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会社員を辞める前に知っておきたい、退職時の手続き:健康保険

健康保険は、会社を辞めるまで、なかなか意識することはないでしょう。

しかし、会社を辞めることを、検討しているのであれば、避けては通れないのも健康保険になります。

なぜなら、日本に住む以上、日本は国民皆保険制度を採用しているので、何かしらの健康保険には必ず加入しなければならないからです。

企業を辞める際、健康保険以外にも様々な手続きが必要になりますが、失業手当などの手続きに比べ、健康保険の手続きは非常にわかりにくいといわれています。

そこで今回は、会社を辞める前に知っておくべき事項の1つである健康保険について説明します。

わかりやすく説明をしますのでぜひ参考にしてください。

関連記事:脱サラしたらどうなる?会社に任せっぱなしだった年金の基礎を学ぶ

  

健康保険とは

健康保険とは、会社に勤めている方が加入する保険です。

これまで会社が手続きしてくれていたので、意識したことがない人が大半でしょう。

健康保険の保険料は、年齢や年収によって決まります。

社会保険料は従業員の「標準報酬月額」や「標準賞与額」、社会保険の種類ごとによって定められている保険料率によって計算します。

計算の方法は「標準報酬月額(標準賞与額)× 健康保険料率」です。

  • 標準報酬月額(標準賞与額):従業員の社会保険料を計算するための基礎となる金額、月給(及び賞与)より年収を計算しやすいように区分したものです。
  • 健康保険料率:それぞれの区分に応じて決まっている割合です。 


協会けんぽを例に年収600万円(月額50万円)の方の健康保険料を計算してみます。

引用:健康保険・厚生年金保険の保険料額表より一部抜粋 出典:協会けんぽ

上記の表は、協会けんぽの保険料額表です。

標準報酬月額は30等級(485,000円~515,000円)に該当することから、50万円とわかります。

40歳から64歳までの方は健康保険料率9.90%(49,500円)に介護保険料率1.73%(8,650円)が加わって11.63%(58,150円)を負担しています。

ただし、介護保険料を除いた健康保険料(49,500円)は会社と個人で折半しています。

退職すると、健康保険料は会社負担分がなくなりますので、月額報酬が変わらなければ、単純計算で49,500円増えてしまいます。

任意継続はこれまでの単純計算で倍の負担が増える、と考えるのは早計です。

これから詳しく説明します。

会社を辞めた後の健康保険の選択肢は3つある!

そもそも論ですが会社を辞めると、翌日に今まで加入していた健康保険は失効します。

そして、その後、何かしらの健康保険に加入しなければなりません。

冒頭の所でも説明しましたが、健康保険に加入しないという選択肢はありません。

日本は国民皆保険制度を採用しており、すべての国民に何かしらの健康保険に加入するのを義務づけているからです。

会社を辞めた後の、健康保険の選択肢は3つあります。

  • 国民健康保険に加入する
  • 任意継続に加入する
  • 扶養に入る

扶養については、配偶者などが社会保険に加入しており本人の年収が基準以下の場合は、迷わず扶養に入るようにしましょう。

ただし、国民健康保険に加入するか、任意継続に加入するのが良いのかは人によって異なります。

ここからは、国民健康保険と任意継続について説明しますのでぜひ参考にしてください。

国民健康保険に加入する

国民健康保険は、健康保険やそのほかの公的医療保険に加入していない人が対象で、保険者は市区町村などの自治体です。

国民健康保険の具体的な加入対象者は、自営業者や農業従事者などになります。

この記事を読んでいる方の中には、「会社の時の健康保険と国民健康保険に違いなんてないでしょ?」と思ってらっしゃる方も多いかもしれません。

しかし、健康保険と国民健康保険にはいくつかの違いがあるので、しっかり確認してください。

まず、保険料の負担が大きく異なります。

前述したように、会社員が加入する健康保険の場合は会社が保険料を半分払ってくれます。

会社に属しない方向けの国民健康保険は全額自己負担になります。

また、健康保険の加入者に扶養家族がいる場合、その家族は被扶養者として扱われ、この被扶養者は保険料を支払う必要はありません。

つまり、被保険者の扶養家族の数に関係なく、納める保険料は被保険者1人分なのです。

一方、国民健康保険の場合、扶養家族という概念がないので家族が多ければ多いほど世帯の保険料の負担は大きくなります。

任意継続に加入する

任意継続とは、会社を退職後2年間に限り今まで加入していた会社の保険に継続して加入できる制度です。

ただし、保険料は全額自己負担になります。

「標準報酬月額」が変更なければ負担はほぼ倍になりそうですが、任意継続の被保険者の標準報酬月額には上限が定められています。

実際の金額を協会けんぽを例に計算してみます。

協会けんぽの任意継続被保険者の標準報酬月額は、健康保険法により、①②のどちらか少ない額と規定されています。

  • ① 資格を喪失した時の標準報酬月額
  • ② 前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日時点における全ての協会けんぽの被保険者の標準報酬月額の平均額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額

引用:【健康保険】平成31年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について(協会けんぽ)


つまり、任意継続で健康保険組合に留まる場合は標準報酬月額は新しい仕事の年収に関わりなく「標準報酬月額(30万円)」で保険料を計算します。

40歳から64歳までの方は健康保険料率9.90%(29,700円)に介護保険料率1.73%(5,190円)が加わって11.63%(34,890円)を負担します。

会社負担がなくなり保険料率 (9.9%)を全額負担する一方で、標準報酬月額が 30万円に減少、結果として自己負担額は23,260円減少してます。

退職前と後の健康保険料をまとめると下の通りです。

任意継続は「2年が上限」、「退職日から20日以内の手続き」が必要です。

年収の高い方にとって有利になケースが多いので、手続きの期限に留意して、優先して手続きを考えて良いでしょう。

会社員時代と同様に家族を扶養に入れることも出来ます。

ただし、2年経過後に、会社員に戻らない場合は、扶養に入るか国民健康保険に加入するか選択することになります。

扶養に入れるのであれば最初から扶養に入った方が良いので、ほとんどの方は、大きく状況が変わらない限り、国民健康保険に加入することになるでしょう。

国民健康保険と任意継続どちらが良いの?

国民健康保険に最初から加入するのが良いのか任意継続に加入してから国民健康保険に加入した方が良いのかは、年収によって異なります。

なぜなら、年収によって国民健康保険の保険料が安い場合もありますし、任意継続の保険料のほうが安い場合もあるからです。

出産関連の手当てに一部違いはありますが、基本的に国民健康保険と健康保険で受けられる保障内容は変わりません。

よって、任意継続を選択するかどうかは保険料によって決めるのが最も合理的であるといえるでしょう。

ちなみ、国民健康保険に加入する場合は、退職日から14日以内に国民健康保険へ切り替る必要があります。

保険料は、自治体によって異なりますので一概にはいえませんが、年収500万円が1つの目安になるようです。

40代で管理職の場合、多くのケースでは年収500万円以上の収入があるでしょう。

この場合、任意継続を選択するのが得なケースが多いですので、ぜひ一つの目安として参考にしてください。

ただし、細かい保険料に関しては自治体によって異なりますので、しっかり確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、会社を辞めた後に選択しなければならない、健康保険と国民健康保険について詳しく説明しました。

大企業を辞める場合、多くの方は年収500万円以上あるケースが多いと思いますので任意継続を選択した方が良いでしょう。

ただし、自治体によって保険料が異なりますので詳細については各自治体のホームページ等で確認するようにしてください。

会社を退職すると、様々な手続きをしなければなりません。

特に健康保険等は、会社に在籍した時はほとんど意識することがないものになります。

会社を退職するとなった時に慌てないためにもしっかり手続きや制度について理解しておくようにしましょう。


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