コロナウィルスの影響で仕事がなくなってしまったり収入が減ってしまった方も多いのではないでしょうか?
以前から住宅ローンやカードローンの返済がギリギリにだった方にとっては、たまったものでありません。
返済が滞って家族にカードローンを使っていることがばれて困っている方もいるのではないでしょうか?
このまま返済できない状況が続き「自己破産」という言葉が頭をよぎる方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、自己破産を含む債務整理について説明をします。
コロナ減免制度についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。
日本最大級のグローバル人材に特化した人材紹介会社エンワールド・ジャパン株式会社が2020年12月28日に発表した調査結果によると、10%の会社で給与カット、11%の会社で賞与カットが実施されています。
「給与カット」実施1割、最も多い削減額は「10%以下」
「賞与カット」実施1割。最も多い削減割合は「3割以下」
また、経団連が2020年12月に発表した集計によると、大手企業の冬のボーナス(賞与・一時金)は86万5621円で、前年比で9%減少しました。
減少に転じたのは、東日本大震災の後に企業業績が悪化した平成24年以来8年ぶりということです。
業種別でみると、百貨店などの商業が32・81%減、鉄鋼が25・01%減、私鉄が22・60%減と急激に落ち込んでいます。
引用元:2020年 年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果
コロナ禍による業績悪化の厳しいANAはボーナス支給なし、JALは8割減、という状況です。
経営規模の小さい企業の冬のボーナスは大企業よりもさらに厳しかったはずです。
中小企業に勤めるサラリーマンは労働人口の7割近くを占めていますので、多くの人にとって2020年の冬のボーナスの減少幅は9%どころで済まなかったと思われます。
コロナにより給与・ボーナスが減少、住宅ローン等の借入の返済が難しくなった方は沢山いるはずです。
債務整理と聞くと自己破産を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、あくまで自己破産は債務整理の1つです。
債務整理には3種類あります。
債務整理のそれぞれの特徴についてわかりやすく説明していきます。
自己破産を行うと、抱えている債務が全て免除されることになります。
債務が全て免除になるのでリスタートが切りやすいです。
借金が全て帳消しになる自己破産を行いたいと思っている方も多いかもしれません。
しかし、自己破産を行うには高いハードルがあります。
自己破産を行うには、収入がないことや借金の金額があまりにも大きいこと、ギャンブルや浪費で借金をしたのではないことなど、様々な条件をクリアすることが必要になるのです。
当然ですが自己破産を行うと様々なデメリットがあります。
持っている財産のほとんどを没収されることになりますし、当然ですが自宅を残すこともできません。
また、自己破産をしてしまうと、自己破産をした事実が信用情報機関に掲載されてしまいますので少なくとも5年以上カードローンやクレジットカードを作ることができません。延滞情報も5年間は個人信用情報機関の登録に残ります。
さらに、自己破産をしたことは、官報に掲載されることになるので、多くの人に知られてしまう可能性がありますし、債務に保証人がついている場合は、保証人が返済することになりますので大きな迷惑をかけてしまいます。
このように、債務を全額免除することができる事は自己破産の大きなメリットですが、デメリットも非常に大きい事はぜひ覚えておいてください。
任意整理とは、金融機関などの債務者と交渉をして無理なく返済をすることができるようにすることです。
任意整理を行うと以下の事を実現させることができます。
また自己破産と違い、裁判所を通して手続きする必要がないため、手続きが長期化せず生活への影響を最小限に抑えることができます。
また、官報に掲載されることがないため多くの人に知られる心配もありません。
任意整理は特定の債務者だけに行うことができるので、自宅を残すこともできます。
住宅ローンを組んでいる金融機関を任意整理の対象から外せば、ローンを支払い続けることによって家を手放さずに済むからです。
ただし、任意整理の対象に住宅ローンを組んでいる金融機関を入れないと、住宅ローンは一切減額になりませんので注意してください。
自己破産に比べ今後の生活に影響が少ない任意整理ですが、当然ですがデメリットもあります。
それは自己破産同様に整理を行った事実が信用情報機関に残ることです。
任意整理を行い信用情報機関に情報が残ると、自己破産と同じく、5年から10年はクレジットカードやカードローンを作ることができません。
個人再生とは、裁判所に返済不能であることを申し立てることによって、借金を5分の1から10分の1程度に減額することができる制度です。
返済期間は基本的には3年になりますが、最長5年まで伸ばすことができます。
個人再生のメリットは、借金を5分の1から10分の1程度まで減らせることやマイホームやローンの返済が終わっている車を残すことができることです。
借金の理由が問われる事もありません。
自己破産と違い、借金の理由が問われることがない事、マイホームや車を残すことができる事、は個人再生の大きなメリットでしょう。
もちろん、個人再生にもデメリットがあります。
まず個人再生をしてしまうと官報に乗ってしまいます。
自己破産や任意整理と同様に信用情報機関に乗ることになってしまうので5年から10年程度クレジットカードやカードローンを利用することができません。
自己破産は、任意整理のように特定の債務だけを対象にすることができません。
全ての債務が対象になってしまうこともデメリットといえるでしょう。
債務整理を行うと、自分だけでなく家族にも影響が出てしまうのではないかと思われる方がいらっしゃいますが、債務整理を行っても家族に影響はありません。
あくまで債務整理の影響が及ぶのは自分だけになりますのでその点は安心してください。
債務整理を行うには、弁護士の力が必要な場合もあります。
しかし、弁護士の中には高額な金額を請求する弁護士も中にはいますので注意が必要です。
債務整理の費用相場について載せておきましたので、弁護士に頼む際の参考にしてください。
<自己破産>
裁判費用相場 10万円〜50万円程度
弁護士費用相場 20万円〜50万円円程度
合計 30万円〜100万円程度
<任意整理>
費用合計 5万円〜10万円程度
<個人再生>
裁判費用相場 17万円〜30万円程度
弁護士費用相場 20万円,〜50万円程度
合計 35万円〜80万円程度
任意整理の場合は、弁護士に頼まなくても行うことができますので費用が比較的安くなります。
無料相談を行っている司法書士事務所はネットを探せば簡単に見つかるはずです。
債務整理を得意としている大手の事務所、例えばアヴァンス法務事務所や司法書士法人杉山事務所、にてメールまたは電話で無料相談を受け、過払い金額の計算や時効の確認をすると良いでしょう。
これから取りうる対応がクリアになり、悩んでいるだけの状態から一歩前に進めるはずです。
早めに借金問題を解決する目途をつけて前向きな人生を取り戻すことが何よりも大切です。
コロナ減免制度とは、新型コロナウィルスの影響で、財産を処分しても、借金を返済することができない人のための制度です。
対象者は、新型コロナの影響で失業・収入が減少してローンの返済が困難な個人です。
概要は以下の通りです
コロナ減免制度を利用するには、財産を債務者に分配する必要はありますが、債務整理と違って信用情報機関に載ることがないので、生活への影響を最小限に抑えることができます。
住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の免除・減額などを申し出る事もできます。
この制度を利用する大きなメリットをまとめると下の通りです:
コロナにより借金の返済が厳しくなってしまった方は、債務整理を考える前に、コロナ減免制度の利用を考えるようにしましょう。
〇「コロナ減免制度」の情報をまとめました。
正式な名前は、「自然災害による被災者の債務整理によるガイドライン」といいます。2015年の9月2日以降、災害救助法が適用された自然災害で利用されるようになったので、2016年の熊本地震の際には、この制度を使い、多くの人が自己破産とならずに生活を再建することができました。
新型コロナウイルスによる感染症拡大も、自然災害での被災も、災いという意味で状況は似ています。コロナ禍で失業したり、収入・売上げが、大きく減少となった個人や個人事業主も少なくありません。住宅ローンや事業性ローン等を借りている個人や個人事業主が、これらの債務の負担を抱えたままでは、再スタートに向けて困難に直面することが考えられます。そのため、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する特則ができたのです
〇金融機関の相談窓口
コロナで影響を受けた方には、各金融機関がそれぞれ「住宅ローンの返済に困る個人向けの相談窓口」を設置しています。一般社団法人全国銀行協会でも相談窓口やカウンセリングサービスを開設しています。
返済計画のないままに、無理して返済を続ける、住宅ローンを返すために金利の高いローンに手を出す、方が少なからずいます。
借りたお金を返したい気持ちは理解できますが、長期的に返すのが難しい場合は遠慮せずに金融機関に相談してみましょう。
〇フラット35利用者の相談窓口
新型コロナウイルス感染症の影響により、機構の住宅ローンのご返済が困難となった方にも相談窓口が設定されています。「返済期間の延長」「ゆとりある返済額の設定」「ボーナス返済の見直し」の対応メニューが用意されています。
詳細は今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客様へ (住宅金融支援機構) を参照ください。
債務整理というとどうしてもマイナスなイメージがあり、極力利用したくない方が大多数であると思います。
しかし、借金の返済に悩み続け、うつを発症してしまったり最悪の場合、自殺をしてしまっては元も子もありません。
債務整理はできれば避けたいものではありますが、新しいスタートを切ることができる前向きな制度です。
無理しすぎる前に、債務整理を利用することを検討してください。
今回は、債務整理について説明をしました。
債務整理には様々な種類があることをご理解いただけたでしょうか?
コロナウィルスの影響で多くの人が予期せぬ事態に襲われ、借金の返済に苦しんでいます。
私がメガバンク勤務時の1990年代後半から銀行の不良債権回収が大きな動きとなりました。当時、中堅、若手が多く債権回収の交渉担当に。私もその一人でした。
どこかで聞きかじった「貸し手責任」を主張するだけで「借り手責任」はなく責任転嫁に終始する債務者がいる一方、毎月発生する金利に満たない金額でも懸命に払おうとする債務者など、人の生きざまに直面した貴重な経験でした。
現在は、交渉のスタイルも判断プロセスも金融システムの変化とともに変化しているので、当時のような人間模様に触れる機会は減ったと思います。
上記いずれのケースも将来を展望した見通しに基づいて行動を考えていない点は共通です。
冷静に現状を見つめ見直し、返済を続ける中で再起が見込めるのか、ペナルティは受けつつも新たなスタートに挑むか、の視点が重要だと思います。
対応策を調べたり、然るべき相手に相談し、最後は自身が決断し、前に進み出す勇気が必要です。
結論の先延ばしは、多くの場合、解決策にならないことも忘れないで下さい。