金融広報中央委員会の調査によると、二人以上の世帯で世帯主が40歳代の世帯の貯蓄額を調べたところ、金融資産(株式など投資商品も含めた金融資産保有額)がまったくないという世帯が13.5%ありました。
参照元: 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)
つまり「貯蓄がゼロ」という家庭も意外と多いことがわかります。
今現在、収入があって生活できていれば良いのかもしれませんが、いずれリタイアして「老後」がやってくることを思えば、貯蓄ゼロは危険です。
老後を見据えるなら、40代には資産形成をぜひとも始めておきたいタイミングと言えるでしょう。
貯蓄を始めるのに遅すぎる事はありません。
今までの人生を嘆いてもどうしようもありません。過ぎ去った過去・時間は取り戻せないので、これからどのようにしてお金をためていくかを考えましょう。
ではどうやって資産形成をしていけばいいのでしょうか。資産と言うと、株式などが思い浮かびますが、今現在、貯蓄がゼロかそれに近いような人は、まずは定期預金などから始めるべきです。
現在の低金利では、銀行にお金を預けていてもほとんど増えませんが、銀行預金は安全で、いつでも引き出せるというメリットがあります。
急にお金が必要になる事態もありえますから、いざというときのためにも、自由に使える貯蓄のベースをつくっておきましょう。
コツは「天引き」です。
給与などの定期収入の一部を、自動的に貯蓄できるようにするといいでしょう。勤務先に財形貯蓄の制度があれば利用したり、銀行の自動積立を活用したりといった方法があります。
そうして、貯蓄の習慣や仕組みがつくれたら、基礎となる貯蓄を確保しながら、その一部を少しずつ積極的な資産形成に振り分けていきます。
資産形成のためには投資も必要です。とはいえ、まとまったお金を準備してから……と考えていると投資をスタートするのが遅くなってしまいます。
よくある失敗パターンは、退職金を使っていきなり投資してしまうケースです。それまで投資をやったことがないのに、まとまったお金が手に入ったからといって急に始めた投資で成功できるでしょうか?
何の知識も経験もないままだと、銀行や証券会社の営業マンに言われるままハイリスクな商品に手を出してしまう、生半可な知識でFXや仮想通貨に全額を投じてしまうといった危険な賭けに出てしまうこともあります。最悪のケースだと、詐欺に遭ってしまうことも。
そのような失敗を回避するためにも、事前に少しずつでも投資を始め、知識と経験を得ながら、積み立てていくのがおすすめです。
毎月の定期収入のうち、多くはリスクのない定期預金などに積み立てて貯蓄を増やしていく一方、並行して、ムリのない金額で積み立て形式で投資を始めるのが基本パターンです。
投資ビギナーが積み立て投資を始めるなら、投資信託の積み立てが適しています。株式や外貨は値動きが激しいものも多く、あまりビギナー向きとは言えません。
投資信託とは、投資したお金をプロが代わりに運用してくれるという金融商品で、間接的には株式や外貨に投資していることになるのですが、プロの手でリスクがコントロールされています。
特に、インデックスファンドやパッシブ運用型と呼ばれるタイプの投資信託は、「大きく儲かることはないかもしれないが、大きな損もしない」という方針で運用されており、長い目で見たときに徐々に増えていくように設計されています。
インデックスファンドを積み立てで購入すれば、預金するような感覚で投資ができ、銀行の定期預金よりも高いリターンが期待できます。
投資信託を積み立て購入するなら、iDeCoかつみたてNISAを活用するのがおすすめです。それぞれどういう仕組みか、整理しておきましょう。
「iDeCo(イデコ)」は、正式には個人型確定拠出年金といい、自分で将来の年金(老後資金)を準備するための制度です。
証券会社などで専用の口座を開き、申し込むことで、自分で選んだ投資商品を積み立てていくことができます。
商品はインデックスファンドのほか、預金や保険、より積極的にリターンを狙える投資信託(アクティブファンド)も購入できます。商品のラインナップは口座を開いた証券会社によって違います。
iDeCoの大きなメリットは、積立額に応じて、所得控除を受けることができ、節税効果がある点です。毎年、iDeCoで積み立てた額に応じて、所得税・住民税が抑えられる可能性があります。
また、運用によって得た利益や、受取時のお金に対しても、税制上の優遇の仕組みがあります。これらの節税額を加味することで、見かけ以上のリターンが得られるとも言えるでしょう。
一方、注意したい点として、iDeCoに積み立てたお金は、原則として60歳以降にしか引き出すことができません。老後資金を貯めるのには適していますが、緊急時の資金としては使えませんので、あまり多額のお金をiDeCoに投入するのはリスクがあります。
iDeCoに積み立てられる額は、立場によって年あたりの上限があり、会社員なら年間27.6万円、自営業者は81.6万円までです。(※会社員の場合、勤務先企業が企業年金や企業型確定拠出年金制度を持っていると、上限額や利用方法が異なります)
ムリのない金額で始めるのが大事ですが、節税効果は上限額まで投資したときに最大になります。
「つみたてNISA(ニーサ)」は、NISA(少額投資非課税制度)の一種で、インデックスファンドを中心とした投資信託を積み立て購入できる制度です。
証券会社に専用口座を開いて利用しますが、株式投資を行う一般NISAとは同時には利用できません。
iDeCo同様、積み立てた投資信託の運用益・譲渡益は非課税ですが、iDeCoのような所得控除のような仕組みはなく、節税効果は劣ります。
そのかわり、つみたてNISAの購入商品はいつでも売却(解約)できるので自由度が高いというメリットがあります。
ビギナーはどんな投資信託を選べばいいかがわからないものですが、つみたてNISAでは、ある程度、ビギナー向けの商品が並んでいるので商品選びがしやすい点も利点と言えます。
年間40万円まで積み立てることができ、口座開設年から最長20年間、非課税のまま保有しておくことが可能です。
40代から始めて老後資金を貯められる?と不安な方も多いと思います。しかし、大事なのはまず行動することです。一日でも早く始めれば、そのぶん、少しでも多くのお金を貯められます。
そのため、貯蓄額が心許ないという人は、
という方法で、今すぐ資産形成の一歩を踏み出しましょう。iDeCoやつみたてNISAを活用することで、節税しながらリターンを狙えます。
難しく考えすぎず、気軽な気持ちでスタートしてみてください。