コロナ禍で倒産する企業は2021年に入ってなお増え続けています。
企業が破綻するということは、職を失う人が増えるということです。
倒産までしなくとも、従業員の給与を下げる企業も少なくないため、当然、生活者の家計も影響を受けています。
新型コロナウイルス流行前と比較して、世帯の収入が減ったと回答した人が36.8%であったという調査結果もあります。
同じ調査では支出が増加したという世帯が35.6%あり、収入が減ったうえで支出が増えるか変わらなければ、家計はどんどん苦しくなっていきます。このままの状況が続けば、企業が倒産するように家計が破綻するリスクもあります。
安定収入があったはずの会社員世帯でも家計破綻の危機にさらされる昨今、どのように乗り切っていけばいいのでしょうか。
収入が下がったとしても、誰もが家計破綻するわけではありません。収入減が家計破綻につながるのは、おもに、以下のようなリスクを抱えている世帯です。
支出が収入を上回れば、家計は「赤字」ということになり、貯蓄を取り崩してゆくしかありません。
まさに家計破綻への道をまっすぐに進んでいくことになります。
収入から支出を差し引いた支出がプラスであれば家計は「黒字」ですが、黒字であっても、収支のバランスが悪ければ、将来の貯蓄額が減ってしまうため、危険であることは変わりありません。
黒字の額を可処分所得(収入から税金・社会保険料などを差し引いたもの)で割った値を「黒字率」と言います。
一般的に黒字率は30%程度が目安とされているため、収入が減った結果、黒字率が30%以下になった場合、危険信号が点灯していると言えそうです。
住宅ローンや子どもの教育ローンなどを抱えている家庭は、毎月の収入からローンを返済しているはずです。
コロナ禍で収入が減っても返済額は減らないため、収入に対しての返済額の割合が高くなります。
このバランスの崩れが家計への致命的なダメージになる可能性があります。
住宅金融支援機構は、コロナ禍以降、住宅ローン返済が難しくなったという相談が急増していることを発表しています.
住宅ローンは返済額を収入の20~25%程度にするのが良いとされています。
もともとギリギリの割合でローンを組んでいた人は、収入減によりこの割合が上がってしまい、家計が苦しくなっているはずです。
では、どうすれば家計破綻を回避できるでしょうか。家計の改善のためにおさえておきたい4つのポイントをご紹介します。
まずは、今現在の家計について、目をそらさずに現実を直視することが大切です。
「今現在、何にいくら使っているのかよくわからない」という状態では改善のしようもありません。
そこで、まずは、ひと月だけでもいいので家計の収入と支出を記録してみましょう。
家計簿をつけてみるのがいいですが、きちんとしたものでなくても、とりあえず「レシートを全部取っておく」というだけでもだいぶ違います。家計簿アプリなども活用してみましょう。
レコーディングダイエットのように、記録するだけでムダ使いが減るという効果もあるかもしれません。ですが、目的はとにかく「ありのままを知ること」です。
家計の現状が把握できれば、ムダに見えるところ、もっと抑えられそうなところが見えてくるのではないでしょうか?
とはいえ、「電気をこまめに消す」「コンビニでお菓子を買わない」といった「そのつど行う小さな節約」はあまりおすすめできません。
そのような節約は継続的な努力が必要で、ストレスにもなりますし、その割に効果が薄いです。
それよりも「固定費を抑える」ことを考えましょう。
ここで言う固定費とは毎月、定期的・継続的に発生する支出のことです。
たとえば、次のようなことをやってみてはどうでしょうか。
こうしたことは、情報収集や手続きの手間をいちどかけるだけで、以後ずっと支出が減らせますから、非常に効率の良い家計改善方法だと言えます。
収入減が家計状況の悪化の原因なら、結局は収入を回復させるのがもっとも手っ取り早い解決策だと言えます。
という方法がまず考えられますが、コロナ禍の求人市場ではなかなか難しいかもしれません。
しかし、求人がゼロになっているわけではありません。
むしろ、コロナ禍の今だからこそ、この状況で求人募集をしているのは体力のある優良企業だと考えることもできます。
転職エージェントなどを活用して、情報収集だけでもしてみるべきではないでしょうか?
関連記事:転職活動のやり方・流れを再確認!転職エージェントからプロへの相談まで
また、副業などで別の収入を得ることも考えていきましょう。
リモートワークが一般化し、クラウドソーシングサービスを利用して、気軽に副業をやりやすい環境があります。
関連記事:今、注目の「副業」の準備、具体的に何から始めればいいかを解説
もし、カードローンやキャッシングなどで生活費を補填しているという人がいたら、家計破綻のシグナルはすでに「赤信号」と言わざるを得ません。
カードローンは、素早く資金調達ができる半面、非常に金利が高いというデメリットがあります。
本来、カードローンは「今は手持ちの現金はないが、買いたいものがあるとき」などに利用するためのもので、比較的、短期間で返済することを想定しています。
収入減で慢性的に生活費が不足している状況などで利用すると、返済ができなくて多重債務に陥る危険性も高いため、利用すべきではありません。
カードローンを使わなければ生活費にも事欠くような状況であれば、もはや福祉の制度に頼ったほうが健全でしょう。
〇生活福祉資金制度による緊急小口貸付等の特例貸付
新型コロナウイルス感染症の影響で生活資金に悩んでいる方に向けて、社会福祉協議会が一時的な資金の緊急貸付(20万円以内)を実施しています。収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯も対象となります。申込の窓口はお住まいの地域の市区町村社会福祉協議会です。
〇コロナ減免制度
失業、収入・売り上げが減少して借りたお金(住宅ローン、事業性ローン、カードローン、クレジットカード債務等)の返済が難しくなった個人や個人事業主を対象にしています。一定の財産を残しつつ、ローンの減額や免除を受ける事ができます。また、制度を利用してもブラックリスト(信用情報)に登録されない、手続きを支援する専門家費用が無料、も大きなメリットです。
関連記事:コロナで借金が返せなくなると自己破産?【コロナ減免制度も紹介】
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家計改善のためのポイントをお伝えしました。
ご紹介した4つのポイントに加えて、大事なコツのようなものがあるとすれば、いずれにせよ、中長期的な視点を持つことです。
今の家計を振り返ることは、自分がどのようなライフスタイルで暮らしているのかを知ることです。
食費や娯楽費、交際費、服飾費といった費目の割合、お金のかけ方は人によって異なります。
これを知っておくことは、いずれやってくる老後のための資金がどれくらい必要かを考えるのにも役立ちます。
また、転職についても触れましたが、たとえ一時的に収入が減ったとしても、今後のことを思えば、今の会社で働き続けるの良いかどうか、という視点も持ってみましょう。
節税のために配偶者が収入をおさえていた世帯も、長い目で見れば配偶者も正社員で高収入を得たほうがいいかもしれません。
コロナ禍による家計の悪化は、その意味で、自分自身のライフプランを振り返るチャンスととらえることもできるでしょう。
この機会に、自分と家族の将来のことを、お金の面からじっくり考えてみてはいかがでしょうか。