単身者であれば比較的自分一人で何でも決めやすいもののですが、配偶者や子供がいる場合は自分の都合だけで物事を決めるわけにはいきません。
2018年にエン・ジャパン株式会社が運営する、ミドル世代のための転職サイト「ミドルの転職」、で35歳以上のユーザーを対象にしてアンケートを行ないました。
5割以上のミドルが「家族に転職を反対されて内定辞退した」経験があると回答しています。
転職となれば家族にとっても一大事ですので、転職プランについて理解を得ておこうと、家族に話を始めただけで大反対されてしまう人も少なくないようです。
自分の意思だけで転職できると思わない事です。
ここでは、まず家族が転職に反対するその理由を紐解きます。
家族の気持ちを理解した上で、家族に転職意向を伝えるタイミングと伝え方を考えていきましょう。
反対を押し切るのではなく、理解を得て円満に転職するにはどうすればいいかを解説します。
家族持ちの人にとって、自分が転職することは自分だけの問題ではありません。
自分が転職を考えるとき、家族の反対に遭うことはよくありますが、なぜ家族は反対をするのでしょうか。
変な誤解を家族に与えてしまうと家庭内不和にもなりかねません。
家族の視点を理解するために、家族側の言い分=反対の理由を理解しておくことが大切です。
転職する人の給料の家計への影響度が高いほど、年収が下がることへの懸念が大きくなります。
一度、手に入れた生活レベルを下げることへの抵抗は大きく、思っているより難しいことなのです。
収入が途絶えることなくスムーズに転職できるのか、少なくとも現状の生活レベルを維持できる条件の企業に転職できるのかなど、不安が反対という意向につながりやすくなります。
転職には引っ越しが伴うこともあります。
本人にとっては職場が変わるだけかもしれませんが、家族にとっては生活のすべてがガラリと変わるわけです。
日常生活で付き合う人、地域の風土や決まりごとなどに慣れるまでにも、ある程度の時間を要します。
今の生活環境が気に入っていればなおさら、新しい環境に一から馴染んでいかなければならないことを面倒に思ったり、不安視したりするのです。
単純に引っ越しの準備や手続きが苦手という人もいるでしょう。
家族が転職をするとき、生活であれ環境であれ、必ず今までとは違う部分が発生します。
人はもともと習慣化されたことに安心感を得る生き物です。
今までの収入源だった家族(あなた)の仕事(企業との契約)がなくなり、この先の安定した生活が不確かになることへの不安もあります。
生活の拠点が変わるとなれば、新しい環境に馴染めるだろうかという不安も湧くでしょう。
どんなものであろうと、変化には少なからず抵抗感を覚えるものなのです。
家族の本音が「キャリア」よりも「家族」を優先してほしい、ということも意外に多くあります。
あなた自身がキャリアを最優先に考えていても、家族が同じ価値観を持っていないことがあるのです。
家族に反対されたからといって、それだけで諦めてしまう必要はありません。
ですが、独断で決行することはおすすめしません。
転職活動や転職後に支障が出る可能性があるからです。
まず、どのようなタイミングで家族に転職意向を伝えればいいのかについて説明します。
自分が転職に迷っているときは、家族の反対に自分の意欲が折れる可能性が高くなります。
賛成されるのであれば、いつでもいいのかもしれませんが、年齢が上になるほど、反対される確率は高くなるのです。
転職する当の本人の意向があいまいであれば、家族の不安や心配の気持ちは一層強くなるでしょう。
なぜ今転職するのか、本当に転職したいのか、自分の中で転職意向が固まってから伝えることをおすすめします。
家族に反対されるくらいなら、いっそ転職活動が進んでから、もしくは明確に決まってからと考える人もいるかも知れません。
しかし、家族の生活とあなたの転職が無関係でないとき、事後報告を受ける家族の気持ちを考えてみてください。
たとえば、年収が下がる、引っ越ししなければならないといった変化の転職の場合、相談されなかったことが反対意向に拍車をかけるとも考えられるのです。
では、転職の意向を家族に伝えるとき、どのように伝えていくのが適切でしょうか。
ここまでご紹介してきたような家族の抵抗感を最大限に考慮し、転職後をイメージできる材料を提供していくことがポイントのようです。
具体的な対策を説明します。
家族は、あなたの仕事内容、企業や職場の状況をどれくらい理解しているでしょうか。
毎日顔を合わせていたとしても、家族があなたの「仕事」について知らないことは意外に多いでしょう。
あなたは、あなたの「仕事」を基に、あなたの自身で転職を決めます。
しかし、あなたの仕事の中を知らない家族は、毎日の仕事への視点は持っておらず、ただ、「職を手放そうとしている」あなただけが映るはずです。
そうなれば、不安が先立つのは無理もありません。
ですから、その仕事に自分がどう感じているのか、何が起きているのか、どのような状況なのかを共有しましょう。
より近い目線に立てる家族ほど、転職に対する理解度は高くなると考えます。
まだ、新しい転職先の目星がついてなければ、家族の不安は大きいはずです。
収入が途絶えるのがいつまでなのか、どれくらいで新しい生活に馴染めるのか、良くも悪くも生活レベルにどれほどの違いが出そうかなど、先が見えないほど不安は募ります。
転職活動をどれくらいの時期を目安に、どのように進めるのかといった計画を共有しましょう。
しっかり計画されていれば、衝動的な転職ではないことも伝わります。繰り返しますが、「分からない」という状況は、人の不安を助長するものなのです。
家族の不安や心配を払拭できるような要素を提供しましょう。
自分自身は、今より何かが良くなると思うからこそ、転職に踏み切ることを決断しているはずです。
では、家族にとってのその転職のメリットを考えてみてください。
今までより年収が上がる可能性がある、今までより一緒に過ごせる時間が増える、家族の仕事と家庭の両立を助けられる、今より自分の心身の健康が保てるようになり、生活はより安定するなど。
転職が「家族の将来のためにも良い選択である」と理解してもらうのが理想です。
あなたの転職による生活の変化がイメージできれば、あなたが転職することに対する家族の捉え方も変えられる可能性があります。
年収が下がりそうだけど転職したいという状況も大いにあり得ます。
ずっと心の中で温めていたことに、今挑戦したいと思う転職もあるでしょう。
いずれにしても、将来のことも含めて家計のやりくりを家族に任せきりになるのは無責任かもしれません。
家計のやりくりを丸投げすれば、丸投げされた家族が、収入源の変更に不安を持つのは必然です。
ぜひ、積極的に将来的な家計プランに関わり、家族と一緒に考えてください。
転職で収入が減る場合でも、しっかりとしたプランを示せれば、家族の納得は得やすいものです。
もちろんこれまでの行動も問われます。家計を顧みずに、散財を続けて、貯金なし、将来プランもなし、では話を聞いてもらえなくても仕方ありません。
家計のことをしっかり考えていることが伝われば、その上での転職や計画だということがわかり、いくらかでも安心感を与えられるはずです。
では、実際に転職活動に入ってから、円満な転職にたどり着くまでに心がけたいことを説明します。
先程、不安や心配は「分からない」ほど募っていくことをお伝えしました。
転職活動に入ったら、今、共有した計画のどの段階にいるのかを、随時伝えることを心がけてください。
思うように進まないときもあるかもしれません。
そのようなときでも、進捗とその後の計画をセットにして共有していくことをおすすめします。
状況報告だけではなく、転職によって待ち構える変化に対する不安を解決することにも心を砕きましょう。
たとえば、新しい地域に引っ越すのであれば、近くのスーパーや交通手段、子供の学校やコミュニティについて調べて情報を共有するのも有効です。
現状の生活にある「デメリット」や「不足点」について、転職後に良くなると考えられることがあれば、さり気なく伝えるようにしていくといいでしょう。
あなたの転職を家族が反対するのは、生活が不安定になることや変化が伴うことに対する不安や心配があるからです。
家族の不安や心配を減らすためにも、転職(自分のキャリア)への思いをしっかり固める事が必要です。
その上で、転職を考える背景をこまめに伝えれば理解は必ず得られます。
転職後に大きな変化を感じストレスを感じるのは家族も同じです。
変化に対する家族の不安を解決して初めて転職は成功と言えるでしょう。
転職活動中だけでなく、転職後にも家族の理解とサポートは不可欠です。
あなたのキャリアプラン・ライフプランは家族のものでもあります。
状況報告をまめに行いながら、理想の転職を実現させてください。