40代からの転職は、20代・30代の頃と違い、未経験でどんな仕事を選んでも許されるわけではありません。
今まで自分が積んできたキャリアが評価されるため、家族を養うことも考えると、新しい道に一歩踏み出すのは厳しいと思えることでしょう。
しかし、新型コロナ禍を経て、わたしたちの生き方は大きく変化しました。
職場のデスクで仕事ができなくなったり、アルバイト等で十分なシフトで勤務できなくなったりした反面、在宅での副業など様々な方面で活躍できる可能性が見えてきています。
副業が軌道に乗れば、最終的に独立に至る道も見えてきます。
新たな成功の鍵になるのは、いきなり大きな選択の結果に身を任せるのではなく、現職の合間にできそうな「小さな選択」を積み重ねることです。
この記事では、多くの40代の岐路である、転職・副業・独立という3つの選択肢にフォーカスし、小さな選択から人生に変化をもたらすことのメリットについて解説します。
世界中で多くの人の命を奪った新型コロナウイルスの影響によって、日本に籍を置く多くの企業が、働き方を変えざるを得ませんでした。
日本国内で長年続く閉塞感によって、1つの会社に身を任せる生き方に抵抗感を感じている人も、増加傾向にあると言えます。
もともと、会社・ビジネスというものは流動的な性質を持っていて、今日当たり前のことが次の日には一気に崩れてしまうようなケースも珍しくありません。
よって、転職という選択肢を選ぶ人はコロナ禍以前も一定数存在していましたが、新型コロナ禍がその流れをさらに推し進めた一面はあるものと推察されます。
新型コロナウイルスの正体がよく分かっていなかった頃でも、満員電車に揺られながら職場を目指す日本人の姿は、おそらく世界中の人にとって「狂っている」光景に見えたかもしれません。
一方で、やはりそのような状況に違和感を抱き、働き方を変えた人も一定数存在しています。
2020年4月に行われた一般社団法人日本テレワーク協会の調査によると、都内の従業員30人以上の企業394社に対する「テレワークを導入していますか」という質問に対し、導入していると回答した企業は概ね63%という結果が出ています。
参照:テレワーク「導入率」緊急調査結果 (一般社団法人日本テレワーク協会)
また、関東財務局の経済調査レポートによると、2018・2019・2020年の3年間を比較した際、2020年の東京都の転入超過数は過去2年と比べて大幅に減少しており、その数は51,857人[u2] という結果が出ています。
参照:コロナ禍における管内の人口移動 ~コロナ移住はホンモノか~ (財務省関東財務局)
このことから、新型コロナウイルスのまん延を契機に、わたしたち日本人が「何らかの形で働き方・暮らし方を変えなければならない」と危機意識を持っていることが分かります。
オフィス以外の場所で働く機会が増えたことや、都内への転入減の傾向が見られたことなどから、自社のことはともかく、日本全国でテレワークの普及度は高いと思う人もいるかもしれません。
しかし、残念ながらテレワークならではのデメリットもあり、一概にすべての業種・職種にすすめられるものではないことが分かってきました。
関東財務局の経済調査レポートの中で、テレワーク経験者による以下のような「テレワークのデメリット」がいくつか紹介されています。
参考: 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 (内閣府)
経済調査レポートでは、組織の中で円滑にコミュニケーションをとれないことだけでなく、インターネットを介することによるセキュリティ面の不安に関しても触れられています。
在宅という特殊な環境下で、思い通りに仕事ができないことも、デメリットに数えられています。
つまるところ、対面して会話すればスムーズな問題が、パソコン・スマホを介することでかえって遠回りする結果となってしまい、仕事の進め方やとらえ方について考え直さなければならない機会が増えるわけです。
皮肉なことではありますが、テレワークという新しい選択肢が生まれたことで、一定数がそのような環境に馴染めない状況が発生してしまったと言えるでしょう。
テレワークに難儀する人がいる一方で、新しい働き方・生き方を模索せざるを得ない人も増えてきました。
株式会社リクルートがまとめた「兼業・副業に関する動向調査データ集 2020」の中で、兼業・副業経験のある人が兼業等を始めたきっかけとして「新型コロナの影響で兼業・副業を検討した」と回答した人がおよそ76%という数値が出ています。
また、同じ調査の中で「従業員の兼業・副業を認める人事制度はありますか?」という問いに対して、「ある」と回答した人事担当者の割合は49.5%という結果が出ています。
参考: 兼業・副業に関する動向調査データ集 2020 (株式会社リクルート)
注目すべきは、これが「個人が副業を検討している」パーセンテージではなく、企業が「副業を実質的に認めている」割合であることです。
回答したおよそ半数の企業が副業を認めているということは、実質的に「自社の収益だけでは社員の望む給与を支払うことが難しい」と認めているとも解釈できます。
このような結果が出た理由の一つとして、使いやすいクラウドソーシング・スキルマーケットサイトの存在に気付いた人が増えていることは、おそらく無視できないものと思われます。
筆者は30代前半でスキルマーケットサイト「ココナラ」を利用して副業を開始し、ライティングの実績が認められ独立を果たしました。
これは数ある例の一つに過ぎず、実際に同じようなケースを実現している人は増加傾向にあるものと推察されます。
40代になるまで培ってきたキャリアを転職という形で活かすのではなく、副業で活かす。
現代では、副業という「転職に比べれば小さい選択」によって、低リスクでの自己実現・収入アップが実現できる時代となっているのです。
企業の側が、社員の副業を認めざるを得ない状況になりつつある状況で、40代が転職に力を入れるべきかどうかは意見が分かれるところです。
実際のところ、新しいキャリアを構築するにあたり、副業からスタートすることは極めて無難ですから、家族を説得する際にも効果を発揮するはずです。
現職で副業が認められる雰囲気ができているなら、その流れを活かして副業をスタートさせることは、非常に低リスクと言えます。
役職者が副業に携わるのは、スケジュールや機密保持の観点から制限があるかもしれませんが、40代の時点で一般スタッフという状況なら気軽に始められるでしょう。
現状を変えるために転職する場合、以下のようなデメリットを受け入れた上で決断を迫られます。
20代なら「これも一つの経験」と割り切れるかもしれませんが、家族がいる40代がこのような考えを受け入れるのは難しいでしょう。
転職する当人は納得できても、家族は納得できない可能性が高いからです。
逆に、副業にともなうデメリットについて考えてみると、以下のように限られています。
しかも、これらのデメリットに関しては、自分のさじ加減である程度調整がきくため、必ずしも万人にとってのデメリットとはなりません。
副業に充てる時間をあらかじめ決めておく・連休のうち副業に充てる日は1日だけにするなど、仕事がよほど忙しくならない限りは自由に選択できます。
総合的に検討すると、現職の就業規則で副業が禁止されていない限り、会社員が副業を行うリスクは限定的と考えてよいでしょう。
副業選びなら、本業に影響を及ぼさない限りは小さな選択で済みますから、決断のストレスも少なくなるはずです。
40代で副業に携わるメリットは、ともすれば20代・30代よりも多いかもしれません。
なぜなら、今までの人生で培ってきた経験が多い分、副業として提供できる引き出しが多くなるからです。
20代は社会という荒波の中に足を踏み入れたばかりですし、30代は仕事に面白みを感じ始める時期ですから、いずれの時期も副業に力を入れるタイミングとしては早いかもしれません。
その点、仕事や出世という観点から人生の先が見え始めた40代なら、以下の通りセカンドキャリアとして副業を選ぶメリットは大きくなります。
副業に真剣に取り組むことで、直接的に収入を増やすという目的を達成できるだけでなく、仕事そのものに対するスタンスにも良い影響をもたらします。
仕事以外で自由に使える時間があるなら、40代からの副業は大いに検討の余地があります。
働いている会社・組織によっては、残念ながらまだ副業が認められていないケースも考えられます。
そのような場合は、投資という観点から資産形成を行うのも一手です。
こちらも、取り組めるかどうかは就業規則次第という部分はありますが、それでも許される可能性は副業よりも高いはずです。
最近ではサラリーマンが不動産投資を行うことは珍しくなくなりましたし、仮想通貨など新しい投資対象も登場しています。
NISA・iDeCoなど、比較的リスクの低い投資にも注目が集まっています。
ただ、これらの投資には先立つものが不可欠であり、一定額の貯蓄があってこそ冒険ができるというネックもあります。
もし、諸々の事情から貯蓄額に不安があるようなら、執筆稼働をスタートさせるという方法もあります。
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確定申告に影響を及ぼさない範囲の収入は年20万円が上限ですが、それだけの収入が得られれば、サラリーマンにとって大きなものです。
程度を気にしないなら中古車が買えるでしょうし、豪華な旅行を家族にプレゼントすることもできます。
副業が認められない環境でも、現状を改善できる方法は数多く存在します。
自分にとっては一般的・基本的な知識でも、他の人にとっては重要な資産になるかもしれないことを踏まえて、コツコツとブログ執筆からスタートしてみてはいかがでしょうか。
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副業が軌道に乗って、本業と変わらないほどの月収が得られるようになったら、将来的に独立も検討することになるでしょう。
ただ、独立は必ずしも会社を辞めなければできないとは限らないので、冷静に独立の時期を見極めながら検討したいところです。
特定の会社・組織で働きながら法人を設立したり、個人事業主になったりすることは、2021年現在の現行法では禁止されていません。
むしろ、厚生労働省が副業・兼業の普及促進を行うなど、どちらかというと国側が積極的に副業を認めるスタンスが見て取れます。
一昔前は、自社の業務に集中してもらうため副業を禁止している例が多かったのですが、社員の収入を補填する意味合いから副業を認める例も増えてきています。
よって、会社員が副業および独立を考えるにあたって最重要課題となるのは、現在勤めている企業の「就業規則の内容」となります。
独立にあたり、個人事業主となるには「開業届」を管轄の税務署に提出すればよく、事細かな手続きは要求されません。
しかし、法人の設立に関しては設立登記の登録免許税が必要になりますし、原則副業禁止の職場で副業がバレたくないなら注意しなければならない点もいくつかあります。
ただ、配偶者を法人の取締役にするなどして、不動産投資を行っている例も見られます。
つまり、厳しい就業規則の中にも、抜け道はあることになります。
実際に法人を立ち上げて、その収入だけで独立を検討できるかどうかは分かりませんが、前向きに検討できることは確かです。
退職後の独立を前提として、引継ぎ後までの期間で法人を設立するのも、選択肢の一つになるでしょう。
副業から発展して法人を設立する場合、そのまま同じ職場で働き続けることを前提に設立するのは、仮に就業規則で副業を認めている職場であっても難色を示されるかもしれません。
というのも、企業は基本的に自社の情報を他者に漏洩されるリスクを想定しなければならないため、副業という形で社員が勝手に法人・事業主を相手にするようなことは、企業の利益を守るためにも極力避けたいと考えるのが自然です。
実際に、退職する社員を想定して、就業規則の中で以下のことを退職者に禁じている(競業避止義務)企業もあります。
また、前職で知り得た知識について、所定の年数が経過するまで他者に漏らすことのないよう、機密保持契約を結ぶこともあります。
もし、これらの契約・義務に違反した場合、以前働いていた企業から損害賠償を請求されるおそれもありますので、注意が必要です。
ここまでお伝えしてきた通り、副業という小さな選択がもたらすメリットは、自分の今までの働き方・生き方のスタンスを大きく変えてくれる可能性を秘めています。
ただ、そこまで分かっていながら、副業を始める勇気が出ない人もいるでしょう。
逆に、副業でお茶を濁すぐらいなら、転職で一気に人生を変えてしまいたいと考えるのも、無理からぬことではあります。
年収が上がれば、その分だけ余裕のある暮らしが期待できますし、本業のみに意識を集中させることができるからです。
性格によっては、副業が自分自身のポリシーを曲げる結果になってしまうこともあります。
よって、仕事に対して以下のような考えを持っている人は、副業ではなくあえて40代から転職を検討するのも賢明です。
管理職など役職に就いている人なら、部下を管理する都合上、ダブルワークを推奨するスタンスに違和感を覚えるかもしれません。
自分自身が率先して副業に取り組む姿は、自分という個人に対する評価を高める結果につながったとしても、同僚・部下の会社に対する求心力を奪ってしまう結果につながるおそれがあります。
そのような理由から、自分がダブルワークに携わることに抵抗感を抱いてしまうと、副業に身を入れるのは難しいはずです。
ある意味、ビジネスパーソンとしては誠実な人間性と言えます。
他人に話さず黙って副業をすれば、自分以外の人間に影響を及ぼす可能性はないでしょう。
ただ、人の口に戸は立てられぬものですから、どこかで情報が漏れてしまうことも十分考えられることです。
副業は、自分自身のポリシー・考え方を曲げてまで取り組む必要はありません。
経済的な事由からやむなく取り組む・自分の理想とする働き方を実現したいなどの事情がなく、現職にやりがいを感じているのなら、ダブルワークに勤しむのは逆効果になるでしょう。
自分がどうしても転職したい企業と出会ってしまい、そこに入社することを目標としている場合も、副業に時間を費やしている場合ではないはずです。
転職エージェントに登録し、速やかに目当ての企業に転職を成功させることが、自分の望む未来をつかむことにつながります。
ただ、転職のプロセスの一つとして、副業に着手するのは悪い選択肢ではありません。
副業で培った経験をもとに転職を考えている場合は、副業で安定した収入を得ることに力を注いでもよいでしょう。
本業でやってきた仕事が、未来永劫続けたい仕事とは限りません。
絵を描くことを趣味にしてきた人は、画期的なイラストソフトの登場によって、デザイナーになれるチャンスが生まれるかもしれません。
音楽を聴いたりラップしたりするのが趣味だった人が、音楽制作ソフトの進化によってトラックメイカーになるチャンスもあります。
プログラムについて勉強するうちに、ゲーム制作に興味を抱き、やがてインディーズでゲームソフトを発表する未来も十分考えられることです。
副業で得た経験・実績によって、今までは転職先の候補として考えてこなかった企業への道が見えてくれば、新しい世界への扉が開かれます。
自分ひとりで経験を転職に応用するのは難しいかもしれませんが、転職エージェントに頼るなどして、副業での実績作りのゴールに転職を選ぶというのも、決して悪い選択肢ではありません。
現在の職場・企業に対して長年不満があり、体調にも悪影響を及ぼしているような場合は、仮に動機が後ろ向きと判断されても転職を検討した方がよい場合があります。
過労死ラインを超える残業を強要されている・収入面で長年変動がなく子供の進学に影響が及ぶなど、現職を続けることが将来の不安につながっているなら、その状況を打破すべく行動することが必要です。
自分の心身に悪影響を及ぼす職場で働くことは、長い目で見て取り返しのつかない事態を招いてしまうおそれもあります。
40代の生活は、仕事・プライベートの両面で多くの責任が付いて回るものですから、ただでさえストレス因子も増えやすくなります。
仕事でノルマを達成する・子供の相談に乗る・親の介護の準備をするなど、直面する現実は多々あります。
そのような中、40代以上になって体調を崩すと、回復に至るまで長引くことも予想されますから、早い段階で手を打つことが肝心です。
副業は、現職を離れることに比べれば、小さな選択・決断に過ぎません。
しかし、そこから得られる経験は、時に収入以上のものを引き寄せてくれる可能性があります。
十分な経験を積めば独立を検討することもできますし、投資の範囲であれば就業規則に縛られず自由に法人を立ち上げることも不可能ではありません。
逆に、一度転職してしまうと、仮にそこで失敗することで大きなダメージを負ってしまうおそれもありますから、40代以上になったら転職には慎重な判断が求められます。
転職・副業・独立のいずれが最善の選択かは、人によって考え方が異なります。
ただ、最終的にいずれを決断する場合であっても、小さな選択から始めることが、自分の将来・人生を守ることにつながることは、頭に入れておきましょう。
たかが副業、されど副業。
小さな選択をないがしろにしないことが、やがて人生を大きく変革するための糸口になることもあるのです。
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