若年者かベテランかによっても異なりますが、転職時にまったくの未経験から新たな業種・職種にチャレンジするケースよりも、過去のキャリアを活かしながら仕事をスタートさせるケースの方が多いものと推察されます。
しかし、経験があることは、必ずしも新しい会社で即戦力になれることを意味しているわけではないため、中途採用者の中には、仕事がうまくいかないことに少なからずつらい思いを抱く人がいます。
特に、40~50代で転職する場合は、まったくの未経験からスタートするケースは稀であり、大抵の場合は既存の経験に頼って仕事を進めることになるでしょう。
ただ、前職の経験を現職の環境にすべてあてはめるのは難しいため、中途採用者が入社時の段階で業務に支障のないレベルまで物事を知っているはずもなく、社内ルール含め知らないことも多いのが一般的です。
もし、現段階で業務面でのわからないことがあって、それを解決できずに戸惑っている場合、そもそも「何がわからないのか」を明確にすることが、解決のヒントになるかもしれません。
この記事では、転職後に仕事がうまくいかない・力を発揮できないと感じている人向けに、転職初期に仕事をうまく進められない理由・不本意な状況で発生するストレスの種類について触れた上で、それらを解決するための対策についてご紹介します。
転職者は、その境遇にかかわらず、大なり小なり挫折を経験します。
しかし、その挫折感が大きくふくらんでしまうと、理想と現実のギャップに苦悩し、気が付けば新たな職場を求めるような気持ちになりがちです。
ただ、その段階で「期待と違う」・「自分には能力がない」などと考え込んでしまうのは、早計かもしれません。
転職者が職場環境に順応するためには、誰しも一定のステップを踏む必要があるからです。
転職者が職場に対する理想と現実の差を理解したときは、少なからずモチベーションが下がるものです。
理想と現実のギャップにショックを受けることを「リアリティショック」といい、自分のイメージと現実が離れている分だけショックは大きくなる傾向にあります。
リアリティショックの軽減は、人事担当者側が注意を払っている部分でもあり、フォローアップを目的としたメンター制度などを設けている企業は少なくありません。
にもかかわらず、幻滅して職場を離れてしまう人材が後を絶たないのは、転職者と企業との間にあるミスマッチを解消できていない・もしくは転職者が有用な人材であると人事担当者が十分にアナウンスできていない可能性が考えられます。
転職者側の視点に立って、リアリティショックが起こる理由を掘り下げると、以下のようなものが考えられます。
現実を受け入れて、少しずつ理想に向かって努力できればよいのですが、自分に余裕がない中で将来に希望を抱くのは、なかなか難しい部分があります。
しかし、こういった転職の問題について、時間が解決してくれることを覚えておくと、変にあせらず職場と向き合うことができます。
人間は機械と違い、一定の成長速度を保ち続けるなど、再現性の高い行為を苦手とする傾向にあります。
努力の量は必ずしも結果とは比例せず、人によって成長速度も異なるため、企業も転職者も成果を得るには一定の時間を必要とします。
このような関係性を示した成長モデルに「エクスペリエンスカーブ」というものがあります。
日本語に訳すと「経験曲線効果」というもので、経験値が所定の値を超えたとき、生産性・効率などが大きく上昇するというものです。
もともとは、生産性と労働コストの関係性に当てはめられてきた考え方で、世界的な経営コンサルティングファーム・ボストンコンサルティンググループの創業者であるブルース・ヘンダーソンが、エクスペリエンスカーブを理論化しました。
すなわち、ある製品の累積生産回数が倍になると、それに応じて生産回数あたりの総費用は一定かつ予測可能な速度で減少するという考え方です。
転職という観点から見ると、エクスペリエンスカーブの関係性は、従業員のモチベーションと習熟度に置き換えることができます。
入社時はモチベーションが高くとも、3ヶ月~半年ほど経過すると思い通りに実力を発揮できていない現実に落ち込み、そこからさらに努力することで成果が出やすくなり、再びモチベーションが上がるという流れです。
生産回数とは違い、転職者のモチベーションは入社時が一番高く、そこから流れに乗ってモチベーションを上昇させられるかは、自分自身の積極性と忍耐力によって変わって来るでしょう。
転職者にとってつらい時期を乗り越える場合、一人よがりな努力では決して良い結果を得られません。
なぜなら、いくら社風・上司・職場仲間について想像をふくらませても、それはあくまでも自分のイメージに過ぎず、わからないことはいつまでもわからないままになる可能性が高いからです。
新しい職場では、いかに自分が経験者であっても、自信を表に出すようなスタンスは敬遠されます。
入社して間もない時期は、以下のことを意識するだけで、周囲の環境が自分にとって良いものに変わっていく確率が高まります。
転職して間もない頃は、どうしても周囲の会話に参加しにくく、その分だけ自分の仕事に集中しようと試みるものです。
しかし、そのような控えめな態度は、職場によっては歓迎されない可能性があります。
新人に声をかけようと思っている人は、どちらかというと親切な人です。
なぜなら、誰もが新人の存在以上に、自分の仕事の方が大事だからです。
そのような中で新人が認められるためには、立場を問わず、いち早く他のメンバーが「して欲しいこと」に気付く必要があります。
それは、元気なあいさつであったり、雑用を積極的に行う姿勢だったりします。
入社して間もないうちは、任される仕事もわずかでしょう。
そこで素早く仕事を終えて、誰にも言われることなく「手伝うことはありますか?」と質問できて初めて、周囲は新人を経験者として認識してくれます。
可能であれば、自分が働いている部署だけでなく、他部署の人の手伝いもフットワーク軽く行うとよいでしょう。
人柄を認めてもらえるようになると、半年とたたないうちに、色々な仕事が自分のもとに舞い込んでくるはずです。
入社して間もない時期に「いい人」・「仕事を引き受けてくれる人」というイメージを作ることで、後々もそのイメージは多くの人に植え付けられます。
その結果、役職はともかく、数年後には社内で一目置かれる存在になれるでしょう。
中途採用者は、新卒もしくは長年働いてきたベテランと比較して、何かと「仕事ができそう」なイメージでとらえられがちです。
しかし、勤務経験が長い人の方が、当然ながら社内の事情やルールを熟知しています。
このような環境において、中途採用者はあまり細かい説明・指導を受けられないまま仕事を任されることとなります。
すると、次第に周囲が求めることを理解できない・もしくは勘違いしたまま仕事を進める結果となり、結果的に評価を落とすことにつながります。
間違いを何度も指摘するのは、指摘される側にとってつらいのはもちろんですが、指摘する側にとっても嫌なものです。
1度で指摘されたことを直せるならよいのですが、中には似たような間違いを繰り返すケースもあります。
こういった状況が続くことは、企業にとっても中途採用者にとっても悪いことです。
そこで、普段から「自分はこの仕事についてよく分かっていないだろう」と意識して、周囲から教えを乞う姿勢を保つことが大切です。
オーバーに言えば、分かっていることも「分かっていないかもしれない」と思いながら仕事をする姿勢が、明日の自分の評価を作ります。
話を聞き、メモを取りながら「ありがとうございました」と言うだけで、相手は「この人は人格ができている」と見直すことでしょう。
謙虚に仕事・人間関係構築に向き合う限り、よほどひどい職場でなければ、少しずつ自分の居場所が見つかります。
しかし、まったくストレスを感じずに新しい職場で働ける中途採用者は少数派です。
パーソルキャリア株式会社の「転職に関するアンケート 」によると、転職直後(入社後1~3ヶ月程度)のストレスの有無について、80.7%の回答者が「ストレスがあった」と回答していることが分かっています。
つまり、自分の居場所を見つけるまでの間、中途採用者はストレスとうまく付き合っていかなければならないのです。
転職直後に中途採用者がストレスを感じるのは間違いありませんが、そのストレスの原因に関しては、ある程度定型化できます。
具体的には、以下のようなものがよく知られています。
これらのうち、どれか一つだけが強いストレスとなっている場合もあれば、複合的にストレスの原因となっている場合もあります。
中でも、自分だけに責のないことで長期間ストレスを受ける状況からは、なるべく早い段階で脱出したいところです。
仕事内容・条件が事前の提示と違うのであれば、その時点で職場を離れるくらいのスピード感があった方が、退職の理由としては明確ですし、リカバリーも早くなります。
上司・同僚の非協力的な姿勢や、社風の合わなさについても、放っておくと心身を病んでしまうリスクがあります。
体調が問題なければ次のチャンスをつかめますが、一度大きなダメージを受けてしまうと、社会復帰までに時間がかかります。
最悪の場合に職場を離れることは想定しつつも、原因を少しずつ解消へと導けるよう努力することが、新たな環境で活躍するための近道になるでしょう。
先にあげたストレスの原因は、孤軍奮闘で解決できる問題ではありません。
完全に一人で仕事をする環境に置かれた場合を除いて、社内で円滑に仕事を進めるためには、誰かの協力が必要となるからです。
特に重要なのは、社内で気の合う仲間を増やす努力を忘れないことです。
一見厳しそうに見える人物が、話してみると気さくだったり親切だったりすることは珍しくありませんし、その逆もしかりです。
周囲の人物の性格を見極めるのは、入社間もない時期でなければ込み入った話が聞けないケースもあるため、最初が肝心です。
色々な人とコミュニケーションをとりながら、自分の考えや思いを受け取ってくれる人を探すことが、将来の財産になります。
一定の年数が経過したとしても、人間関係は日々年々変わっていきますから、たくさんの人と接して仲良くなるチャンスをつかみましょう。
コミュニケーション不足から起こる業務の滞りは、入社から時間が経つにつれて、しこりが大きくなっていきます。
教える側は「いつまでたっても覚えない」と不満を感じるでしょうし、教わる側も「言われた通りやっているのに納得できない」とへそを曲げることでしょう。
社風に身体が慣れずにいると、いつの間にか追い込まれるように体調を崩すおそれもあります。
自分に不足しているスキルの習得に時間がかかると、いつしか「無能」の烙印を押されてしまうかもしれません。
このように、自分だけの問題で終わらない原因がストレスになっている場合、職場環境によっては永遠に解決しないリスクもあります。
もちろん、それを理由に退職したとしても、転職市場がそれを好意的に受け取ってくれるとは限りません。
ただ、早い段階で違和感に気付ければ、すぐに次の手を打つことができます。
自分の努力がいつまでも「のれんに腕押し」と感じているなら、できるだけダメージの少ないうちに動くことが大切です。
ただちに退職を検討するほどではないにせよ、現段階で行き詰まりを感じている転職者は、物事のとらえ方と行動を変えるだけで状況が改善するかもしれません。
続いては、仕事がうまくいかない転職者が知っておきたい「自信のつけ方」についてご紹介します。
わたしたちの思い込みは、時に人生を左右するほど深刻なものに発展します。
しかし、思い込みの多くは抽象的であり、例えば「自分はダメな人間だ」という思い込みは、あまりにも対象となる「ダメ」の範囲が大きすぎて、人格・自信の否定につながります。
この点について、ビジネスパーソンの育成トレーナーとして活躍されている認知行動療法士の丸山久美子さんは、マイナスな思い込みの裏側にある「自分の本音」を探し出すことが重要だと言います。
信じていた自分に届かなかった悔しさ・もっとできるはずだという希望を捨てきれない本音が、マイナスの思い込みにつながっているというわけです。
同時に、単純に思い込みを改善するだけでは意味がなく、それに加えて日々の行動も改善していく努力が求められます。
仕事がうまくいかない状況に焦りや憤りを感じている転職者は、前向きな・具体的な行動に至らないまま、悪い思い込みだけが頭の中でリフレインする悪循環に陥っている可能性が高いと言えそうです。
「仕事がうまくいかない」という状況は、シチュエーション・数字を想像することで具体化できます。
営業部門を例にとると、今月ノルマが達成できなかったシチュエーションにおいて、実際のノルマはいくつで、自分はいくつ目標に届いていなかったのかをイメージする流れになるでしょう。
これを、理想・現実・問題の枠に当てはめて考えると、以下のようにイメージできます。
理想:新規契約件数20件
現実:新規契約件数3件
問題:新規契約未達17件
上記の状況だけを見ると、明らかに理想と現実がかけ離れています。
仮に「自分はダメな営業だ」と思い込んでしまったとしても、致し方ない状況と言えるかもしれません。
ただ、問題は数値化できました。
ここから、問題が発生するに至った理由を掘り下げます。
今回の例では、新規契約がまったくできなかったわけではないので、契約できたケースを見直してみることにします。
そして、以下のようなことが分かったとします。
多少雑な判断ではありますが、すべての顧客に対して同じアプローチを試みて失敗したとするならば、失敗したケースでは、少なくとも上記の3点には当てはまっていなかったことになります。
ここで重要なのは、自分の頭で無理やり答えを出そうとしないことです。
自己分析の内容を説明しつつ、うまくいっている人に話を聞いて、解決策を教えてもらうのです。
成功している同僚に確認した結果、自分がノルマを達成できていない理由として、以下のようなことが分かったとします。
今後の対策が決まると、あとは自分が上記の方法を何らかの形で実践できれば、問題が解決する可能性が高まります。
自分が「分かっていないことが分かる」ことで、具体的な行動をとりやすくなるのです。
試みが成功するかどうかはともかく、問題を解決するための武器が手に入ったわけですから、ここからは、自分が「今できること」に集中するだけです。
注意点として、結果を出すことにフォーカスするのではなく、あくまでも自分の行動を目標にすることがポイントです。
このように、相手の立場に関係なく、自分の裁量でカウントできるものをカウントして、自信を積み上げていきます。
その結果、問題が解決できたとしたら、もはやネガティブな思い込みに悩まされることはないでしょう。
転職してから仕事がうまくいっていない人にとって、仕事の内容・社内ルールなど、業務に必要な情報を正しく理解して行動することは重要です。
逆に、わからないことをそのままにしていると、周囲との距離が広がるだけです。
誰かから有益な情報を聞き出すためには、そもそも自分が「どこまで分かっているのか」あるいは「どこまでわからないのか」を、できる限り明確にすることが求められます。
そこで、続いては読書猿さんの著書・独学大全から、わからない状態に対処するための「わからないルートマップ」についてご紹介します。
わからないルートマップは、以下のような形で構成されています。
読書猿さんは、何かがわからないようになったとき、このルートマップを取り出して整理することが、わからない状態を脱するために今できることは何であるかを知る手掛かりになると、著書の中で説明しています。
図の通り、一口にわからないといっても、大きく分けて3つの状況が考えられ、それぞれでわからないことに対する向き合い方が異なります。
読書大全の中では、不明型の「わからない」について、以下のように説明されています。
わかる部分がまったくないかほとんどない場合。何がわからないかもわからない状態。例えばまったく知らない外国語を前にした場合が、これにあたる。
※出典元:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
転職間もない時期で言えば、誰がどんな仕事に携わっていて、自分がどんな仕事で誰と協力関係を築くべきなのかなど、社内全体の事情に精通していない状況が考えられます。
読書大全の中では、不定型の「わからない」について、以下のように説明されています。
部分部分は理解できなくはないが、いろんな解釈があり得て、そのうちどれがよいか決められないという状態。外国語の例で言えば、単語ごとに訳語をあてはめてはみたものの、何を言っているのかよくわからないので、いろいろと違う訳語をあてはめながら試行錯誤しているような状態がこれにあたる。
※出典元:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
転職後の職場環境で考えると、業務上のルールを理解するにあたり、前職の経験をそのまま適用すべきかどうかで悩んでいるケースなどが該当するでしょう。
あるいは、社内ルールの中で一部その根拠が法的に正しいかどうか理解できない部分があり、原理をよく知っている人材を探しているなどの状況も考えられます。
読書大全の中では、不能型の「わからない」について、以下のように説明されています。
とりあえず解釈(どんな風に理解すればよいのか)は決まってきたものの、まだ不整合や矛盾するところが残っていて、首尾一貫した解釈(理解)ができていない状態。
※出典元:独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
職場環境にあてはめると、転職してからある程度知識がついてきて、業務上の基本的な処理方法・スタッフの性格などは理解できてきたものの、経営方針にもとづいた判断を100%の納得度で行えていない状況が想定されます。
既存の例に即してジャッジそのものはできても、本当にそれが正解なのかどうか決めかねている状態を想像すると、分かりやすいかもしれません。
わからないルートマップを転職先で応用する場合、数多くの使い道が考えられます。
例えば、管理職候補として採用されたケースでは、自分が会社に対して何をすることが貢献になるのか、あいまいな場面も多いでしょう。
こと「働く」という場面においては、ミッションを明確にして、具体的な行動に落とし込むことが、わからないルートマップの活用法として重要です。
ここでは、思考フレームワークの一つとしてわからないルートマップをとらえ直し、管理職クラスの転職を例に応用を試みます。
わからないことの方が圧倒的に多い状況では、自分の思い込みや独自の判断は痛い目を見る可能性が高いため、とりあえず「現段階で何がわからないのか」を一通りまとめるのが得策です。
具体的には、職務のコアを押さえた上で、そこから枝分かれした部分を一通りまとめていき、それぞれの動きの中で何がわからないのかをノートなどに書き記していきます。
一例をあげると、経理部門であれば、すべての仕事は基本的に「決算」に向けて動いているため、それに向けてルーティンワークの部分まで動きを落とし込んでいきます。
そこに、社内独自の仕事・判断基準が加わってきますから、骨子の部分をだいたいでよいのでイメージした後、以下のように不明点をあげていくのがよいでしょう。
この段階では、自分の考えを差しはさむことなく、とりあえず不明点を洗い出すイメージです。
そこから、誰かに相談する上で必要な「自分の解釈」を作り上げていきます。
不明型の状況から不定型の状況へと移行したら、今度は自分の解釈(仮説)を準備してみましょう。
先の例を踏まえ、自分が置かれた状況から確認できる範囲で構わないので、仕事の進め方やスタッフの役割などを把握していきます。
自分だけで確認できる限り、これだけのことがわかったとします。
それでもまだ、この段階では正確な理解とは言えないため、次のステップに進みます。
不定型の「わからない」を整理したら、いよいよその理解をしかるべき人物に確認します。
会社について不明な点を確認するわけですから、自分よりも社内の事情に精通している人物に確認を取ることになります。
具体的には、一緒に働くメンバーや、直属あるいはそれ以上の上司、別部署・別拠点の人物などから、幅広い情報を集めなければなりません。
ただ、この段階で行うことは比較的かんたんで、仕事における疑問点が、自分の理解通りの解釈で間違いないかどうかを確認するだけです。
ここで正解を把握しつつ、誤っている部分については正した上で、日々の職務に臨みます。
不定型と不能型のわからないは、行ったり来たりを繰り返して、真実へと向かっていきます。
最終的に矛盾のない解釈に至るためには、わからないことをそのままにせず、仮説を立ててそれを確認する作業が欠かせません。
ある段階では正しいと思っていたことについて、別の人から間違いを指摘されることは、珍しいことではありません。
人間関係が複雑だったり、社員の異動が活発だったりすると、社内ルールが曲解されたままの状態が続くこともあります。
こういったフィードバックが生まれたら、そこから新たに解釈を考え、本当のことを知っている人を探す必要があります。
ともすれば、経営陣でさえ知らなかったルールが見つかることもありますから、転職して期間が短い立場を活かして、積極的に理解を深めることが大切です。
転職者にとって、転職の問題は自分だけのことに感じられるかもしれませんが、新しいスタッフが入社することは、在籍しているスタッフにとって事件でもあります。
どんな人間なのか把握したいという人もいれば、将来的に自分のポジションを奪われるかもしれないと敵視する人もいるかもしれません。
そういった「感情の機敏」を察知して行動するためには、少しでもわからないことを理解して、会社に貢献しようとアピールするしたたかさが重要です。
もちろん、見当違いな考えに陥らないため、日々考えをアップデートすることも忘れないようにしましょう。
今までと違う環境で働くのですから、誰でも最初から活躍できるわけではありません。
それを自覚して謙虚に行動できる人こそ、企業が真に求める人材です。
◎参考書籍