの切り口を応用するとなると、多くの求職者は採用担当者の心情を理解できず、難しく思うかもしれません。

しかし、現代ではSNS・ブログなどを通して、企業の「中の人」が情報発信するケースも少なくありませんから、その分だけアプローチをかけやすくなっています。

採用担当者ブログに書かれていることをチェックして、例えば社員教育に関することを熱く語っている投稿を見つけたら、そこにフォーカスしたキャリアも職務経歴書に盛り込んでみましょう。

マネジメントや部下の教育に携わった経験に加えて、応募先の社員教育との類似点を書き込んでみるなど、共通点があることを伝えてみてください。

  

「感謝」から想像する

佐々木さんによると、感謝という切り口は「最終手段にして最大の方法」と説明されています。

太古の昔から人はお願いをかなえてもらうために「感謝」をしてきました。世界中の農業文化にある収穫祭も、感謝とともに来年の方策への願いが込められていました。 「ありがとう」と感謝を伝えられると、ノーとは言いにくいことを昔から人は知っていたのです。 ※上記、本文より一部抜粋

※出典元:伝え方が9割

  

具体的な例としては、会社で落としにくい領収書を事務の方にお願いする場合が紹介されています。

「領収書を落としてください」
→あなたのメリットでしかない。

「いつもありがとうございます。領収書お願いできますか」
→感謝から入ると、「ノー」と言いにくい。

※出典元:伝え方が9割

  

この切り口を職務経歴書に書き加えようと考えた際、採用担当者に対して「ここまで読んでくれてありがとう」と最後に書き記そうと考えた人もいるかもしれません。

しかし、職務経歴書はそのような意味合いを持つ書面ではないので、感謝の切り口を効果的に使うのであれば、やはり経歴に加えるべきです。

具体的には、過去に自分が行ったサポート・施策が部署内もしくは社内で感謝されたなど、数字化できない貢献を実績としてキャリアに書き入れる形がよいでしょう。

 

すべて使うことを考えず、無理なく盛り込んでいく

ここまでご紹介してきたステップ・切り口について、すべてを同時に盛り込む必要はありません。

応募先のニーズ・社風・条件などによって、使えそうなものから取り組んでいくスタンスで構いません。

ステップ・切り口を応用することばかりに気を取られてしまうと、かえって本来の自分の良さが活かされないおそれがあります。

あくまでも、職務経歴書を構成する際の一つのとらえ方として、ワードセンス磨きに役立てて欲しいと思います。

  

おわりに

大多数の応募書類の中から、採用担当者に自分の職務経歴書を読み込んでもらうためには、何か心にとまる情報を用意しなければなりません。

しかし、必要な情報は必ずしも「特異な経験」や「ほれぼれするキャリア」とは限りません。

  • 誠意の感じられる人材であること。
     
  • キャリアがニーズに合致していること。
     
  • 採用担当者および企業の考え・ビジョンをくみ取ってくれそうなこと。

こういったポイントを効果的に伝えることが、内定を勝ち取る第一歩です。

そのためには、相手のことを考えた上で効果的な言葉を選ぶ「ワードセンス」を鍛えることが大切です。

今回の記事を参考に、自分だけの殺し文句を作って欲しいと思います。

40代以降の職務経歴書には、これまでの人生がつまっています。

伝える力を手に入れて、満足度の高い転職を実現しましょう!

◎参考書籍:

この記事を書いた人
オンラインスキルマーケット「Coconala(ココナラ)」にて各種ライティングに携わる。会員登録後半年で確定申告を検討するほど収入が増え、1年後には個人事業主として登録。経理職として幅広い業種への転職経験があり、人事系コラムの執筆も行っている。

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