「会社」という一つのフィールドの中で長年働いていると、サラリーマンは多くの理不尽に遭遇するものです。
その中の一つに出世があり、社風にもよりますが、日系企業のみならず外資系企業においても、上司や先輩社員に好かれる人が評価される傾向にあります。
一見すると、実力主義のイメージに思える外資系企業ですが、実は人間関係が非常に重要なファクターとなっているのです。
自分が上司になった場合は、逆の立場から考えて、部下に失望されないような対応を行わなければなりません。
経営者の目で会社を俯瞰して考える・謙虚に部下の能力を見極めつつ他部門の状況も探る・一般常識も含めて疑いの目を向ける・自分の能力を高める努力を継続するなど、限りある時間を要領よく使って自己研鑽につとめる必要があります。
その上で、人との縁は、結局のところ運に依存する部分が大きく、あとはその縁をどこまで自分が大切にできるかが出世に影響します。
関係構築に成功すれば素晴らしい人生を歩めるかもしれない反面、一度上司に見限られてしまうと、いつのまにかサラリーマン生活がつまらなくなってしまうことも。
年収はそれなりにあるはずなのに、生活がまったく充実していない……。
社外の友人・知人と比べて充実していると思っているが、自覚が得られない……。
この記事では、そんな悩みを持っているサラリーマン向けに、人生を充実させるための「幸運」の真実について、成功者の例を紐解いていきます。
サラリーマンは、その立場上、一人だけで仕事を完結させることができません。
上司は部下に仕事を振りますし、その部下もまた誰かに仕事を振る・もしくは誰かから依頼された仕事を行っています。
会社の歯車の一つとして仕事を行う以上、それぞれの仕事に責任を持って取り組むのは当然です。
しかし、しっかり仕事をしていてミスもないのに、なぜか昇進できないというケースは往々にして存在します。
一方で、取り立てて目立った実績がないにもかかわらず、なぜか周囲から好かれ・愛され・評価されている人物も珍しくありません。
このような差について、多くの人は「自分は(あの人は)運が良かった」という言葉で片づけようとします。
ただ、冷静になって評価されている人を観察してみると、いくつか共通点があることに気付きます。
以下に、運が良かったと言われる人物が持つ特徴の中で、特に目立ったものをまとめてみました。
人は、他者にほめられると、ほめてくれた人に良い印象を持つものです。
部下が上司にお世辞を言うのはもちろん、同僚をほめるのも、社内における自分の立場を有利にします。
エリック・バーカーの書籍『残酷すぎる成功法則』では、上司の自分に対する評価を管理する方が、仕事での頑張りよりもはるかに重要だと説かれています。
お世辞というのは、どんなにオーバーなものであっても、露骨なものであっても、あるいは嘘に近いものであっても、適切な場面で用いていれば、人の心をつかんでしまいます。
「社長の太鼓持ち」といった言葉は昔から聞かれますし、周囲からの評価はイマイチでも上司から非常に好かれている社員は一定数存在しています。
『マズローの欲求五段階説』の中でも、所属する集団の中で高く評価されたいという「承認欲求」はピラミッド上の四段階目と高い位置にあり、ほめられることは人間の普遍的欲求の一つと言えます。
その点を意識するにせよしないにせよ、他者をほめる能力があるサラリーマンは、多くの人の支持を集められるものと考えてよいでしょう。
どんな人の人生にも、山があれば谷もあります。
一生平坦な人生を生きてきた、という人も中にはいますが、長いサラリーマン生活の中ではらわたが煮えくり返るような思いをした人は多いはずです。
周囲に愚痴をこぼし、会社に毒を吐く人がいる一方で、つらい思いは内に秘め、涼しい顔をして仕事に向き合う人もいます。
このような行動の差が生じる理由の一つとして、つらい時をしのげる「人生を生き抜く哲学」を持っているかどうかがあげられます。
人間界のレジェンド・美輪明宏さんは、この世の時間は「正負の法則」に支配されていると説いています。
良い日があれば悪い日もあるように、時間には+・-の二要素があるという考え方です。
「悪いことがあったら、その後は必ず良いことがやって来るから、チャンスに備えて準備しておこう。」
そんな風に考えられる人は、自然と笑顔が生まれるため、多くの人に好かれ結果的にチャンスに恵まれやすくなります。
人によっては、人生の救いをイエス・キリストや御仏に求め、この世での暮らしを修行としてとらえているケースもあります。
国鉄・電電公社・専売公社3公社の民営化を打ち出した、昭和の経済界の重鎮・土光敏夫氏は、法華経を朝5時からあげる生活を長年続けていました。
どのようなバックボーンがあるにせよ、目先の理不尽に心を乱されない人には、良縁が訪れやすくなると言えそうです。
決して目立つようなことはしておらず、上司から特段の評価が得られていると感じられない人でも、やはり圧倒的な実力があると否応なしに引き立てられるものです。
特に、経営者が直接評価するような人材は、上位10%以内の逸材として評価される「何か」を持っています。
このような逸材は、いかなる職場でも高く評価されます。
自分から積極的に上司にアピールしなくても、圧倒的な実力を数字などで客観的に証明できる人材には、運の側が勝手にすり寄ってくるでしょう。
ただ、そういった実力を先天的に備えているかどうかは、周囲からは分かりません。
表面上は何事もなく振る舞っていても、家に帰ってから必死に努力を重ねているのかもしれません。
いたずらに真似をしようとするのではなく、特徴の一つとして押さえておくにとどめた方が賢明です。
「運が良かった」と話す成功者の努力は、すぐに真似できるものばかりとは限りません。
特に、偉人級の努力をいきなり行うのは、誰にとってもハードルが高いものです。
しかし、「人に好かれる」というファクターから運を呼び込むことは、決して難しいことばかりではありません。
以下に、人に好かれ運を呼び込むために、誰もがすぐできることをご紹介します。
人間は、ともに支え合って生きていて、社会もまたそのように成り立っています。
ビジネスシーンでもそれは同様で、自分の仕事が誰かの仕事を支えている場合もあれば、逆に誰かが自分を支えてくれていることもあります。
このような事実をあらためて理解した上で、自分の関わりのある社員・取引先などに、素直に感謝の気持ちを伝えるようにします。
そうすると、相手も自分のことを覚えてくれたり、仕事を振ってくれたりする好循環が生まれやすくなります。
また、折々で感謝の気持ちを伝えようと試みると、その過程で相手に対する興味が生まれやすくなります。
「Aさんは昨日、資料整理を手伝ってくれた」・「Bさんが郵便物を届けてくれた」など、自分にしてくれた行為について、ささいなものでも思い返すクセがつくため、結果的にチームワークの向上にもつながります。
感謝の気持ちを示すことで、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌に影響を与えるという研究結果 もありますから、仕事という枠組みを離れた幸せ・充実感を感じる意味でも、積極的に感謝の気持ちを伝える習慣を身に着けたいものです。
ビジネスにおいて、笑顔を鍛えると得なことが多いものです。
周囲に笑顔を見せるだけでも好感度が高まりますし、自信のある人に見えます 。
無表情で淡々と仕事をこなす人に比べて、笑顔で人と接することができる人は、総じて親しみやすさを感じさせます。
笑顔を見せることで、社内コミュニケーションを円滑に進められるだけでなく、転職時のアピールにも効果を発揮します。
笑顔に関する研究は世界各地で行われ、多くの研究者が良い結果を発表しています。
有名な研究結果の一つとして、ペンシルベニア州立大学の研究では「笑顔でいると周囲に好感を与え、親切に見えるだけでなく、能力がある人に映る」という結果が報告されています。
アメリカの哲学者・ウィリアム・ジェームズは「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ。」と述べています。
朝起きてから、鏡の前で笑顔の練習をするだけで、これからの人生が充実したものになるかもしれません。
仕事のパフォーマンスを劇的に上げるためには、普段の努力はもちろんのこと、いかなる場面でも自分のモチベーションを停滞させないことが肝心です。
学習の成長曲線は階段状で成果につながっていくように、どんな状況においても停滞期というものは避けられません。
そのような場面において、自身の成長を止めてしまうのが「愚痴」です。
愚痴には憂さ晴らしの効能があり、上手く使えばチームの信頼関係を醸成するのに役立つという研究結果 もありますが、一方で現状を改善しようとする意欲を失わせてしまうおそれもあります。
また、愚痴は周囲の人のモチベーションやメンタルに悪影響を及ぼします。
ちょっとした愚痴を誰かに言ってしまった時、ひょっとしたら「聞いている人はつらい思いをしているかもしれない」と考える感性が、運を呼び込むためには必要です。
上司や経営者に、あなたが会社・社員に対する愚痴を言っているところを見られてしまったら、当然ながらその会社における将来の希望はありません。
愚痴を言いたくなったら、誰もいない場所で一人つぶやく程度にしておいた方が賢明です。
現代において、一つの組織で働き続けることは、数ある選択肢の一つに過ぎません。
しかし、人に好かれ運を呼び込むことを一つの能力としてとらえると、ある意味ではどんな職場でも必要とされる「ポータブルスキル」の一つです。
思うような役職に就けなかったとしても、人間関係が充実していれば、転職・独立といった新しい選択肢が選べます。
周囲と比較した時に自分の年収が多いと感じたら、そのような厚遇を用意してくれている会社に対して素直に感謝するだけでも、見えている風景のとらえ方が変わってくるはずです。
運とはすなわち「人の縁」そのもの。
まずは、自分の家族や同じ部署のスタッフに、笑顔で接することから始めてみましょう。
◎参考書籍