面接の最後に聞かれる逆質問は、応募者の採用を大きく左右するほど重要性は高くないものの、決して軽視できないファクターです。
なぜなら面接官は、応募者の転職に向けた熱意・自社に入りたいという気持ちの強さを、逆質問を通して把握したいと考えているからです。
応募者としても、面接の最後はきれいな形で終わりたいと考えるのは当然ですから、なるべくなら逆質問の時間を有意義に活用したいはずです。
よって、逆質問例に目を通すなど、あらかじめ何を質問するのか考えておくと、スムーズに質問することができます。
ただ、新型コロナ禍にともない普及したオンライン面接では、対面時と違い、場の雰囲気を察して質問するのが難しい一面もあります。
面接官・応募者が、それぞれの話すタイミングを調整しながら話さなければ、あたふたして時間が終わってしまう可能性は十分考えられます。
そこで、この記事では、オンライン面接の現場で戸惑わないために考えておきたい「逆質問例」について、逆質問の重要性や話題の選び方に触れつつご紹介します。
そもそも、面接官が逆質問の場を設けるのは、応募者について知りたいことを把握するためです。
面接官によって優先順位は異なりますが、逆質問の内容から応募者の意欲を判断することが主な目的と考えてよいでしょう。
そこで、面接官が確認したいポイント・悪印象を与えないための基本的なマナーを理解しておくと、どんな質問を考えておけばよいのかイメージしやすくなります。
面接官が応募者に逆質問をするのは、大きく分けて以下の点を確認したいからです。
以下、それぞれの点について、一つひとつ掘り下げていきましょう。
応募者は、建前上「御社だけに絞って転職活動を行っています」などと話すものですが、面接官の多くは、応募者が複数の会社に応募していることも想定しています。
年齢を重ねるにつれ転職の難易度も上がっていきますから、一社だけに絞って転職活動をすることがどれだけリスキーなものか、人事に携わる人間は重々承知しています。
そこで、面接官は「応募者が自社でどのくらい働きたいと思っているのか」を知るために、逆質問の機会を利用しようとします。
建前の部分ではなく、本音を知るために、応募者の質問内容をチェックしているのです。
知らないことを質問しようとする姿勢そのものが、面接官に好印象を与えます。
新たな職場で働く場面を想定しながら、質問事項を考えておくとよいでしょう。
面接官の質問に対して応募者が回答するのが、基本的な面接の流れです。
これに対して、逆質問は応募者側が企業に対して質問をぶつける時間です。
面接の会話の中で手に入った情報をもとに、応募者は自分が疑問に思ったことを質問するわけですが、短時間で自分の考えをまとめて伝えられるかどうかが逆質問では重要です。
逆質問は、応募者の表現力が問われる場面でもあります。
特に、オンライン面接のように、普段の会話と比べてタイミングが取りにくい状況では、面接官の状況を逐一確認しながら回答しなければなりません。
事前にオンライン面接を想定した訓練をするなどして、独特の雰囲気に慣れておくと、面接を有利に進められるでしょう。
面接官は、応募者の質問内容について「なぜそのような質問をしたのか」を考えます。
もう少し具体的に言うと、応募者がどのような考えからその質問をしたのか、深掘りしたいと思っています。
仮に、周囲との足並みをそろえることが重視される社風の会社で「採用後の最短でのキャリアパスはどのようなものになりますか」などと聞けば、早期に出世するため無茶をする人材と誤解を招くかもしれません。
応募者は、あらかじめ社風を理解した上で、質問内容を考えたいところです。
企業によっては、面接官が応募者に何らかの思惑を持って、逆質問の場を設けることもあります。
「応募者が自社に何を求めているのか」について、本当のところを探るため、逆質問を利用するわけです。
応募者に「○○さん(面接官)が、今まで働いてきてよかったと思えるような出来事は何ですか」と聞かれたとき、面接官は戸惑いながらもチャンスだと感じるでしょう。
なぜなら、自社の魅力を等身大で語ることができ、間接的に応募者が感じている不安を解消することにつながるからです。
もちろん、このような質問を想定している面接官も少なくありません。
応募者としては、先輩の感想を聞くことになりますから、特に質問事項がない場合は面接官自身の感想を聞いてみるのもよいでしょう。
逆質問の場で、面接官に悪印象を与えないためには、以下のマナーを徹底しましょう。
以下、それぞれの点について解説します。
逆質問は、少なからず面接官の応募者に対する印象を左右します。
面接の流れの中で良い印象を与え続けていたなら、逆質問の内容だけで合否が決まることはありませんが、全体として五分五分なら良いイメージを残せるラストチャンスとなります。
だからこそ、逆質問で選ぶテーマは、できる限り面接官が気分よく話せるものを選びたいところです。
例えば、以下のような質問をしてしまうと、面接官としては残念な気持ちになるでしょう。
逆質問だからこそ聞ける質問をぶつけて欲しいと、多くの面接官が期待しています。
そこで、当たり障りのない質問で終わってしまうと、せっかく逆質問の機会を設けた意味がありません。
基本的な情報から少し掘り下げた質問をするだけでも、面接官の印象は大きく変わります。
コーポレートサイトで取引先の情報が書かれていたら、どのような縁で仕事をするようになったのかを聞いたり、自社の強みとどうリンクするのかを確認したりすると、面接官は応募者の自社に対する興味を感じ取りやすくなるでしょう。
面接官は、特定の応募者一人だけを相手に話をするとは限らず、同日に別の応募者とも面接をこなす予定かもしれません。
そのような中で応募者が注意したいのは、極力面接官に精神的負担をかけないよう、逆質問を考えることです。
一例をあげると、誰しも同じ質問を繰り返されるのは、あまり心地よいものではありません。
よって、面接の中で話された内容について再度質問するようなことは控えるべきです。
可能であれば、面接の中で新たに生まれた質問も含めて、いくつか聞きたいことを用意しておくと安心です。
働く以上、応募者にとって魅力的な待遇かどうかは重要なファクターですが、ことさらに逆質問の場面で待遇を確認するのはマイナスに働きます。
質問のしかたにもよりますが、休日・給与・残業・試用期間の時期など、具体的な仕事の内容に関係ない部分ばかり質問していると、極端な話「自社以上に待遇が良い環境があれば、内定を辞退されるかもしれない」と面接官が判断するおそれもあります。
例外的に、両親の介護・子どもの教育環境に関する事情から、待遇を確認することは致し方ありません。
しかし、それも事前に応募書類にその旨を記載した上での質問であることが望ましいです。
待遇に関することを逆質問する場合は、自己本位な人材と誤解されないよう、伝え方に十分注意しましょう。
逆質問の機会は、応募者にとって「より詳しく聞きたかった質問」ができるチャンスの一つです。
しかし、あまりにニッチな質問をしても、面接官が困ってしまいます。
応募者が所属するであろう部署の人間が面接官を務めているなら、職種に関する込み入った質問をしても問題ないでしょう。
しかし、人事担当者に営業部門・販売部門の内情を質問するのは、お門違いというものです。
誰が面接官を務めているのかによって、質問の内容を選ばなければ、お互いにとって不毛な時間となってしまいます。
あくまでも、自分と話をしている面接官が知っていそうな範囲で質問することが大切です。
可能であれば、その面接官しか話せないことや、気分よく説明したくなる内容の質問・話題を選びましょう。
直属の上司になる可能性があるなら、採用後は将来的にどんなチームを構成したいと考えているのかを聞いたり、役職が大幅に上なら成功の秘訣を教えてもらったりするとよいでしょう。
オンラインかどうかを問わず、面接の逆質問の中で好印象を与えられる質問には、いくつかの例が存在します。
もちろん、例をそのまま使っても意味がありませんが、応募者の状況に置き換えてアレンジすることで、面接官が質問の意図を理解しやすくなるでしょう。
また、逆質問は応募者側から情報を発信するタイミングでもあるので、質問次第では面接官の心に刺さるアピールタイムになります。
以下の逆質問例を参考に、自分だけの質問を考えて欲しいと思います。
内定を想定した逆質問は、面接官の興味をひく質問の一つです。
優秀と思わしい応募者が採用され、自社で働いた場合を想定してくれているのは、面接官にとっては良い情報となります。
具体的には、以下のような質問をすると、面接官に熱意を伝えることができるでしょう。
「内定をいただいた場合、事前にどのような準備が必要でしょうか?」
「採用前の段階で、最低限頭に入れておくべきことを教えてください」
上記のような質問を受けた面接官は、諸々の準備事項について快く説明してくれるはずです。
直属の上司となるであろう存在が面接に参加しているなら、具体的な配属先についても確認しておきましょう。
大きな組織になれば、応募者が想像していた部署以外で働くことも十分考えられますから、念のため自分の理解を確認しておきます。
具体的には、以下のような質問をしておくと、ミスマッチにつながることを防げます。
「入社後の配属先については、○○部門という理解でよろしいでしょうか」
「先ほどお話いただいたプロジェクトについてですが、私も参加することになりますでしょうか」
どこまで採用への熱意があるかによって回答は変わってきますが、例えば外資系の場合は適性によって部署が変わることもあるため、なるべく明確な回答と、そのように考えた根拠を聞いておきましょう。
最悪、ミスマッチが発生しそうだと感じたら、別の応募先を優先することもできます。
応募者にも同じモチベーションが当てはまるとは限りませんが、面接官が勤務する中で得られた働きがい・やりがいについて確認しておくと、応募先がどんな社風なのか・社員に対して何を要求する会社なのか、大まかに理解できます。
もちろん、面接官の主観も混じってくるため、100%自分の身に置き換えるのは難しいでしょうが、以下の質問に対する回答が、モチベーションアップの参考情報になるはずです。
「仕事を通して、もっとも働きがい・やりがいを感じた場面はどのようなものでしたか」
「社員として働いてきた中で、もっとも困難な仕事について教えてください」
もし、回答の内容が自分の人生の優先順位と一致しているなら、その会社との相性は良いと判断できます。
ややリップサービス的な要素もありますが、オンライン面接がスムーズに進んだ場合は、そのコミュニケーション能力に興味を示すのも一手です。
例えば、以下のような質問をすると、面接官もまんざらではない気持ちになるはずです。
「オンラインの環境下にもかかわらず、会話がスムーズに感じられたのですが、やり取りの中でどういった点に配慮していただけたのでしょうか」
「タイムラグを感じることなく面接が進んだように思うのですが、オンライン面接専用のマニュアルなどはご用意されているのでしょうか」
どちらかというと、将来的にオンラインのやり取りが増えることを想定した、営業職・人事職などコミュニケーションが重要な職種向けの質問と言えるかもしれません。
ただ、思いのほか会話が弾んだと思ったら、他の応募者と質問内容がかぶることを防ぐ意味でも、このような質問を一案として頭に入れておくと安心です。
逆質問そのものが、面接の雰囲気や評価を大きく変えることは期待できませんが、質問内容によっては採用の確率を高めることにつながります。
特に、自分事としてどうしても確認しておきたいことは、遠慮なく聞いておきましょう。
面接官に「なぜその質問をするのか」を意識して逆質問をすると、自分にとって必要な情報が得やすくなります。
面接の中で十分に情報が得られたと思ったら、リップサービスのつもりで逆質問を使うことも想定すると、選択の幅が広がるはずです。
終わり良ければすべてよし。
面接の最後の場面だからこそ、心残りのないようにしましょう。