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ハイブリッド勤務や生活中の注意点|つらいと感じたら要注意!

2020年以降、新型コロナウイルスの拡大感染にともなう緊急事態宣言の発令で、人々の働き方にも変化が生じました。

2022年現在では、多くの企業にとって一般的となった「ハイブリッド勤務」または「ハイブリッド生活」も、その一つに数えられるでしょう。

しかし、ハイブリッド勤務は自宅とオフィスそれぞれで仕事をする形になるため、人によっては働き方に慣れるのが難しく、いつの間にかつらいと感じてしまうこともあるようです。

この記事では、ハイブリッド勤務のどういった点がつらいのかに触れつつ、つらさを少しでも和らげるための方法についてご紹介します。

ハイブリッド勤務は意外とつらい?

オフィスに比べると、自宅など会社以外の環境の方が過ごしやすいと考える人は多いでしょう。

しかし、本来であれば「自分の自由な時間を過ごす」はずの家で仕事をすることにより、知らず知らずのうちにストレスが解消されないままの状態が続いているケースも多いようです。

ハイブリッド勤務によって疲れが取れない人は意外と多い

味の素株式会社は、2022年3月にハイブリッド勤務者の睡眠調査を行っています。

調査内容としては、ハイブリッド勤務が及ぼすストレス・疲労の蓄積と睡眠課題の実態についての調査となっています。

ハイブリッド勤務では、会社への出社と自宅等でのリモートワークを交互に行う形になりますが、そのような働き方を続ける中、これまでのようにしっかり眠れなくなってしまった人も少なくないようです。

調査では「ハイブリッド勤務者で直近3ヶ月以内の睡眠に不満や不安など課題を感じている20~50代の男女623名」を対象に、さまざまな調査を実施しています。

全体的なストレスの感じ方としては出社時の方が強い

調査では、リモートワーク・出社時に感じることについて複数の選択肢を用意し、対象者がどの選択肢を選んだのかについて、それぞれ回答の割合が算出されています。

具体的な項目と数値に関しては、以下の通りです。

<リモートワーク/出社の日に感じることの比較(参照資料をもとに作成・複数回答)>

リモートワーク/出社の日に感じることリモートワークの日出社の日
コミュニケーションにストレスを感じる54.940.9
肉体的に、朝起きるのがつらい49.666.6
精神的に、朝起きるのがつらい47.760.7
夜に、肉体的な疲労感が強い36.963.9
夜に、精神的な疲労感が強い52.658.4
翌朝、肉体的な疲労感が残っている43.059.9
翌朝、精神的な疲労感が残っている51.256.8
朝の支度にストレスを感じている47.769.8
終業後の家事などにストレスを感じる45.961.8

※参照元:https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/17994

こちらの結果を見ると、「コミュニケーションにストレスを感じる」という項目以外は、出社の日の方がリモートワークの日の方よりもつらいと回答している人が多いと分かります。

一見すると、リモートワークによってストレスは一定量軽減されているように思えますし、オンラインでのコミュニケーション以外はリモートワークの方にメリットを感じている人が多そうです。

リモートワークの落とし穴

味の素株式会社は、リモートワークの日に焦点を絞った調査も行っており、調査対象者が「リモートワークの日に感じること」についても回答を集計しています。

その中で「オンオフの区切りがつかない」と回答している人は半数以上にのぼり、出社の日に比べて長時間労働となってしまっている人も少なくありませんでした。

会社以外の場所にいる時間が長いことで、かえって仕事の日に感じるストレスの強さが大きくなっているものと推察されます。

また、自宅で仕事をした場合、プライベートな空間と仕事の空間が一緒になってしまうため、そのせいでついダラダラと仕事を進めてしまう傾向も疑われます。

いずれにせよ、ハイブリッド勤務によって仕事とプライベートの垣根がなくなってくると、だんだん生活の中でメリハリをつけにくくなるものと考えられます。

リモートワークを続けたことによる弊害が見えてきたことで、アフターコロナの時代にオフィス勤務が再評価される可能性は十分ありそうです。

睡眠の面で不調を感じる人も

ハイブリッド勤務者は、出社頻度や勤務時間にバラつきが生じやすいため、ともすれば生活のリズムが狂ってしまいがちです。

実際、調査の中で「寝ても疲れが取れない」と回答している人は数多く存在しており、日中に眠気を感じたり、夜間眠っている途中に目が覚めたりする人も一定数存在しています。

また、出社頻度別に睡眠や疲れの度合いを調査した結果では、週3日出社の人がもっとも「日中に眠気を感じる」と回答しています。

このことから、出社の日とリモートワークの日が同程度の割合となっている人は、生活時間にズレが生じやすい傾向にあるものと推察されます。

ハイブリッド勤務がつらいストレスを軽減するという声も

味の素株式会社とは別の調査で、ハイブリッド勤務が逆にストレスの軽減につながっている、という結果が出たケースもあります。

続いては、株式会社ヒューマネージのストレスチェックの分析調査結果をもとに、ハイブリッド勤務のメリットにも目を向けていきましょう。

ストレス状態そのものは、新型コロナ禍2年目を迎えて悪化した

株式会社ヒューマネージのストレスチェックの結果を見ると、医師による面接指導の対象となる「高ストレス者率」は、2020年に比べて2021年の方が増加しています。

具体的には、2020年が11.5%だったのに対して、2021年は13.0%と、1.5%増加しています。

年代としては、20~50代のうち20代・30代の上昇率が高く、若い世代に与える負担が大きいことが分かっています。

ただ、高ストレス者率自体は、すべての年代で上昇しています。

出社のみだけでなく、フル在宅勤務者もストレスを感じている

分析調査では、フル在宅勤務・ハイブリッド出社・フル出社の3種類の中で、それぞれの働き方でどんなストレスを感じたのかについても集計されています。

その中では、ハイブリッド出社がもっともストレス状態が良好という結果が出ています。

ストレスによって起こる心身の反応は、調査の中では5段階で数値化されています。

5がもっともストレスが低く、1がもっともストレスが高いことを示しています。

フル在宅勤務とフル出社は、ともに同じレベルの数値(3.15)でした。

しかし、ハイブリッド出社の数値は3.25で、0.1ポイント高い結果となっています。

また、調査では下位尺度として、以下のような項目も数値化されています。

ストレスによって起こる 心身の反応フル在宅勤務 (在宅勤務のみ)ハイブリッド出社 (出社+在宅勤務)フル出社 (出社のみ)
活気3.023.193.12
イライラ感3.593.533.41
疲労感3.233.223.07
不安感3.283.213.09
抑うつ感3.283.463.37
身体愁訴3.143.243.17

※引用元:株式会社ヒューマネージ|コロナ禍 2 年目、“働き方”がストレスに与える影響

表の中で特筆すべき点としては、フル在宅勤務もフル出社も、ハイブリッド出社に比べて分かりやすい差がある点です。

3つの働き方を比較した際、活気・抑うつ感・身体愁訴についてはフル在宅勤務の方が数値は低く、逆にイライラ感・疲労感・不安感に関してはフル出社の方が低いという結果になっています。

結果を見る限り、一人で働き続けるのも、逆に大勢の中で働き続けるのも、違うタイプのストレスを生んでいることが分かります。

よって、ストレスコーピングの観点から見ると、ハイブリッド出社にも一定のメリットはあると言えそうです。

労働者の「過ごし方」の違いが結果に影響しているのか

味の素株式会社の調査と株式会社ヒューマネージの調査は、そもそも調査対象やテーマが異なるため、単純に調査結果を比較することはできません。

しかし、ハイブリッド出社で不調を感じてしまう人もいれば、完全在宅や完全出社に比べてストレスが少ないと感じる人もいることが、それぞれの調査結果から見えてきます。

一口にリモートワーク・ハイブリッド勤務といっても、具体的にどのような働き方をするのかについては、労働者によって違いがあるものと考えられます。

ハイブリッド勤務の恩恵を受け、心身を充実させて仕事に臨むためには、働く人がそれぞれの時間の過ごし方を工夫する必要があるのかもしれません。

ハイブリッド勤務のつらい不調を改善するためのポイント

会社と自宅(あるいは外出先)という、2つの異なる環境で仕事を続け

ることは、どちらか一方の環境で働く場合とは異なる負担を働く人に強いる可能性があります。

もし、ハイブリッド勤務を続ける中で心身の不調を感じたら、以下のような方法を試してみてください。

普段の食事に気を遣う

主にオフィスで勤務していた頃は、誰もが当たり前のように昼休みをとり、それぞれが好きなランチをとっていたはずです。

しかし、自宅で仕事を続けていると、だんだん仕事とプライベートの境目があいまいになることがあります。

例えば、自宅のキッチンに足を運ぶのがおっくうになり、デスクの前でカップラーメンをすする人がいてもおかしくありません。

仕事を続ける中でストレスを感じ、精神的に不安定になったとき、デスクの近くにお菓子があるとついついつまんでしまうかもしれません。

もちろん、それはそれでストレスとうまく付き合っていくには必要なことでしょう。

しかし、きちんと栄養をとらないと、身体はどんどんつらくなっていきます。

人によっては、菓子パンだけで昼食を終えてしまうケースも十分考えられます。

ビタミンバランス・PFCバランスを意識することのない食事を続けていると、肉体的・精神的な不調に至るリスクが高くなるのは、言うまでもありません。

栄養価の高いレトルト食品・フリーズドライ食品を選んで食べるだけでも、自宅での栄養事情は改善されます。

食事の時間や休憩の時間は、意識してデスクを離れメリハリをつけて、栄養価の高いものを食べるようにしましょう。

意識して「水」を飲む

オフィスではもちろん、自宅や外出先で仕事をしているときも、水分を意識してとりましょう。

特に、コーヒーでもなく紅茶でもなく「水」を飲むことは、心身に良い影響を与えてくれることが期待できます。

イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究によると、知的作業に集中する前に0.5リットルの水を飲んだ人は、飲まなかった人に比べて14%反応速度が速くなったそうです。

参考:水を飲むと脳が活性化する:研究結果

人間の活動にとって、水分は非常に重要な役割を果たしていることが分かります。

逆に、水分が不足すると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることにつながります。

熱中症予防などの目的から水分を摂取する人は多いかもしれませんが、仕事のパフォーマンスを高める観点からも、水分の摂取はとても大切なことなのです。

動画やゲームで身体を動かす

自宅で仕事をしている際は、なかなか休憩をとることに意識が向かず、気がついたら仕事ばかりしている時間が多いかもしれません。

そんなときは、家の中で無理なく身体を動かす方法を、いくつか用意しておきましょう。

もっともかんたんな方法の一つとして、動画サイトでエクササイズ動画を視聴しながら、自分も同じ運動をする方法があります。

ダンスや筋トレ・ストレッチなど、自分の体力に合わせて無理なくできることを、10~15分といったスパンで行い気分転換をはかることをおすすめします。

テレビゲームの中には、身体を動かすタイプのゲームソフトもあります。

スコアを気にせず自分に合った運動を選んで楽しめますし、自分が頑張った結果もデータとして残りますから、何の目的もなく身体を動かすよりも気合いが入ります。

ゲームは苦手という人は、自分が取り組んだ運動を、スケジュール帳に記録するのもよいでしょう。

ダイエットをしているなら、毎日の体重をグラフ化して、運動とその成果を可視化するとやる気が出るかもしれません。

少しでも疲労を感じたら目を閉じる

リモートワーク中、午前中は元気に仕事ができていたのに、午後になって急に眠気を感じた経験はありませんか?

午後はパフォーマンスが落ちやすいので、小休止のために「パワーナップ」を行うことをおすすめします。

パワーナップとは、15分程度の短時間で済ませる昼寝のことで、概ね12~15時の間で15分程度横になるリフレッシュ法です。

目を閉じて横になることで、脳や身体が休まり、頭がスッキリします。

注意点としては、あまり寝すぎてしまうと、かえって頭がボーっとしてしまいパフォーマンスが落ちる点です。

眠るのではなく、脳を休める意識で横になることがコツです。

朝と夜のリズムを作る

仕事に集中すると、昼夜を問わず没頭してしまうことがあると思います。

納期などがある場合は仕方ない部分もありますが、できるだけ朝と夜のメリハリはつけるようにしましょう。

特に、睡眠をとる前の時間の過ごし方は、とても大切なものです。

毎日寝る時間を決めて、よく眠れるよう以下のような準備をしましょう。

  • 寝室では明るい照明をつけず、涼しめの環境を保つ
  • スマホ等はリビングに置いたまま移動する
  • 夕飯を食べたらお酒やコーヒーを控える
  • 寝る前に激しい運動をしない
  • 寝ている間に不安なことが頭に浮かんだら、メモ帳に書き留めて寝直す

また、朝起きるときは、できる限り太陽の光を浴びられるよう、窓のカーテンを開けておきます。

建物の構造上、カーテンを開けるのが難しい場合は、光で起きるタイプの目覚まし時計を使いましょう。

光を浴びて目を覚ますことで、精神安定の観点から重要なホルモン・セロトニンの分泌を促すことができます。

可能であれば、早起きして朝の散歩をするのも効果的です。

おわりに

ハイブリッド勤務は、完全在宅・完全出社と比較して、ストレス軽減につながるメリットがあります。

その一方で、生活のメリハリが失われ、十分に休めないと感じる人も少なくありません。

生活習慣を見直すことが、不調の改善につながる場合があります。

最近リモートワーク続きでよく眠れない、出社の日がおっくうだと感じている人は、意識して水を飲むことから始めてみてはいかがでしょうか。


この記事を書いた人
オンラインスキルマーケット「Coconala(ココナラ)」にて各種ライティングに携わる。会員登録後半年で確定申告を検討するほど収入が増え、1年後には個人事業主として登録。経理職として幅広い業種への転職経験があり、人事系コラムの執筆も行っている。

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