「給料に不満がある…」「コロナで会社の将来が不安…」「ギスギスした人間関係に耐えられない…」
こうした理由から40代の方は、実直に働けていた20代・30代と比べて今の仕事に対する悩みや不安を抱えやすく、「辞めたい」「転職したい」と思うきっかけが増える傾向にあります。
総務省統計局が発表した「労働力調査(基本集計) 2021年(令和3年)3月分結果」によると、就業者数は6649万人、12か月連続で減少を続けています。
コロナの影響で会社の業績が振るわない中で、個人として何か行動すべきと感じている方も多いことでしょう。
しかし、40代の退職や転職は若者よりリスクも大きく、長年勤めてきた会社を衝動的に辞めることはご法度です。
そこでこの記事では、40代で会社を辞めたいと思った時に必ず確認すべき3つの注意点と、誰でも実践できる対処法や転職に対する考え方について解説していきます。
①辞めたい理由は明確か?
②辞めた後の転職先は見つけたか?
③家族の安心・安全は守れるか?
この記事を読み、上の3つの注意点を自問しながら、ご自身の辞めたい気持ちを客観的に掘り下げて納得できる選択肢を見つけ出しましょう。
40代で今の会社を辞めたいと思った時は、まず大前提として、辞めたいと思う理由を明確にしましょう。
もっと具体的に言うと、40代の方が長年勤めてきた会社を辞める場合は、第三者が聞いて納得できる理由を持つようにしてください。
仮に、仕事を辞めたい理由が漠然としていて衝動的に退職したとしても、次の仕事に就くことはできるかもしれません。
しかし、前の会社を辞めた理由が曖昧であれば、次の職場でも心機一転どころか同じ失敗を繰り返す可能性があります。
年齢を重ねるほど転職の難易度も上がり、家族や資産など守るべきものも大きくなります。
「仕事を辞める」という人生を大きく左右する選択は、40代であれば事前に周到に準備してもしすぎることはありません。
会社を辞めたいと思った時は、まずその原因を明らかにして、退職や転職が最適解と言える客観的な理由を見つけましょう。
今の会社を辞めたくなり、退職や転職を考え始めたら、まず「辞めたい理由」を紙に書き出しましょう。
家族や友人に相談する時も、会話だけでなく紙やパソコンで文字に書き起こし、辞めたい理由を「見える化」してください。
人が会社を辞めたい理由のほとんどは、次のようにその大半は感情論です。
【会社を辞めたい理由】
「人間関係が嫌だ」
「上司の命令が気に入らない」
「会社の将来が不安」
「今の給料に満足できない」
このように、感情を客観的に整理できるよう文字に書き残すことで、
といったさまざまなメリットを得られます。
衝動的に辞めても「若さ」というアドバンテージでなんとかなる20代と違い、40代の退職は、文字通り人生を一変させます。
自分1人でも、信頼できる人に相談しながらでも、辞めたい理由を文字に起こしてご自身の感情を客観的に整理しましょう。
辞めたい理由を明確にしたら、次はその悩みを今の会社で働きながら解決する方法を考えましょう。
【辞めなくても解決できる場合もある】
・給料に満足できない⇒副業で賃金を補えないか?
・人間関係が悪い⇒関係を最小限に減らすことはできないか?
・会社の将来が不安⇒働きながら次の転職先を見つけられないか?
会社を辞めるということは、これまで当たり前のように毎月振り込まれていたお給料が、翌月からいきなりゼロになるということ。
そのリスクを上回るメリットがあると確信できなければ、40代で会社を辞めることはおすすめできません。
一方、先ほどご紹介した「辞めたい理由を紙に書き出すこと」によって、会社を辞めたり転職することのメリットを見つけ出すこともできます。
その意味でも、辞めたい理由の見える化は非常に重要です。
「退職すれば今よりきっと良くなる」
「今よりもっといい仕事があるはず」
と根拠のない希望にすがる『青い鳥症候群』に陥らないように、辞めたい理由を現実的に考えましょう。
辞めたい理由を客観的に検討した上で「退職が最適解」と判断したら、次は今の仕事を辞める前に転職活動を始めて、次の転職先を見つけましょう。
先ほどもお伝えした通り、40代は家族を養ったりローンを抱えたりと絶対に削れない支出があるため、収入のない状態はかなりのリスクを伴います。
この2つを両立できれば、リスクを最小限に抑え、仕事に対する不安を自ら前向きに解消することもできます。
40代の方が仕事と転職活動を両立すべき理由は、一言で言うなら「リスク回避」です。
40代の転職活動は20代・30代より年齢というハンデを背負うことになり、昨今のコロナ不況も相まって、次の転職先は簡単には見つかりません。
【40代の転職活動の特徴】
・転職活動が長引きやすい
・会社を辞めてから転職活動を始めると職歴にブランクができる
・転職活動が長引くほど生活そのものが不安定になる
上記の不安を取り除くために働きながら転職先を探すことは、40代にとって非常に重要な心がけです。
会社に勤めながら次の転職先を探すことは、今の時代では普通のことです。
特に今のコロナ禍において、終身雇用はもはや当てになりません。
現代はサラリーマンであっても会社の歯車でなく自ら行動し、理想の働き方を貪欲に勝ち取っていく時代です。
また、同僚や上司に転職活動中であることを報告する義務もありません。
自身の職歴やスキルに合った会社を仲介してくれる「転職エージェント」や、企業側からスカウトが届くリクルートサービスなど、工夫次第で時間的な両立も充分に可能です。
今の会社を辞めたいと思い、転職活動を始める場合は、辞めた後の人生設計まで綿密に描きましょう。
40代で会社を辞める時、最も心配なことは「家族の安全・安心」ではないでしょうか。
特に、世帯収入とご自身の収入が比例する家庭では、仕事を辞めることで家族全員に不安定な生活を強いることになります。
仕事を辞めれば、「収入が減る」という現実は避けられません。
その反対に、次の仕事を見つけるまでの生活費を充分に確保できれば、安心して転職活動に臨めたり家族に対する不安も和らぎます。
家族を安心させられるだけのお金についても、会社を辞める前に明確に把握しておきましょう。
収入の有無や大小に限らず、お金に対する不安は「支出を把握する」だけでもかなり解消されます。
食費、光熱費、水道費、住居費、交通費、教育費、医療費などのすべてを含む世帯支出を算出して、毎月いくらのお金が必要かを把握しましょう。
節約や貯蓄の大前提である「家計簿」をつけて具体的な支出額を把握できれば、今の会社を不安なく辞めて、心の余裕を保ちながら転職活動に臨むことができます。
もし次の転職先が決まる前に会社を辞めた場合は、各家庭の貯蓄額にもよりますが、失業手当を受給できる期間を転職活動のリミットとするのも良いでしょう。
現金が給付され時間に余裕ができれる被保険者期間中は、転職活動だけに集中することができます。
失業手当の1日あたりの受給金額は、次の計算式で算出できます
【1日あたりの受給金額=賃金日額×給付率(50%~80%)】
賃金日額は退職退職前6か月(180日)の合計賃金をベースに計算(6か月合計賃金÷180)
年齢と賃金日額により給付率は変わります。年齢が45~59歳の方の給付率は賃金日額により50~80%の間で変動します(下表参照)。
賃金日額 | 給付率 | 給付額 |
---|---|---|
2,500円以上5,010円未満 | 80% | 2,059円~4,023円 |
5,010円以上12,330円以下 | 80%~50% | 4,023円~6,195円 |
12,330円以上16,660円以下 | 50% | 6,195円~8,370円 |
16,660円 | – | 8,370円 (上限額) |
給付額は1日あたり2,059円~8,370円です。
上限額の8,370円に達する賃金日額 16,660円は、月収に変更すると約50万円(16,660×31=499,800)です。
毎月の給料が50万(年収600万円)超の方の受給額は上限の 8,370円です。
受給額の例として①年収600万円超、②年収360万円、の方の計算シュミレーションを紹介します:
例①年収600万円超(退職前6か月の合計賃300万円)の方の場合:
1日あたりの受給金額…8,370円
受給額…月換算 251,110円 (8,370円 x 30日分)
例②年収360万円(退職前6か月の合計賃180万円)の方の場合:
1日あたりの受給金額…5,974円
受給額…月換算 179,220円 (5,974円 x30日分)
失業手当を受給できる受給期間は雇用保険加入期間によって変動します。
例えば20年に渡り会社に雇用されていた方は5か月の間は上記の受給額を受け取ることができます。
総支給額は、支給額に受給期間を掛け合わせて計算できます。
例えば年収600万超の方は上限の月額 179,220円 x 5か月分の 896,100円が総支給額となります。
なお、新型コロナ感染症拡大の影響を受けて退職した方を対象に、失業保険の適用拡大が続いています(2021年5月9日時点)。
自分に適用される緩和条件がないか情報の更新に目を配り、最新情報に合わせてプランを立てることが今まで以上に必要になっています。
失業保険給付を上手く利用する事で、新卒社員の給与にも相当する金額を一定期間給付できますので、制度を上手に利用して転職活動に集中することが可能となります。
ただし、失業手当を活用する場合には次の2点にはくれぐれも注意ください。
①転職などの自己都合退職の場合、給付制限によって離職後3か月は手当を受給できない
②あくまで退職前前に次の職場を見つけることを優先すべき
失業手当は、例えば急なリストラによって転職先を見つける前に会社を辞めさせられた時などのセーフティネットとして活用すべき制度であり、給付金を最初から当てにするべきではありません。
しかし、家族全員が安全・安心に暮らせるよう、収入の柱を1つ以上は確保した上で期限を区切って転職活動をスケジュールするのは有効な転職戦略となるでしょう。
関連サイト:給付金額を計算できるサイトが簡単に探せるはずです。
その中で、電卓やGショックで有名な「カシオ計算機株式会社」のサイト (雇用保険の給付額(失業給付金)の計算 – 高精度計算サイト) が良く出来ています。興味のあるかたはぜひチェックしてみて下さい。
背負うものが多い40代の方がそれでも「会社を辞めたい」と思った時は、退職後のリスクと転職のリターン(メリット)を事前に把握することが大切です。
今回の記事で最も重要なことは、辞めたい理由を必ず明確にして、まずは今の会社を辞めずに問題を解決できる方法を模索すること。
安易な退職は、その後の人生を棒に振ってしまう可能性もあります。
その一方で、辞める決断をした時は、スピード感をもって転職活動に取り組むこと。
若者より時間の相対的な価値が高い40代だからこそ、無駄のない転職活動はそれだけ多くのリスクを減らしてくれます。
コロナ禍で誰もが日々の仕事に不安を感じている今、将来を見据えて現状に向き合う貴方の人生が、この記事をきっかけに少しでも前進することを願っています。
仕事を辞めたくなる理由は沢山あって、辞めるのはとても簡単です。
しかし、安易な見通しで退職、転職は、取り返しのつかない失敗につながります。
40代以上の転職活動は慎重の上にも慎重を重ねて進めることが肝心です。