かつての転職市場で「転職35歳限界説」が唱えられていた時代は終わり、少子高齢化が進む日本において、40代は即戦力・幹部候補などの有望な人材枠として再評価されています。
一部地域や業種では、未だ40代以上の転職は厳しいとみる向きもありますが、その人に合ったポストや待遇を選んで転職活動を行えば、人材不足の業界など、多くの職場でチャンスはたくさんあります。
転職の難易度に変化が生じ、チャンスが生まれやすくなった一因として、「転職エージェント」の存在があげられます。
転職が比較的ネガティブにとらえられていた頃は、求職者がハローワーク・求人サイト・求人雑誌などをチェックして、働きたい企業を選ぶのが一般的でした。
しかし、時代の変化から転職市場に活気が生まれる中で、転職や業界に詳しいエージェントが求職者を分析し、適切な業界・企業とのマッチングを実現してくれるエージェントサービスが注目されるようになります。
やがて、転職エージェントサービスは転職活動の主流となり、特に一定のキャリアがある人は積極的に転職エージェントを活用する時代が到来しました。
この記事では、そんな転職エージェントについて、40代が活用する際に覚えるべき「3つの基準」についてお伝えします。
できる限り良い条件で転職できるようにするため、そして自分が望む企業への転職を叶えるためにも、これからご紹介する3つの基準は必ず押さえておいて欲しいと思います。
そもそも、転職エージェントを選ぶ基準は多様であり、年齢・性別・環境・キャリアプランなど、様々な観点から選ぶことができます。
総合型・業界特化型・職種特化型など、エージェントの種類や得意分野にも違いがあります。
ただ、選ぶ際に押さえておきたいのは、自分が「転職市場においてどのような存在であるか」という点です。
自分が40代なら、40代として転職先を探すことを想定して、成功率が高そうなエージェントを選ぶ必要があります。
その具体的な基準こそ、以下にあげる3つの基準です。
これらすべてを満たす転職エージェントを選ぶことができれば、転職活動は驚くほどスムーズに進むことでしょう。
1つ目の基準は、求人案件の絶対数が多いことです。
これは40代に限った話ではなく、転職エージェントを選ぶ際の重要な基準です。
数だけの話で言えば、求人サイトの情報にも当たった方が良いと思えますが、転職エージェントを選ぶこと自体に重要な意味があります。
というのも、転職エージェントには「非公開求人」という枠があり、表面的に見える求人以上の求人案件がそろっているからです。
エージェントサービスのサイトをチェックすると、求人数が掲載されている枠内に「公開求人数○○件/非公開求人数○○件」といった記載が確認できます。
非公開求人を含んだ形で件数を公表しているところもあるでしょう。
なぜ、転職エージェントでは非公開求人という形を取っているのでしょうか。
理由の一つとして、採用活動を行っていることを伏せている企業が、管理職や経営幹部など自社にとって重要な人材を求めている場合があります。
40代という年代を採用したい企業の思惑を考えると、新卒・第二新卒採用のような募集の仕方ではなく、求職者に「一定のポジションに就いてもらうこと」を期待しての採用活動となるでしょう。
具体的には、役職者経験がある人が欲しい・会社の重要なポジションを任せたい・専門的な知識に富む人材を探しているなど、自社のビジネスの主軸・根幹に携わる人材を求めるケースが考えられます。
つまり、求人をオープンにすること自体が自社にとってマイナスとなるような求人が、転職エージェントには存在していることになります。
言い換えれば、求人サイトに企業情報をある程度オープンにしている会社は、40代にとってそれほど魅力的ではないケースが多いということです。
40代向け優良案件を探す意味でも、まずは非公開求人も含めて求人数が多い転職エージェントにフォーカスするのが、40代の転職活動を有利にするポイントとなります。
また、求人案件が多いということは、求人案件の回転率が高いことを意味しています。
業界内外での知名度・優良案件の数にも少なからず影響しており、やはり大手はその分アドバンテージがあります。
転職活動を円滑に進めるためには、転職エージェントの規模感を確認する意味でも、求人案件が多いところを選ぶべきだと言えるでしょう。
それでは、具体的に「求人数の多さ」だけで選ぶなら、どういったタイプの転職エージェントを探すべきなのでしょうか。
回答としては、まんべんなくオールジャンルを網羅する「総合型」の転職エージェントが該当します。
総合型の転職エージェントは、とにかく求人数はたくさんあるので、選択肢が豊富です。
数多くの求職者を担当する分だけ、キャリアコンサルタントの経験値も高い傾向にあり、初めてエージェントサービスを利用する人でも安心して利用できるでしょう。
注意点としては、その登録者数の多さから、対応がやや画一的になりがちな点があげられます。
業種・職種問わず転職先を検討できるので、自分が経験している業界以外でも幅広く転職先を探したい人に向いています。
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2つ目の基準は、1つ目の基準を少し掘り下げたもので、40代の求人数が多い転職エージェントを選ぶことです。
この「40代の求人数が多い」という点が重要なポイントになるのですが、求職者の年齢層を想定して転職エージェントを選ぶことは、40代以降の転職を成功させる上で非常に重要です。
若年層と中堅層とを比較した時、転職の案件が多く転職市場でも有利なのは、言うまでもなく若年層の方です。
言い換えれば、企業が求める職務は、若年層と中堅層とで大きく異なります。
じっくり社風に溶け込んでもらい、10年・20年スパンで成長してくれる人材を探すという観点から考えると、伸びしろが十分あるものと見込まれる若年層を採用したいのは、どの企業でもほぼ同じでしょう。
一方、中堅層に企業が期待するものは、長い社会人経験で築かれた貴重なキャリアです。
すると、企業が求める条件は自ずと変わりますから、若年層と同じ土俵で転職活動を行っても勝ち目はありません。
逆に言えば、キャリア重視の採用を検討している企業に対して、若年層が付け入るスキは少ないでしょう。
このあたりの事情を転職エージェント側も心得ており、40代・50代向けの求人数・求人案件に力を入れているエージェントは少なからず存在しています。
ターゲットとなる年齢が明確になっているエージェントを利用した方が、自分の望む条件で転職しやすくなることは言うまでもありません。
20代向けのサービスであることを標榜している転職エージェントでは、サイト全体がさわやかなイメージで構成されており、給与面よりも待遇面のメリットを重視しているところが多く見られます。
これに対して40代向け転職エージェントのサイトでは、年収面でのメリットやキャリアアップの成功例などがアピールされており、若年層が敬遠せざるを得ない雰囲気が醸し出されています。
サイトの雰囲気だけでもこれだけ違うのですから、求人数・求人案件に違いが見られるのは当然のことです。
総合型転職エージェントでも、40代・50代向けの案件は少なからず存在していますが、転職を成功させたい中堅層にとっては、できれば40代以上にフォーカスしたサービスを受けたいのが人情というものです。
40代・50代の求人案件にも力を入れているエージェントを選ぶことで、給与・賞与・その他の福利厚生や就業条件など、自分が望んだ待遇・条件の企業へ転職できる可能性がグッと高まります。
サイト内で年代を指定している転職エージェントを選ぶのもよいのですが、総合型でも転職の成功例を見て「40代以上の年収アップ例」・「40代以上のポジティブな意見」が多く紹介されているところを選ぶのがよいでしょう。
どうしても転職エージェントを特定できないなら、一つの方法として「業界特化型エージェント」を選ぶことをおすすめします。
具体的な業界が特定できる分、コアな情報に触れることができますし、企業とエージェントとのつながりによって採用へのルートが開かれることも期待できます。
ただ、業種によっては就職先が都市圏に集中しているケースもあるので、他のタイプのエージェントとバランスよく使うことをおすすめします。
いずれにせよ、40代以上が転職エージェントを選ぶ際は、年齢に対応した求人数が多い点に妥協することなく、多方面からエージェント探しを進めましょう。
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3つ目の基準は、求職者に対するサポートが充実していることです。
転職エージェントを利用する人は、転職経験者ばかりではありませんから、多種多様な経験を積んでいるキャリアアドバイザーが在籍している方が求職者にとっては望ましいでしょう。
一方で、特定の業界や職種の事情に精通しているアドバイザーを選ぶことも、効率的な転職活動を行うには重要です。
欲を言えば、網羅性と専門性の双方を兼ね備えている転職エージェントが理想ですが、求職者それぞれにとって完璧なバランスで成立している転職エージェントを見つけるのは、なかなか骨が折れる作業です。
そこで、一つの視点として、求職者に対するサポート制度の充実度をチェックする方法があります。
具体的には、以下のような要素に注目して、サポートのレベルをチェックしていきます。
履歴書・職務経歴書など、各種応募書類の作成は、転職慣れしていない求職者にとっては鬼門の一つに数えられます。
自分の過去の経験と向き合って書き綴らなければなりませんし、時には自分の未熟さから、どのように書類をまとめればよいのか分からなくなることもあるからです。
ネット上の情報をあさったり、購入した履歴書用紙に書かれている書き方のサンプルを見れば、基本的な書き方自体は理解できるかもしれません。
しかし、それらの情報は、例えば「通算の転職回数が3回以上になる場合はどのように職歴をまとめるべきなのか」・「高校卒業後から時間が空いたのちに通信制大学を卒業した場合は学歴をどう書き直すべきなのか」など、個々のイレギュラーケースには対応していないことがほとんどです。
職務経歴書については、自分の強みをキャリアにからめて文章化する能力が必要なので、文章作成が不得手な人はさらにストレスを感じるでしょう。
そんな人は、自分の長所だけをまとめる自己アピールなどもう正直お手上げ、といった状況におちいることでしょう。
転職エージェントサービスは、そういった求職者の悩みに寄り添い、個々のキャリアに応じた最善の書類を作成するサポートをしてくれます。
また、企業とのつながりから「企業に訴えるアピール方法」を熟知しているコンサルタントと関係が築ければ、より効率的に書類選考を通せる書類作成が可能です。
もちろん、絶対に受かる書類の作り方などは、転職市場において存在しません。
トライアンドエラーを繰り返すのは当然としても、そばに自分を支えてくれる存在がいれば、転職活動を前向きに進めることができるでしょう。
新卒のように、質問内容や面接の形式がある程度決まっているケースとは異なり、中途採用での面接は「ぶっつけ本番」が基本です。
企業の雰囲気や面接官の対応によっては、自分の実力を十分に発揮できず、アピールポイントを明確に伝えるのが難しいかもしれません。
せっかく採用されるレベルの実力があったにもかかわらず、コミュニケーションが不十分で不採用となってしまうのは、企業・求職者お互いにとって不幸なことです。
それを避ける意味でも、面接に臨むためのスタンスを、自分に合った形で構築しておくことが大切です。
スタンスを構築するための具体的な方法はいくつかありますが、転職エージェントのような「プロの目」を使ったサービスで活用したいのが、模擬面接です。
模擬面接と聞くと、面接が苦手な人向けに、雰囲気・面接の流れをあらかじめレクチャーする場とイメージする人が多いと思いますが、もっと大事な点があります。
それは「自分のアピールや会話の長所・短所」について指摘をもらうことです。
模擬面接というからには、一人で面接を行うことはできません。
面接は、最低でも求職者と面接官がいなければ成立しません。
面接官役となる担当アドバイザーは、模擬面接の中で求職者側の「アラ探し」をした上で、より良い結果を生むためのフィードバックを返してくれます。
面接における会話の一連の流れから、目標とする企業の担当者が評価するポイント・逆に敬遠するポイントを教わることができ、どう話し方や内容を変えるべきなのかが分かります。
例えば、圧迫面接のように求職者側のストレス耐性・対応力を確認するような面接では、メンタル構築の技術や具体的な回答方法などを詰めておかないと、当日にアタフタしてしまうおそれがあります。
その点、模擬面接で事前に対応の仕方を学んでおけば、相応の自信を持って本番に臨めます。
転職エージェントの魅力的なサポートの一つに、キャリアカウンセリングを受けられる点があげられます。
キャリアカウンセリングとは、求職者が抱えている悩みを解決に導くため、主に仕事の面から生き方についてサポートするためのカウンセリングです。
自分に適性のある仕事とはどのようなものなのか。
現職と比較して、新しい職場でどのようなキャリアを積むべきなのか。
最終的なキャリアパスとして、どこを目指せばよいのか。
こうした悩みは、なかなか求職者本人だけでは結論が出しにくいものです。
そこで、キャリアアドバイザー・キャリアコンサルタントなど、転職エージェント各担当者とのキャリアカウンセリングを通して、最適解を探っていきます。
求職者は、第三者かつ専門家からアドバイスを受けることで、自己理解が深まっていきます。
その結果、より良い意思決定ができるようになり、職場選びにも自分らしさ・根拠が生まれます。
中には、ポジティブな理由からだけでなく、パワハラ・セクハラのようなネガティブな理由から転職を検討する人もいるでしょう。
そういった理由についても、プロは決して後ろ向きになることなく、前向きな解決策・考え方を教えてくれるはずです。
その他、転職について求職者の立場を理解しようと試み、手厚くサポートしてくれるエージェントを選ぶことが、40代の転職を成功させる秘訣です。
40代以上で転職を志す場合、年齢を経ている分だけ生き方・ものの見方にバイアスがかかっている点は否めず、新卒・第二新卒と比較して選り好みや判断ミスのリスクが高くなります。
人生経験が豊富な世代こそ、他者のサポートが重要な役割を担うのです。
たかがサポートとあなどることなかれ!
サポートが充実している転職エージェントは、企業との日程調整や各種条件の交渉など、様々な点で私たちの力になってくれます。
求人案件の数も重要ですが、それと同様に重要視するべきなのが、転職関連のサポートの充実なのです。
関連記事:エンワールドの評判:ハイクラス案件に強み!転職者の約半分が40歳以上
以上、40代が活用するべき転職エージェントの基準・正しい選び方などについてお伝えしてきました。
まとめると、
これらの条件を満たす転職エージェントを活用すれば、40代以上の転職活動がスマートになる確率は高くなるでしょう。
逆に、上記の条件を満たさない転職エージェントを利用すると、自分が思っている通りに転職活動が進まないかもしれません。
おすすめなのは、できるだけメリットの異なる転職エージェントに複数登録することです。
総合型の転職エージェントだけでなく、業界特化型・職種特化型にも首を突っ込んでおき、多方面からチャンスをつかむ行動力が大切です。
このように話すと、時々「穴場の転職エージェントを探して登録しよう」と考えて、的外れな転職活動を行う人がいます。
しかし、転職におけるチャンスや可能性は、求人の絶対数と確度の高いアドバイスに裏打ちされるものですから、いきなり穴場狙いはリスクが大きいと言わざるを得ません。
よほど特殊な業界を目指すなら、確かにその業界に精通したエージェントの意見を聞いた方がよいでしょう。
ただ、転職という人生の重要な決断・生活に直結する決断を行う場合、あまりに選択肢を絞り込んでしまうと、かえってより良い条件を見落としてしまうおそれがあります。
賢明な読者の皆さんは、今回お話した条件を満たさない転職エージェントを使っていても、自分が望む条件での転職が難しいことはもちろん、応募すらままならないことが容易にイメージできるはずです。
転職エージェントに「穴場」などなく、(企業側・応募側共に)利用者が多い転職エージェントを活用するのが、正しい40代の転職活動だと言えるでしょう。
関連記事:転職エージェントの対応が悪い?40代からの転職を成功させるコツは?
もし、自分に合っている転職エージェント選びに迷ってしまったら、ぜひ思い出して欲しい転職エージェントが2つあります。
王道かつ40代以上の方におすすめな「パソナキャリア」と「doda(デューダ)」は、どちらもこの記事でお伝えしてきた基準をすべて満たす希少な存在です。
ともに大手エージェントで、取り扱う求人案件の数が多く、職種も営業・管理・IT・マーケティングなど幅広く存在しています。
もちろん、40代以上を想定した求人案件も充実しています。
在籍しているキャリアアドバイザーからは、仕事の紹介・面接対策・入社までのフォローなど、幅広いサポートを受けることができます。
忙しい中で転職活動を進めていきたい人でも、安心して動ける環境が整っている転職エージェントです。
転職活動が初めての人や慣れていない人、経験者でも妥協せずに条件に合う企業を探したいと思っている人は、まずはパソナキャリア、doda(デューダ)、のどちらかを利用して転職活動をスタートしてみることをおすすめします。
プロの力を上手く利用できると「転職の成功」の確率が高まります。
エージェントのサイトを眺めても、登録の一歩が踏み出せない人が多いものですが、登録して担当者と面談を始めると意外に話は進むものです。
少しの勇気をだして前に進んでみてはいかがでしょうか?