転職を検討している人の中には、現職と比較して「今よりもっとよい環境がある」と期待してしまう人が一定数存在しています。
そして、新しい職場で働き始めた後、前職と変わらない・もしくはそれよりもひどい現実を見せつけられ、転職に対して「後悔しかない」人生を送り続けてしまう人もいます。
働きたい職場を見つけて、心機一転頑張ろうと意気込んだにもかかわらず、時間の経過とともに後悔する時間が増えているとしたら、そこには何らかの理由があります。
こういった失敗を挽回するため、新たな職場への転職を検討する人も少なくありませんが、日本において転職回数の多さはネガティブにとらえられる傾向があります。
また、年齢など諸々の理由で、転職エージェントから厳しい通知を受けるなどして、新たな道を見つけられないまま後悔ばかりの人生を過ごすケースも決して珍しくありません。
悩みがなければ物事は進展しないという一面もあるため、転職に関する悩みや後悔というものは、誰しも避けて通れないものなのかもしれません。
しかし、悩み続けているだけでは、いつまでたっても物事を良い方向へと転換させることはできません。
ただ、転職後の仕事に関する諸々の問題は、自分自身の性格を根本から変えようとアプローチを試みるよりも、言葉の理解力の向上・他者に自分の考えを伝える言葉の表現方法の工夫などによって、事態が改善する場合があります。
この記事では、そんな転職に悩むビジネスパーソンに向けて、転職することで生じる後悔のメカニズムと、転職して後悔しかないと感じている人がつらい時期を乗り越えるための「言葉選びのスキル」についてご紹介します。
キャリアアップ・職場の不和・仕事の失敗など、転職を考える人にも実に様々な理由があります。
ただ、転職後に後悔しかない状況を生み出してしまうのは、必ずしも会社・他者が悪いとは限らず、自分自身の思い込み・物事のとらえ方にも原因がある場合があります。
もし、自分の問題や不満の解決だけを目的として転職を検討しているのなら、その選択肢はあまり褒められたものではないかもしれません。
現在転職したことを後悔していて、近いうちに転職しようと考えている人は、以下のケースに当てはまっていないか考えてみることをおすすめします。
自分は転職してこうなりたい・こうあるべきだという理想論は、必ずしも転職で否定されるべきものではなく、むしろ理想と現実を結びつけるための架け橋になってくれるものです。
しかし、あまりに新しい職場に自分の理想を押し付けるのは、控えめに言って幼稚と言わざるを得ません。
というのも、どんな職場にも相応の問題があり、応募した会社に採用された時点で、自分はその課題を解決できる要員の一人として判断されているという背景があります。
そして、すべての社員が新人を好意的に見てくれるとは限らず、場合によっては邪魔者扱いされることも珍しくありません。
おそらく、前職で働いていたときも、似たようなケースに頭を悩ませた人は多いのではないでしょうか。
ただでさえ狭い日本列島で「この会社だけは違う!」という理想を持つのは、あまりにも視野が狭い発想です。
自分とまったく生き方・考え方が違う人が集まって仕事をするわけですから、何らかの衝突が生じることは避けられませんし、より陰湿な方向にシフトして物事を考える人間も一定数存在しています。
あなたの理想に誰かが付き合ってくれるというのは、あなたに強い魅力・説得力がある場合を除いて、幻想に近い考えと思っておいた方が賢明です。
相応の規模の企業であれば、Web上の情報を掘り下げてチェックするだけでも、多くのことが分かるものです。
もちろん、地方の中小企業など、企業の情報を集めにくい場合は別ですが、新しい職場に対する憧れだけで職場を選ぶと、その後のギャップに驚かされるリスクがあります。
さすがに、求人情報を細かくチェックすれば、勤務地・給与・待遇・勤務時間など、基本的な情報を集めることはできるでしょう。
ただ、これから働く企業のことを調べようとするなら、それだけでは到底リサーチは足りません。
一例として、退職者が意見を書き込んでいる転職総合サイト・BBSなどに書かれた生の情報などをチェックしていくと、どんな社風なのかをイメージしやすくなります。
あるいは、スキルマーケットサイト・SNSなどで、過去にその職場で働いていた人から意見をつのるのもよいでしょう。
どういったツールを使ってリサーチを行うかで、情報量・情報の純度や信ぴょう性が変わってきます。
逆に言えば、そこまでリサーチを徹底した上で転職を決めているなら、何ら不安に思うことはないはずです。
にもかかわらず、前職とのギャップに苦しんでいるなら、それは自分の理想が高かったか、リサーチ内容を誤って理解していたかです。
信頼できる転職エージェントを見つけるなど、同じ失敗をしないために転職時のリサーチ手法を根本的に見直さなければ、新しい職場でも同じ末路をたどるかもしれません。
転職者は、その決断に至った理由が強ければ強いほど、かんたんにはその職場を離れようとしないものです。
例えば、年収増を目的に転職したケースを例にとると、年収300万円から800万円の職場に転職した場合、生命の危機に関わる問題でも起こらない限り、その職場を離れようとは考えないのではないでしょうか。
転職に限った話ではありませんが、自分が起こす行動の目的意識・転職で言えば軸となる条件を明確に決めていないと、満足度は低くなります。
また、働いてみないと本当のところは分からない「不確定要素」はなるべく気にしないなど、転職する際にはある種の割り切りも求められます。
転職前の段階で、自分が転職に求める要素を選ぶとしたら、最低限以下のいずれを重視するのかだけは決めておくべきです。
その上で、できれば以下のポイントが、どこまで満たされる職場かについてもイメージしましょう。
自分がどれだけ新しい環境で働くことに固執できるかによって、転職後の充実度が変わります。
年齢を重ねるにつれて失敗ができなくなりますから、転職先に求めるものは「言語として」明確にしておきましょう。
転職に後悔しかない状況に追い込まれる人は、表向きは業務面での問題・自分の理想像とのギャップなどをあげて転職を検討します。
しかし、そのような思惑の裏には、社内の人間関係が隠れている場合も少なくありません。
人間関係を理由に退職・転職することは、決して悪ではありません。
特に、自分の心身を病むような環境で働くことは、長い目で見て人生の損失です。
ただ、以下のようなケースで転職を検討した人は、次回も同じ失敗を繰り返すおそれがあります。
新しい職場の人間関係については、転職前に内情を100%把握するのが難しいため、慎重な判断が必要です。
リクナビNEXTの「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」によると、退職理由の本音の第1位は「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)」となっています。
誰しも自分以外の人間のことは分からないものですが、ランキングの結果を見る限り、上司の身勝手さや部下への理解のなさは、転職を考慮する大きなファクターとなっていることが見て取れます。
ランキング内で紹介されているエピソードの中には、顧客に会いに行くふりをして自宅に帰るなど、明らかに社会人失格のケースも見られ、将来に不安を感じて転職した人もいるようです。
理想論を言えば、こういった人間が一人もいない職場で働きたいものですが、残念な人間というのはどの職場にも一定数存在しています。
集団で行動を起こす際によく言われる格言の一つに「働きアリの法則」というものがあります。
かんたんに言うと、働きアリの集団には「2割はよく働く・6割は一般的な働きぶりを見せる・2割は怠ける」傾向が見られる、というものです。
働かない人間が、箸にも棒にも掛からない平社員であればまだよいのですが、場合によってはそれが上司だったりします。
目に見える範囲で働く上司がサボっているのを見て、士気の下がらない人はいないでしょう。
この点に悩んでいる場合は、直接自分が実害を受けない限り、適当にいなして仕事を続けつつ転職活動を行うことをおすすめします。
自分が心身ともに追い詰められているなら、すぐさま離れる用意をしてもよいのですが、そうでないなら収入を減らしてまで新しい職場に賭けるのはリスクが大き過ぎます。
おかしな人間は、どの職場にもいる。
頭で分かってはいても、このことを再度肝に銘じ、転職活動を進めることが大切です。
会社内の政治は、上席・経営者ばかりが主役というわけではありません。
場合によっては、同僚・先輩・後輩関係がモノをいう職場もあります。
すべての企業に言えるとは限りませんが、社員の中には仕事よりも「社員同士の人間関係の把握に命を懸けて」働いている人物がいることがあります。
仕事中に社内の人間関係に関するおしゃべりばかりしていて、まったく手が進んでいないケースなどを横目で見ている状況は、まっとうなビジネスパーソンなら強いストレスを抱えることでしょう。
企業側に自浄作用がなければ、その状態が長く続き、結果的に組織の新陳代謝がうまくいかなくなる状況が想定されます。
こちらも、転職前に内情を知るのは難しく、転職情報サイトなどの情報から推測して考えるしかありません。
逆に、スタッフそれぞれが自分の仕事にあまりにも忙し過ぎて、まったく新人に構ってくれないケースも考えられます。
社内の人間関係というものは、どこに転職する際でも不確定要素となるため、人間関係を理由に転職を考えるのはリスキーなのです。
こちらも、自分に実害が生じているかどうかで、転職のタイミングを判断するスタンスが望ましいでしょう。
周囲の状況が自分にとって極端に不利に働いていない限りは、そのまま籍を置いて新しい転職先を探すのがベターです。
中小企業で働いている場合など、経営者と社員との距離が近しいケースで、二者の間に衝突が発生することがあります。
人によっては、経営者やその家族から、ひどい扱いを受けることもあります。
いくら無茶を強要されても、出世は社長びいきとなれば、誰でも納得いかず辞めることでしょう。
経営者自身に問題がある場合、その権限を最大限に活かし、仕事上の責任を押し付けられることも十分考えられます。
経営者との相性が悪い場合・人格を疑うような出来事が起こった場合は、いったんその職場から離れて次のことを考えた方が賢明です。
ここまで、転職のミスマッチが起こる理由や、人間関係が転職に少なからず関係している状況についてお伝えしてきました。
その他、転職で後悔しないために注意しておきたいのは、転職回数の多さです。
一部の例外を除いて、後悔から退職と転職を繰り返すビジネスパーソンは、基本的にそうでない人に比べて評価が落ちてしまうリスクがあります。
転職市場が活発になるにつれて、転職に対するネガティブイメージは次第に弱まりつつありますが、以下のような傾向は押さえておいた方がよいでしょう。
企業の人事担当者が「転職回数が多い」と感じる回数について、20代で3回、30代で4~5回程度といった意見が聞かれることがあります。
企業の将来につながる採用を実現するため、企業の側にも腰を据えて働いてくれる人が欲しいという思惑があるのは、当然のことだと言えるでしょう。
そのため、転職後すぐに新たな職場を離れるのであれば、事前に聞いていた話と条件が違うなど、明らかに問題があった場合に限った方が正解です。
ある程度働いてみて違和感を覚えた場合は、退職するという結論に至る前に、現職でできることはないかを考えた方が、後に転職を考える際にも有利に働きます。
中途半端な期間で転職してしまうと、それが汚点となって履歴書に残る結果となります。
この傾向は、年齢を重ねるにつれて強まりますから、十分注意してください。
女性の場合、ライフイベントに応じて職を離れるケースが珍しくないことから、転職の回数を問題にする企業は少ないようです。
しかし、専業主婦だった期間が長いなど、働き手として長いブランクがあるような場合は、その状況を懸念する声もあります。
男性に比べると、女性の転職回数がそれほど重視されないというのはメリットですが、ブランクは企業の採用担当者に以下のような疑問を与えるきっかけになります。
このような不安を解消するためには、ブランクの理由を明確にすることが大切です。
逆に言えば、何の脈絡もなく退職後に転職を決意した場合、時間が経てば経つほど不利になると言えるでしょう。
転職市場が活況であることと、求職者が優遇されることは、まったく意味が異なります。
あくまでも企業は「優秀と思しき人材の確保」のために転職市場を利用しているのであって、誰でもいいから採用したいと考えているわけではありません。
一度転職を決意した時点で、誰もが否応なしに他の応募者と比較・検討されます。
そこで、自分が転職による過去の失敗を取り返すためには、相応の理由・キャリアを用意していなければ勝ち目はありません。
転職のたびに経験値が増えていることが証明できないなら、次の転職でも似たような失敗を繰り返すかもしれません。
ここまでお伝えしてきたことにいくつか心当たりがあるのなら、一度転職を思いとどまり、本当に転職で実現したいことを考え直すことをおすすめします。
後悔から転職を繰り返す行為は、転職市場においてあまり建設的な印象を与えません。
どんな後悔だったとしても、つまるところ後悔が生まれる原因は少なからず自分にあるわけですから、まずは現実を受け入れて状況を好転させる方法を考える必要があります。
しかし、悩みというものは、多かれ少なかれ誰もが持っているもので、自分の性格に起因する悩みも少なくありません。
自己啓発本などを参考にして、自分の性格ごと会社に合わせて変えて解決しようとするのは、それなりに難しいものです。
この点について、脳科学者の中野信子さんは、著書「悩みと上手につきあう脳科学の言葉」の中で、以下のように述べています。
人間関係に悩むと、その原因が自分の性格の欠陥にあると考え、思い詰めてしまう人がたくさんいます。そして、そんな自分の性格を直そうとして、ますます悩みが深まってしまう。
でも、人間関係の悩みは、一概に性格の問題が原因とはいえません。人間関係の悩みは、じつはもっと実際的に解消できるものなのです。
※出典元:悩みと上手につきあう脳科学の言葉
この点について、中野さんは解決方法の一つに「ボキャブラリーを増やす」ことをあげています。
そして、ボキャブラリーを増やすことには、現職での影響のみならず、転職にも良い影響をもたらすことが期待できます。
続いては、中野信子さんの著書の中から、転職する前に試して欲しい「言葉選びのスキル」について、いくつか押さえておきたいポイントをご紹介します。
諸々の事情から職場とのミスマッチを感じ、新たな職場に馴染めないとき、そこですぐに転職を考える前に思い出して欲しいことがあります。
それは、人間は「他人の心をのぞき見ているわけではない」という点です。
職場環境が複雑な人間関係に置かれているときでも、誰から憎まれるわけでも特別扱いされるわけでもなく、さながらオブザーバーとしてそつなく仕事をこなしている人材を、わたしたちは職場の中で見かけることがあると思います。
彼らを冷静に見ていると、誰かの味方あるいは敵になることなく、当たり障りのない会話ができていることに気付くはずです。
しかし、彼らが心の内で何を考えているのかは、誰にも分かりません。
それではわたしたちがどこで彼らの意思を把握しているのかというと、それは「彼らが発する言葉」です。
他者を差別することなく、自然と天気や趣味の話ができる。
仕事をさりげなくフォローしてもらいつつも、自分の職域には踏み込ませない。
誰かの悪口に対して、決して自ら乗らずに静観する。
こういったことが当たり前にできて、しかも話し相手のことを尊重できる人は、もれなく「その場面・その瞬間で相手がかけて欲しい言葉をわきまえている」傾向があります。
言い換えれば、ボキャブラリーが豊富だということです。
ボキャブラリーが豊富であればあるほど、上司・同僚・部下・経営者など、あらゆる人に自分の存在を良い方向へとアピールできる可能性が高まります。
腹が立つことがあって、心の内でどんな思いを抱いていても、とりあえず社内で不利になるようなことは避けられるのです。
この点について、中野さんは著書の中でこのように説明しています。
複雑極まる人間関係にもまれて、ぽきっと折れるように心を病んでしまう人もいます。「それは心が弱いからだ」と、よく性格の問題として片付けられがちですが、そうではありません。
※出典元:悩みと上手につきあう脳科学の言葉
じつは、ボキャブラリーの問題なのです。
それこそ、人間関係で切羽詰まったときに、相手の気持ちをやわらげたり、怒りの矛先を逸らしたりできる言葉や表現を知っていれば、それだけで済むことなのです。
仕事上の都合・人間関係について「その場だけのもの」と割り切れないことが、転職で後悔を重ねる原因の一つだとしたら、ボキャブラリーの豊富さは大きな武器になるでしょう。
もし、会社で働く上で必要なボキャブラリーを増やしたいなら、以下のポイントに絞って単語や表現を覚えることをおすすめします。
これらの方法を使えば、分からないことをそのままにすることなく、活きた体験として言葉をインプット・アウトプットできます。
以下に、詳細を見ていきましょう。
Webサイトの台頭により影が薄くなったとはいえ、ビジネスの情報源として、新聞は今なお重要なものです。
日経新聞は、自社の事業に直接関係しないトピックも取り上げるため、読み方によっては上司や経営者などを刺激する情報を頭に入れることができます。
もちろん、このような読み方なら、たくさんのビジネスパーソンが行っていると思いますが、自社もしくは自分にとって直接関係しない事柄については、軽く読み飛ばしている人も多いのではないでしょうか。
実は、これはとてももったいない話です。
筆者がかつて自動車会社に勤めていた頃、習慣として日経新聞に目を通していた時期がありました。
ある時、カーシェアリングの話題が記事になっていて、その概念がよく理解できず色々と調べた記憶があります。
その頃は都心部以外でそれほどメジャーな選択肢ではありませんでしたが、その話を別部署の役職者に話すと非常に強い関心を示してくれました。
当時の筆者は経理職でしたが、そこから折々で仕事の話をするようになり、社内における営業・サービスに関する情報の仕入れ方を学ぶ機会が得られたことで、普段の処理の根拠がよく理解できたのを覚えています。
社内のすべてのことに精通するのは難しくても、深い情報を得られるきっかけになる情報が手に入る可能性は十分ありますから、脇の知識を増やす努力は大切です。
ビジネスパーソンは、どうしても目の前の問題を解決することに意識を向けがちです。
そのため、ビジネス書に目を通すことが多く、小説・ベストセラー本などを読む機会は少ないかもしれません。
しかし、誰もがビジネスに興味があって仕事をしているわけではなく、中には自分とその周辺の世界にしか興味がない人もいます。
そういった人とも円滑に意思疎通を図る上で、よく知られているタイトルの本の存在は重要です。
小説やベストセラー本は、しばしば映像化されることがありますが、原作ではなくドラマや映画などで話の筋を追っている人もいます。
そこで話に共感できると、そこから関係性が深くなることもありますし、ドラマなどの感想から相手の人間性が分かります。
もちろん、活字に触れているので、筆者がどんな単語・表現方法を用いているのかも学べます。
ドキュメンタリーなら、自分の置かれている境遇と似たような場面に遭遇した際、そのやり取りを覚えておくことで、今後の対策として検討することもできます。
もし、普段はあまり小説などを読まないという人は、本を読むごとに、読んだ範囲で構わないので、500~1,000文字程度の感想文を書くことをおすすめします。
誰かに見せるものではないので、あくまでも自分が感じたことを確認する意味で行う行為ですが、習慣化することでアウトプットの質にも変化が生じてきます。
偏差値35から東大に合格したノウハウを高校生に教えている、株式会社カルぺ・ディエム代表の西岡壱誠さんによると、何かを発信しようと試みて行う読書は、読み流す読書に比べて、読書の質が上がる効果が期待できるそうです。
このような効果は、日々ライティングを行っている筆者も体感しています。
普段の会話や仕事の中で、よく分からない言葉が出てきたとき、とりあえずGoogleなどの検索エンジンで検索しようとする人は増えていると思います。
もちろん検索エンジンでもよいのですが、より細かい意味を把握する点では、辞書アプリなどを使うことをおすすめします。
この情報は意外と馬鹿にできないもので、自分が意味を理解していると思う単語でも、よくよく調べると人間関係の機敏を表現したものが時々見つかることもあります。
例えば、goo辞書で「転職」と検索すると、国語辞書の検索結果には「転職活動」や「転職貧乏」などの単語がヒットします。
このことから、少なくともgoo辞書の中では、転職に対してポジティブなイメージが見受けられないものとイメージできます。
こうした単語のストックは、雑学としても応用が利くため、誰かが「あれ何だっけ……」と思ったときにすかさず回答できれば、賢い人物として評価を得られるかもしれません。
一通りボキャブラリーを増やす努力を続けた上で、状況がまったく改善せず転職を検討した場合でも、このような努力は自分のものとしてエピソード化できます。
結果として、自分の努力が後悔なく転職へと進むためのハシゴになってくれることでしょう。
せっかく現職において増やしたボキャブラリーを活かすなら、話し方・伝え方についても知識を深めたいところ。
他のスタッフと円滑に仕事ができるようになれば、その分だけ転職に対する後悔は少なくなるはずですから、周囲とコミュニケーションをとる際には、意識してパートナーシップを構築する心構えが大切です。
中野さんによると、相手の心を動かす伝え方には、以下のような傾向があるそうです。
人は、他人から認められたり、評価されたりするとうれしくなります。このような「社会的報酬」は評価される側の脳にしっかりと伝わり、ときに感動すら呼び起こします。
そこで、ふだんの人間関係においても、相手が共感しやすいような伝え方を心がけてみましょう。
※出典元:悩みと上手につきあう脳科学の言葉
この点を実践するコツについて、中野さんは「わたし」を主語にすることを提案しています。
自分が誰かを認めているという気持ちをメッセージに込めることで、言葉の持つインパクト・ひいては自分に対する他者の評価が変わってくるというわけです。
また、そのような伝え方を実践する上で、もうひとつ覚えておいて欲しい中野さんの言葉があります。
他人に評価されたりほめられたりしたとき、人は快感を覚え、不思議な幸福感を抱きます。このとき、脳では前頭葉の「内側前頭前野」という部位が「自分はすばらしい」「自分はいいことをしたんだ」と判断しています。
※出典元:悩みと上手につきあう脳科学の言葉
誰かのために心を込めて尽くしたときにも、その利他行動によって大きな幸福感を得られます。
つまり、他者の評価や言動にかかわらず、利他的な行動をして、自分自身に対してよい評価をするだけで、人は快感を得られるということを中野さんは伝えています。
もし、職場での自分の行動を誰も評価してくれなかったとしても、自分がその行為について「良い行為だ」と認めることができれば、転職に対する後悔は日に日に薄れていくかもしれません。
転職にともなう後悔は、誰しも経験する可能性があることです。
ただ、転職後に後悔する理由をあらかじめ知っておくことで、現在の職場でどのような振る舞いをすべきか、何を学ぶべきかが見えてきます。
よほどの悪人を除いて、社内の人間のすべてがあなたの敵になるわけではありません。
普段の会話や言動の中に、関係性を深めるチャンスがありますから、少しずつ後悔の種を取り除いていきましょう。
後悔だらけの人生は、失敗よりもつらいものです。
今の自分を肯定する意味でも、環境に溶け込む努力は忘れないようにしたいものですね。
◎参考書籍