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転職できない40代に知ってほしい、不採用の理由と「小さな選択」のメリット

40代の転職は誰にとってもかんたんなものではなく、前職の経験をそのまま活かせる求人ばかりが転職サイトに用意されているわけではありません。
 
転職市場において内定を得る厳しさを自覚している人は賢明ですが、それゆえに、良い条件の企業が目の前にあっても、決断力不足から転職できないまま過ごしている人は少なくないはずです。

また、仮に高年収を転職によって実現したとしても、それが100%今後の幸福を保証してくれるわけではありません。

令和元年分の「民間給与実態統計調査」によると、調査対象となる5,255万人のうち、年収1,000万円を超える給与所得者は全体のわずか4.8%となっており、多くの人が羨望のまなざしを向けています。

一度ハイクラスの転職を実現してしまったことで、なかなか退職に至る決断ができず、転職によって「さらに上のステージを目指すのは厳しい」と考えてしまうのは自然な発想です。

職場の雰囲気に馴染めていない状況に焦りを感じつつも、「せっかく好条件で転職できたのに」という家族や周囲の意見に押され、本心を隠して仕事にまい進している人もいるでしょう。

しかし、そこで一度時間を置いて、転職が本当に必要なことなのか・業種や職種について他に選択肢はないのか考えてみると、思いのほか新しい発見があるものです。

難関資格の取得など、現職を続けたままできそうなことを普段の生活に取り入れることが、後々になって大きな成果につながる可能性もあるのです。

この記事では、転職できないと感じているミドル・40代向けに、転職できない諸々の理由を解説するとともに、大きな決断を避け「小さな選択」から人生の決断を行うメリットについてお伝えします。

年を重ねるにつれて、諸々の悩み事にますます縛られていると感じる人は、ぜひ一度お読みください。

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40代だから転職できないのか、それ以外に理由があるのか

年齢を重ねるにつれて転職のハードルが高くなるのは、40代という世代に限った話ではありません。

30代から見れば、20代の方が人気の業界に正社員で入社できる可能性は高いように思えるでしょうし、50代から見れば40代の方が転職に期待が持てそうに感じるはずです。

転職できない40代がその理由を考えるとき、無視できないのは以下の点についてです。

  • 転職できないのは「純粋に年齢が理由」なのか
  • 転職できないのは「年齢相応の経験・実績がない」と判断されているからなのか
  • 転職できないのは「年齢相応の態度・振る舞い」ではないと判断されているからなのか

以下、上記について細かく見ていきましょう。
 

年齢が応募条件において重要な場合

長期的に自社で働いてもらうことを想定した時、若年者の方が有利なのは、多くの人がイメージできるはずです。

実際のところ、技術継承やキャリア形成などの理由から、40代以降の転職を認めていないケースは少なくありません。

もちろん、例外的に採用が認められることもありますが、それは応募条件を満たしていると証明できた場合に限られます。

明らかに年齢がネックになると判断できる求人に関しては、応募条件をチェックした段階で気付けることも多いので、注意深く確認したいところです。

対策としては、転職エージェントを介して情報をチェックすることで、自分の希望条件に合致した仕事を探しやすくなります。

キャリアアドバイザーが用意する膨大な案件数の中から選べれば、その分だけミスマッチを避けやすくなるでしょう。
 

年齢相応の経験・実績がないと判断された場合

求職者と企業との間にギャップが生まれてしまうことは、企業側もある程度想定しています。

しかし、企業に対してアピールすべき経験・実績を誤ると、採用担当者から厳しい評価を受けることになります。

非正規雇用から正規雇用を目指す際のハードルが高いことは当然ながら、エグゼクティブがより高待遇での転職を希望したとしても、よほど切羽詰まった事情がない限りは難色を示されます。

なぜなら、長年働いてきた幹部の方が、少なくとも即戦力という点では実力が高いからです。

中途社員には、オンボーディングも含めて3~6ケ月という期間 でモノになって欲しいというのが、偽らざる経営者・人事の思惑でしょう。

求職者は、そのような事情を踏まえつつ、入社してすぐに何らかの結果を出せる分野についてアピールすることが必要です。

ポイントは、実務的な内容の説明に終始するのではなく、企業運営・プロジェクトに携わった経験をベースに要点を絞ることです。

失敗談も含め、ありのままに成果や得られたものを説明しつつ、何について自分が貢献できるのかを伝えましょう。

年齢相応の態度・振る舞いでないと判断された場合

20代で新卒入社し、40代を迎えるまで転職活動を行っていない人の中には、残念ながら転職市場で求められる態度・振る舞いを身に付けていない人もいます。

バックオフィス部門など、固定化した人間関係の中で働いているうちに、社会人として基本的な身だしなみを忘れてしまったケースなどが該当します。

基本的な事項ではありますが、例えば以下のような姿で面接に臨んだ場合、十中八九「年齢相応でない」と判断されます。

  • スーツの肩にフケが見える
  • Yシャツの袖口が汚れている、切れている
  • 靴がくたびれている、汚れている
  • メガネのレンズが汚れている
  • 過度なパーマ(悪印象につながるおそれがある)
  • 髪の色が派手である(地毛の色でない)

もちろん、社風によってはそこまで見た目を重視しないケースもあるでしょうが、先にあげた事項は20代でも気を遣う部分です。

加齢臭・口臭なども、面接官の心象を悪くする部分ですから、面接に臨む前にチェックを入れておきましょう。
 

自分が「転職できない40代」かどうか判断するためには

転職するにあたり、実績も振る舞いも問題ないと自己評価している40代でも、決して油断はできません。

自己評価と他者評価の間には大きな溝があり、その溝を埋められない限り、望み通りの結果を得ることは難しいのです。

転職を実現するためには、他者からの評価を得られる環境に身を置くことが大切です。

以下に、自分が転職できない40代の条件に合致しているかどうか確認して、少しでも早く転職を成功させるための方法についてお伝えします。

現職の人間関係を見直してみる

自己評価と他者評価の違いをイメージするにあたり、分かりやすいのが「上司・部下の関係」です。

上司ができる限り客観的な目線で部下を評価しても、部下が「なぜ自分の評価はこれほど低いのか」と憤るケースは多いものです。

一生懸命残業して、自分の本来の仕事とは違う業務にも真摯に対応しても、上司によっては「効率の悪いことをしている」という評価で終わってしまう場合があります。

かといって、仕事をこなしているからといって定時で帰るだけの生活を続けていれば、頑張りを評価しようにも材料が少ないでしょう。

結局のところ、部下が上司に評価されたいと考えた場合、部下は「上司がどのような価値観で、どのような仕事ぶりを評価するのか」を理解した上で、仕事に取り組む必要があります。

転職についても同様で、自分が「応募先の求める人材像」を理解した上で、アピールポイントを絞ることが求められます。

そこで、まずは自分が現職でどう見られているのか、自分が働いている環境で親しくしている同僚や上司・部下に相談してみましょう。

率直な意見を受け入れ、時に悪い評価を踏まえて事態を改善しようと試みることは、それ自体が転職でアピールできる重要なキャリアとなります。
 

セミナーに参加してみる

面と向かって身だしなみを指摘してくれる人は、仕事ぶりを指摘する人よりも圧倒的に少数派です。

多くの人は、職場での良好な人間関係を維持することを重視するため、わざわざ一歩間違えればハラスメントにつながりかねないテーマに踏み込むリスクは避けたいと考えるはずです。

そこで、自分の服装や髪型などについて、客観的に評価・指導してくれるセミナーに参加することをおすすめします。

営業担当者向けなどビジネスパーソン向けのセミナーはもちろんのこと、独身の人であれば婚活向けのセミナーに参加してみるのもよいでしょう。

面接の場では、決してハイセンスな服装が求められるわけではありません。

男性であれば、耳にかからない程度の調髪を行い、ヒゲ・爪の手入れを怠らず、その上で体臭・口臭を抑える努力をすれば十分です。

面接塾で入念に対策を講じる

面接対策をトータルで行いたい場合は、面接塾などのプログラムに参加するのも一手です。

プログラムによっては、応募書類作成の段階から添削を受けられる場合もあります。

転職経験が少ない人は、プロの視点を取り入れた方が、効率的に転職活動を進められるでしょう。

転職エージェントのキャリアアドバイザーを通してフィードバックを受ける方法も有効ですが、アドバイザーには「求職者に転職を決めて欲しい」という思惑も少なからずありますから、面接塾の方がより第三者の立場でアドバイスを受けられます。

関連記事:転職エージェントの関わり方、面接塾の記事となります。あわせてお読みください。

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他者と「比較し過ぎる」のも問題である

転職に際して、他者の意見を取り入れることは重要ですが、人生の選択を他者に依存してしまうのもまた問題です。

ライフサイエンスの分野に詳しい聖路加国際大学の中山和弘教授は、人生の選択の自由度が高い国ほど幸福度が高い傾向にあり、日本は先進国の中でも「人生の選択の自由度が最低ランクに位置する」国だと述べています。

選択の自由が諸外国よりも少ないという分析については、意外と納得できる人も多いのではないでしょうか。

参考:毎日新聞コラム「健康を決める力」ヘルスリテラシーがもたらす意思決定の格差 / 中山和弘 

日本という国についてこのような分析がなされるのは、もちろん国民の自由を強く弾圧するような独裁政権下の国々とは事情が異なり、日本社会において他者比較が「仕組み化」されていることに一因があるものと推察されます。

学校ではテストなどの成績をクラスメイトと比較され、社会に出れば成果を同僚と比較され、教育する側もそれを悪いことだと思っていない節があります。

おせっかいにも、自分のパートナーの質さえ他者と比較しようとする、極めて下世話な人間もいる始末です。

それでも、いわゆる「マウントをとりたがる」ような露骨に比較をする人は、日本でも他者から敬遠されがちです。
ただ、見方を変えれば、そのような人は日本社会に順応した成れの果てとも言えます。

一事が万事このような環境に囲まれた日本では、なかなか個人の意見や考え方が尊重されるのは難しいでしょう。

また、そういった他者比較について「大人になる」・「社会に順応する」などと理解し、中にはむしろ良い方向にとらえてしまうような人もいます。

しかし、ふと自分の人生を振り返った時、誰かに振り回されてばかりの人生だったと気付いたら、きっと後悔するはずです。

他者の評価というものは、一見的を射ているようで、実はとてもあいまいなものです。

自分をくもりのない眼で観察して評価してくれる人の意見ならありがたいものですが、雑多な情報で頭の中をかき乱す毎日の中、なけなしの知識・見識であなたを評価している人は決して少なくありません。

スキャンダルで初めて名前を知った芸能人を、さも古くから知っている人間であるかのように断罪している書き込みが、インターネット上にはゴロゴロ転がっています。

とどのつまり、他者が自分を評価している意見はそのようなもので、親しいと思っていた身内でさえ、的確に自分の長所を把握できていない可能性は十分あります。

テストの成績が自分より下だったクラスメイトがシンガポールに引越し、後々海外の大学を出て超大手に就職した時、あなたは冷静にその事実を受け入れられるでしょうか。

ライバルだった同僚を抜いて課長になった後、そのライバルが退職して独立した時、あなたは自分が優秀だったと心から思えるでしょうか。

今の自分が見ている風景だけで幸福感を比較しようと試みると、自分の価値判断の基準が揺らいだ時、かんたんに心が折れてしまうことでしょう。

転職にあたって、本当に正しい選択をすること・選択の自由を尊重するためには、自分自身の心に問いかける覚悟が必要なのです。

他者と比較する選択を意識して「書き換えて」みよう

自分の人生を大きく左右する「転職」に成功するためには、応募先の年収・待遇・他者の評価といったファクターを吟味する以前に、何よりも優先しなければならない要素があります。

それは、新しい職場で働くことで「自分や家族が幸せになれる」かどうかです。

転職にあたり、自信を持って「自分が選んだ道だから後悔はない」と言えるようになるには、そもそも過去~現在の選択が「本当に自分の意志によって行われたものかどうか」を考える時間を作ることが最初のステップです。

自分が過去に選択してきたことを「棚卸し」して、今までの選択の傾向を把握することからスタートしましょう。

自分の選択が、心から自分の意志で行われたものか、それとも他者と比較した結果行われたものかを判断した上で、今後の選択を自分の意思に寄せていくことが大切です。

また、「この行動は『他者と比較した結果』選択している」と自分が感じた選択はリストアップしておき、似たような選択を極力避けるために行動します。

つまり、他者と比較する選択について、意識して「書き換えて」ことを試みるのです。

具体的な他者比較の選択の例をあげると、以下のようなものがあげられます。

  • 上司に評価されるため、営業成績の向上に努め残業する
  • 部下から慕われることを意識して、コーチングについて勉強する
  • 妻に喜んでもらうため、休日は子供と遊ぶ時間を取る

上記の選択は、別の観点から見れば決して悪いことではないのですが、動機に問題があります。

かんたんに言えば、どれも「自分の人生のため」に選択しているわけではありません。

以下のように書き換えるだけでも、選択が能動的になったと感じるはずです。

  • より高いクラスの仕事につながるよう、営業成績の向上に努め残業する
  • 指導技術を向上させるため、コーチングについて勉強する
  • 子供との思い出を作りたいから、休日は子供と遊ぶ時間を取る

やっていることは同じですが、動機の中に自分が存在しています。

このように、既存の人生の選択を、どんどん「自分本位」のものに書き換えていくのです。

選択が自分本位になっていくと、やがて自分の気持ちと周囲との関係性に折り合いをつけるだけでなく、自分の人生をどうしたいのか・人間関係をどうしたいのかも真剣に考えるようになります。

すると、過去の選択を省みて、自分にふさわしくない決断・選択を捨てることが容易になるはずです。

パートナーと離婚して一人で暮らすこと・会社を早期退職して独立すること・かねてからやりたかった趣味を本格的に極めることなど、新しい発想が浮かぶことは珍しくありません。

ただ、人生の航路をいきなり面舵から取舵いっぱいに切るような真似をすると、突然の嵐に巻き込まれて遭難するおそれがあります。

自分に正直な選択をする・選択の自由を最大限活かすことが大事だといっても、幸福感を失ってしまうおそれがある選択肢を選ぶべきではありません。

一度の大きな選択よりも、小さな選択をたくさん経験する

選択の自由には、相応の責任が伴います。

自分が選んだ選択肢が、後々の自分にどう影響するのか把握していなければ、結果的に不幸な結果を呼び寄せてしまうかもしれません。

自由な時間が欲しいからといって、当面の生活費分の貯金もないのに仕事を辞めてしまえば、生活に困るのは目に見えています。

多くの人が望む「人生が一瞬で変わってしまうような選択」は、丁半博打・宝くじのようなものであり、必ずしも人生に良い影響を与えるとは限らないのです。

自分の現実を無理なく変えていくためには、人生を一気に変えようとするのではなく、できることから少しずつ小さな選択を続けて、軌道修正しながら目的とする場所まで向かうのが確実です。

ライフプランについて不安があるのなら、その不安の正体を書き出した上で、解決に向けた努力をどのように行うのかイメージしましょう。

例えば、定年後の金銭面・体調の不安を解消したいのであれば、転職という選択肢に限らず、以下のようなポイントに絞って自分の現状と未来をイメージしてみることをおすすめします。

  • 現在の仕事で経験したスキルも含めて、副業として役立てられる技術があるか。
  • 手をつけていない預貯金のうち1割を投資に回すなら、どんな商品が安心できるか。
  • 現在の体調を維持し続けるためには、どんな運動なら無理なくできるか。

他にも、自分が気になること・日々不安に感じていること・当たり前に取り組んでいることに意識を向けて、少しずつでよいので前向きな選択をした後、小さく行動を起こしてみましょう。

行動することで結果が生まれれば、その後自分が満足する・幸福感を感じるためにはどうすればよいのか、行動ベースで考えられるようになるはずです。

知識は本やニュースなどから手に入りますが、経験は自分が知識を運用してみなければ得られません。

焦らず、確実に成長するためには、小さな選択に伴う結果を受け入れながら、少しずつ大きな選択へと舵を切っていくことが大切です。

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おわりに

日本を代表するお笑い芸人・松本人志さんは、著書『プレイ坊主』の中で「ヒヨコがニワトリになるから大人になるのではなく、ヒヨコがいっぱいなのが大人」だと、独自の大人観を述べています。

一般的なビジネスパーソンは、会社の中で「ヒヨコからニワトリに成長すること」が一人前になることだと考えがちですが、たくさんのヒヨコを持っていれば、会社・組織・周囲の目にとらわれず、それらをニワトリに育てる楽しさを味わえます。

現代の日本人にとって必要なのは、まさにそういった感性であり、一つの環境に甘んじるのではなく、自分の中にあるリソースを育てるための勇気ある選択が求められています。

転職がうまくいかないと嘆く前に、他者との比較に意識を向けるのをいったん止めて、自分の中にあるたくさんの可能性を見つめ直す時間を設けてみると、人生の選択のハードルが低くなるかもしれません。


千里の道も一歩から。たくさんの足跡を残しておけば、ルート変更も引き返すことも容易になります。

まずは第一歩を踏み出しましょう!
 

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この記事を書いた人
オンラインスキルマーケット「Coconala(ココナラ)」にて各種ライティングに携わる。会員登録後半年で確定申告を検討するほど収入が増え、1年後には個人事業主として登録。経理職として幅広い業種への転職経験があり、人事系コラムの執筆も行っている。

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