うつ気味の状態での転職は、さまざまな不安を感じることと思います。
「うつだとバレたら転職できないって聞くけど…本当?」
「不採用ばかりだったらどうしよう…」
「今の仕事を無理にでも続けるべきか…?」
結論から申し上げますと、うつ気味でも転職は成功できます。
あなたの今の職場環境より良い転職先は、必ずあります。
うつの悩みを抱えている方の転職活動で最も重視すべきポイントは、面接に合格することではなく「うつ病に理解のある会社を見つけ、そこで働き始めること」です。
この記事では、現在うつ気味で、今の会社で働くことや将来プランに不安を感じているあなたに、転職に成功し心から安心して働き続けるための具体的な考え方とステップを解説していきます。
うつの時は、健康な時の自分には及ばなくとも、まずは小さな一歩を踏み出すことが大切です。その小さな一歩を、この記事をきっかけに踏み出していただけたら嬉しく思います。
厚生労働省のデータによると、2017年時点で精神疾患を理由に医療機関にかかっている人は国内でおよそ420万人と15年間で1.6倍に増加しています。
症状の中で最も多いのは躁うつ病を含む「気分・感情障害」で約124.6万人。全体の3割を占めています。
2019年12月初旬に, 中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されてから始まった新型コロナウイルスのパンデミックの影響、外出も自由にできない中での生活・働き方への影響を考慮すると「メンタルヘルス」=「心の健康」問題はますます深刻になっています。
また、うつ病はどの年代で発症するのかわかりません。
欧米などでは、うつ病の発症は20代半ばが多いとされ、「若年者」のうつ病の割合が高いのですが、日本は欧米と異なり「若年者」と「中高年者」でのうつ病の頻度が高いとされています。
冒頭でもお伝えした通り、憂うつ気味でも転職は成功できます。
具体的なコツを解説する前に、まずはうつの方が転職に失敗してしまう一番の理由をお話しします。
これからの転職を成功させるために最も大切なマインドのお話ですので、しっかりと読んでいただけたらと思います。
うつ気味の方の転職活動で「失敗」してしまう一番の原因は、焦りです。
こうした理由で、転職したこと自体を後悔してしまう方は少なくありません。
私自身もその一人で、世間体や家族に対する責任・どんどん減っていく貯金額を過剰に不安視してしまい、
「転職できたけどすぐ退職して、かえって迷惑をかけてしまった…」と苦い経験をしました。
うつ気味の時は、将来に対する焦りで心がいっぱいになり、物事を冷静に判断できなくなります。
しかも、焦りによって冷静な判断ができない自分に気づかず「仕事に就く」という短期的な目標だけを求めてしまうために、「転職先で長く働く」という長期的な目標を達成できず、結果的に転職に失敗してしまいます。
そのためうつ気味の方は、転職にあたって「長期的な視点を持つ」というマインドが非常に大切になります。
このマインドを心の片隅に常に留めながら、これから解説する『うつ気味の方の転職成功の3つのステップ』を読み、あなたと家族にとって理想的な環境の職場を見つけましょう。
うつ気味で悩んでいる時は、信頼できる他者に自身のうつ状態を客観的に見てもらうことが大切です。
信頼できる他者を見つけて意見をもらうことは、転職にあたり以下のようなメリットがあります。
うつの時に信頼できる第三者を見つけて転職を成功させるには、やはり「心療内科で診察を受ける」ことが最も確実です。
自分の心の状態を客観的、かつ信頼できる形で知る一番の方法は「心療内科で診察をしてもらうこと」です。
「うつ気味なのは感じているけど、病院に行くべきかどうか…」
と悩んでいる方は、迷わず最寄りの心療内科に駆け込んでください。
心の病気に精通した専門家の診察を受け、適切な治療を進めて、まずはうつ気味の状態を寛解させることに努めましょう。
うつをある程度コントロールできてきたら、主治医の判断を守りながら、転職活動をゆったりと進めてください。
それまでは、憂うつな気分を整えることに専念しましょう。
繰り返しになりますが、うつの症状が和らいできても、決して焦らないこと。
厚生労働省の、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』によると、うつ病の再発率は60%にもなるとされています。
引用元:『こころの耳』
心の病もまた、他の病と同じように再発の防止が大切です。再発に関する報告では、うつ病の再発率は60%もあり、その後再発を繰り返すとさらに再発率が高くなるとされています。再発を防ぐために、ご本人は職場復帰をあせらないこと、また、ご家族も復帰に向けた休業中の安心できる環境をつくることが円滑な職場復帰を支援するうえで大切です。ご本人も「もう働ける」と感じても、主治医の意見に耳を傾け、普段の様子を見ているご家族のご意見も参考にして、再発しない、ゆとりのある職場復帰をしましょう。
うつをこれ以上重くさせないように、そして転職先でストレスなく長く働き続けるために、主治医の了解が出てから転職活動を進めるよう心がけましょう。
転職活動に関して最も不安なことは、休職や退職をした後の「お金」ですよね。
うつの方にとってお金の不安は、転職活動の際に最も焦りを感じさせてしまう要素です。
この不安を解消するために、退職時のセーフティネットとして2つの給付金制度を押さえて、転職活動の安心材料にしましょう。
どちらの制度も以前の給料には及びませんが、2つの給付金を受け取ることで、経済的な焦りをかなり減らすことができるはずです。
障害者総合支援法の自立支援給付とは、うつなどの精神医療を継続的に受ける人に対して、自立支援医療費を支給する制度です。
自立支援を受けると、うつの治療にかかる費用が原則1割負担となります。
また、世帯所得に応じて自己負担額に上限が設けられているため、仮に治療費が高額になった場合も安心して最適な治療を選択することができます。
健康保険障害手当金とは、同一の病気によって連続3日以上休職する場合、4日目以降の休みに対して傷病手当金が支給される制度です。
この制度は休職だけでなく、退職後も同じ病気を理由に仕事に就けない場合も、最長で1年6か月の手当金を受け取ることができます。
この制度によって休職前の1年間の平均月給の3分の2の支給額を受け取ることができ、治療に専念しながらも経済的な不安を解消することができます。
参考:病気やケガで会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
うつ気味であることを隠して転職を行うことで、採用される可能性は高まります。
しかし、入職後にうつであることが発覚してトラブルにつながったり、うつ病に理解のない職場で働くことは、あなたの本意ではないはずです。
うつ病かどうかに限らず、転職の真の成功とは「自身の状態を理解してくれる職場で、快適に働き続けること」です。
自分のうつをオープンにすることは勇気が要りますが、短期的な採用ではなく長期的な将来プランを考えた場合、面接時にうつであることを伝えることは、メリットのほうが圧倒的に大きくなります。
日本はまだまだ精神疾患に対する理解が進んでおらず、うつ病やうつ気味の方をおおやけに歓迎する会社は少ないのが現状です。
そのため、うつに対する理解のある会社や職場を見つけるためには、面接時にしっかりと自身の状態を伝えるしかありません。
うつのリスクがあることをオープンにした上であなたを採用してくれた会社は、
「そのリスクを考慮してでも、弊社はあなたを採用したい」
「弊社はそもそも、うつ病をリスクと考えていない」
という考えが現れていることが分かります。
そうした会社に入職することで、うつであることに負い目を感じることなく、自信をもって自分らしく働くことができるようになります。
その会社のメンタルヘルスのサポート体制の充実度や、職場の人たちがうつ病を理解しているかどうかは、うつの方の転職において大切です。
しかしそれ以上に、「うつでも安心して働ける。」と心から思える仕事に就くことのほうが、転職の成功に直結します。
「うつ病がバレると転職できない」と言われることの多いご時世ですが、絶対に転職できないということも、まずあり得ません。
うつであることを告白するリスクより、うつを隠したまま転職することのほうが、長期的に見れば大きなリスクとなります。
あなたのゴールは、採用をもらうことではなく、転職した上で「その会社で気持ち良く働き続けること」ですよね。
絶対数は少なくても、うつ病に理解のある会社を根気よく探し続けましょう。
関連記事:転職後のストレスを題材とした記事です。あわせてお読みください。
・ 転職後に仕事がうまくいかないと感じたら、今「わからないこと」を整理しよう
・ 転職後のストレス、不安の正体
うつ気味・うつ病の方が仕事復帰・転職するための強い味方の外部機関を紹介します。
一人で求職活動をするのは心身ともに大変ですし、非効率です。
体調との相談になりますが、求職の意思があれば、積極的に外部機関を利用するべきです。
「うつであること」で消極的な対応を受ける事はまずありません。
安心して利用してください。
うつ病になりやすいタイプの方は、真面目で優秀な人が多いと広く知られています。
また、心身の調子が整って自信が回復すれば、周囲からの評価が高い方が多いものです。
「採用したいタイプ」として広く企業より求められる人材なのです。
ハローワークではうつ気味・うつ病の方々に幅広いサポートを提供しています。
求職活動を開始したら、最初に相談するべき場所です。
うつ気味・うつ病であることを告げて登録しましょう。
障害手帳の有無は問われませんので、率直に自分の状況を窓口で相談することが肝心です。
障がい者専用の窓口で、うつ病の方に向いていると思われる求人情報を中心に紹介、専門の支援を受けることもできます。
ハローワークには、さまざまな障害について専門的な知識をもつ担当者が在籍しています。
仕事に関する豊富な情報が集まっていて、しっかりとした支援体制が整っています。
求職情報だけに限らず、「求職活動の進め方の相談」「面接対策」「履歴書の書き方指導」など幅広い相談も受けつけています。
求職の強い味方となってくれるでしょう。
参照元:東京労働局「東京ハローワーク」
ハローワーク以外の外部機関(多くがハローワークと連携しています)の多くも就業に向けたサポートを行っていますす。
機関の名称・プログラム・概要をまとめました。
興味のあるかたはぜひ参照してみてください。
精神保健福祉センターとは、うつ病を含む精神障害をお持ちの方のサポートを目的に各都道府県に設置されている支援機関です。
就労移行支援事業所は、65歳未満で一般企業への就職または仕事での独立を希望している方を対象に、就労に向けた支援を行っている事業所です。
障害者手帳は必須ではなく、専門医による診断書があれば支援を受けることができます。
マナー・挨拶・身なり等の習得等から、就職に向けた専門スキルの講習、面接指導、就職先の紹介、就職後の定着支援等、幅広い就労支援を行っています。
地域障害者職業センターでは、うつ病に限らず、障害を抱える一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、復職支援、職業訓練などの専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。
全国47都道府県に設置されています。
障害者就業・生活支援センターは、障害者の身近な地域において、ハローワークをはじめとした雇用関連機関だけでなく、保健福祉、教育等の関係機関を連携する拠点として、就業面及び生活面における一体的な相談支援を実施しています。
復職支援(リワーク・プログラム)とは、うつ病などで休職する方への復職支援を行っています。
適切な医療サービスを受けられる基盤づくりを目指して、「3つのリワーク」が行われています。
求職活動の幅を広げるには転職エージェントの登録をおすすめします。
ハローワークとは違った仕事情報が転職エージェントには集まります。
コンサルタントからのサポートも受ける事ができます。
転職エージェントは紹介先の企業からフィーをもらっているため、利用は無料です。
可能性をひろげるためぜひとも登録を検討してみてください。
いろいろなエージェントがあって迷うかと思いますが、まず大手のエージェント1社または2社に登録、慣れてきたら登録数を広げていくのがおススメの利用法です。
このサイトでおすすめしている大手のエージェントは以下の2社です
atGPジョブトレ うつ症状コースは、障がい者の就職支援実績No.1のゼネラルパートナーズが運営しています。
これまで作り上げてきた企業ネットワークから幅広い求人情報を提供している、おすすめのエージェントです。
うつ症状のある方専門のエージェントですのでコンサルタントの経験値が高く、専門講師によるスキルアップ研修も充実しています。
就職後の高い定着率(91%)を実現する、きめ細やかなサービスを提供できる転職エージェントです。
人材紹介の大手、パーソルグループが運営する障害者のための転職支援サービスがdodaチャレンジです。
障害者手帳をお持ちの方、または申請中の方が対象となっていますので、それ以外の方は、doda(デューダ)に登録して相談することになります。
dodaチャレンジでは障害者雇用に精通した専任のキャリアアドバイザーによるキャリアカウンセリングを受けられます。
大手のネットワークを生かした獲得したサイトに掲載されていない「非公開の求人情報」のご紹介はもちろん、応募書類や面接のアドバイスなど、転職成功のためのサービスを提供しています。
転職活動の成功に際して一番大切なことは、決して焦らないこと。
長期的な視点を忘れずに、まずはうつを解消することに専念しましょう。
そして、自分や家族にとって理想の転職先を見つけるために、今回ご紹介した3つのステップを1つずつ実践してみましょう。
【転職成功の3ステップをおさらい】
①自分の状態を知るため心療内科に通院
②制度を活用して経済的な不安を解消
③うつ気味であることを隠さず転職活動
このステップの通りに、今できることを1つずつこなすことが、うつによる焦りを減らして家族の笑顔を守り、自分らしい人生を歩むことにつながります。
この記事が、あなたの転職に対する意識を少しでも前向きに変えることができましたら幸いです。
あなたの心を追い詰めているのは「焦る気持ち」です。
自分に合った仕事は必ず見つかります。
焦らず、少しづつ、前に向かって行動していきましょう。
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