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元銀行員が教える借入戦略~無借金での起業はナンセンス!

借入の使い方

40代・50代の方で自分のキャリアに悩みを持ち、起業をしたいと考えている方が増えています。

キャリアの悩みとは人それぞれですが、40代や50代にもなると、ある程度は会社での行く末が見えてくるものです。

これは何も会社でうまくいっていない方だけではなく出世街道に乗っている方にも同様の悩みがあります。

出世街道に乗っていても、勤めている会社・現在している仕事に疑問を持っている方もたくさんいるでしょう。

また、平均寿命が伸び続ける早期退職を促す企業が増えているなどライフプランを策定する上で1つの会社に頼る事は非常に危険な時代になっています。

キャリアを振り返り、今後のライフプランを考え、起業したいと思う事は自然であるといえるでしょう。

しかし、実際に行動に起こそうと思うと多くの方は躊躇するのではないでしょうか?

なぜ躊躇するかというと「お金の問題」がつきまとうからです。

そこで今回は、起業に関するお金の問題について説明をします。

ぜひ、起業を考える上での参考にしてください。

 

起業をするうえでのお金の心配とは?

企業の際のお金の心配(イメージ)

 

起業をする上でのお金の心配とは具体的にどのようなものでしょうか?

人によって悩みは違いますが共通して多いのが下の2つになります。

  • 起業するといっても手元にお金がない
  • 会社を辞めて家族を養えるか心配

この悩みは、要は起業して、うまくいくかどうか心配というところにつきます。

なぜ起業をしてうまくいくかどうか心配なのでしょうか?

それは、現在手元に資金がなく経営を軌道に乗せることができるかどうか不安ということになるでしょう。

もちろん、創業する際、お金がたくさんあることに越した事はありません。

しかし、手元にお金がたくさんなくても起業をすることができます。

なぜなら、現在の日本には、起業をする人に優しい融資制度があるからです。

 

中小企業向けの創業融資の借入は優遇されている

創業融資(イメージ)


 

日本の活力は、中小企業です。特殊な技術を持っていて、大企業には真似できないサービスを提供している会社がたくさんあります。
  

中小企業の圧倒的な存在感

日本の産業全体における存在感は圧倒的です。

5年毎に行われている2016年の経済センサス活動調査のデータよりグラフを作ってみると、企業数、従業員す、付加価値額、全ての指標において、その存在感の大きさが明らかです:

中小企業の存在感は圧倒的

参照元:2016年の経済センサス活動調査

個人事業主を含む中小企業(中小企業基本法により定義づけ:製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下、サービス業は資本金5千万円以下または従業員100人以下など。

小規模事業者は製造業の場合、従業員20人以下の企業)は企業数で全体の99.7%、従業員数で68.8%を占めています。付加価値額(企業が事業活動によって生み出した価値を数値で表したもの、利益とほぼ同義語)は52.9%になります。

中小企業存続の重要性

少子高齢化により、この中小企業の経営者の高齢化による事業継続の問題が深刻化しています。今後20年程度で多くの中小企業がなくなってしまうかもしれません。

従業員数で全体の約7割を占める中小企業がなくなってしまっては雇用の受け皿がなくなってしまい日本の産業界全体は立ち行かなくなります。
  

起業家への期待との手厚い保護

日本の永続的な成長のためには中小企業の事業を継承していかなくてはなりません。起業家の始めるビジネスは、中小企業の事業継承の担い手として大きな期待を集めています。

起業の推進は重要な国策となり、厚生労働省、経済産業省、をはじめとした国家機関が資金面で起業を手厚くバックアップしています。
  

日本政策金融公庫が用意している創業者向け融資とは?

日本政策金融公庫は、起業する人向けの様々な融資制度を用意しています。

日本政策金融公庫とは、国がバックアップにある金融機関というふうに思ってください。

国がバックアップしているので民間の金融機関では行うことができない様々な融資制度を用意しています。

例えば、新創業融資制度という制度があります。新創業融資制度とは、担保と経営者本人の個人保証が不要の無担保無保証で最大3,000万円までの融資を受けられる制度です。

もちろん、政府系金融機関になりますので金利も民間金融機関に比べ低く設定されています。

この融資制度を使えば、手元に十分なお金がなくても起業をすることが可能です。

また、55歳以上のシニア、35歳未満の若い人、女性、を対象に金利などの条件を優遇する制度も充実しています。

日本政策金融公庫は起業する人たちを資金面で助ける強い味方なのです。

参考:融資制度一覧/日本政策金融公庫

  

借金は悪?

ここまで読んでいただいた方の中には、「そもそも借金をしてまで起業なんてしない方が良いのではないか?」と考えられる方もいるでしょう。

日本人は、学校教育の影響からか借金を悪だと考える人が多くいます。

本当に借金をして経営することはいけないことなのでしょうか?

自宅を購入する際に住宅ローンを利用するのは一般的です。全額キャッシュで準備するまで待っていると、いつまでたっても家を買うことは出来ません。

起業する際も同じです。タイミングを逃さずに借金を正しく利用するべきです。

お金を借りるのを前提に起業を計画して、経営の継続に力を入れる、のは正しい戦略です。借金と上手に付き合いましょう。

 

借金との上手な付き合い方

借金経営がよい理由(イメージ)

借金前提の経営が望ましい大きな理由は2つあります

  • 借金をして返済することによって社会的信用が生まれる
      
  • 手元資金が多くなり余裕を持った経営を行うことができる

借金前提で経営を行った方が良い理由について説明していきましょう。
 

借金をして返済することによって社会的信用が生まれる

お金を借りて金融機関に返済すると、社会的信用が生まれます。信用は商売を発展させる原動力になります。

個人でもクレジットカードをたくさん使い、返済日に遅れずにしっかり返済をしていれば、信用が生まれ、より多くの利用限度額をもらうことができます。限度額があがると通常は金利も下がります。会社の経営でも全く同じことが起こります。

〇融資枠がビジネス拡大の機会を広げる

お金を借りて返済することで、次に融資を受けるときには以前より大きなお金を借りることができるようになります。

社会的信用を生みだし、お金を借りる枠を増やしていけば、安心して経営をすることができますよね?

お金を借りるのが上手な会社は、「お金を借りる→返済する→社会的信用が生まれる→融資枠が増える→より大きいお金を借りる」という信用拡大のサイクルを生みだし、会社の拡大に上手く利用しているのです。

その結果、手元資金の心配をせず、ビジネス拡大の機会を広げるのです。
 

〇情報がビジネス拡大の機会を広げる

また、銀行などの金融機関と関係を保つことで、様々な情報を手に入れることもできます。

銀行が仕事のマッチングをしてくれることもあるでしょう。

お金を貸すのが銀行のビジネスです。

金融機関からお金を借りない間は、あなたは銀行のお客様ではありません。

実績がなければ、いざという時にお金を借りる事はできませんし、有用な情報も入ってきません。

借金をして返済を繰り返す、という事は銀行というビジネスパートナーを味方につけることにつながるのです。

 

手元資金が多くなり余裕を持った経営を行うことができる

創業して間もない企業が潰れてしまう一番の理由は、資金がギリギリの状態で経営を行っているからです。

黒字倒産という言葉を聞いたことがあるかと思います。赤字(利益が出なくても)で会社は倒産しません。しかし、黒字(利益が出ていても)、お金がなくなると会社は倒産するのです。

何よりも手元にお金を持っていることが必要なのです。

その大事なお金が手元に少なくなってくると、経営者はお金のことを常に考えてしまい仕事に集中することができなくなってしまいます。経営を軌道に乗せることなどできないでしょう。

しかし、借金をして手元資金を厚くしておけば、不測の事態が起きても対応することができるという安心感が生まれます。安心感を持って経営するのとしないのでは大きな違いになります。

借金をして手元資金を厚くしておく事は決して悪いことではなく良いことなのです。

 

まとめ

融資を利用して創業を成功させる(イメージ)


今回は、借金を前提に経営を計画する理由を説明をしました。

借金は決して悪いものではありません。むしろ貸してくれるという事は社会的信用があるということに言い換えることができます。

起業するという事は誰しも不安なものです。手元資金がたまってないことを理由に起業に踏み出さない方が多くいます。しかし、現在の日本には起業を応援する様々な制度ががあります。

繰り返しになりますが、「借金をすることは悪いこと」ではありません。借金を上手く利用できる経営者を目指すべきなのです。

今回の記事が、あなたの夢の実現、起業を具体的に進める一助となれば、幸いです。

「借金は悪」と考えるか、「借金はビジネス拡大のためのエンジン」と考えるか、経営者として本当に必要なことを考えると、違った景色が見えてくるのではないでしょうか?

  
  

この記事を書いた人
メガバンクに30年勤務。本部で融資審査・拠点ネットワーク企画、支店で法人営業・リテール営業を経験。「半沢直樹」に登場する金融庁検査官のモデル人物と検査時に対峙した苦い思い出もあります。銀行員特有の早期セカンドキャリア時期を迎え、一般企業への転職に成功。現在、経営企画部長として日々奮闘中。
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