副業を解禁する企業も、副業をする人も増加しています。
副業を認めている企業であれば、社員が副業することは何ら問題ありません。
ただ、副業OKの企業の面接でも、「副業するかどうか」を聞かれることがあります。
副業を認めているのに、なぜこの質問がされるのでしょうか。
企業側のこの質問の意図を踏まえ、内定に近づくための適切な答え方について解説します。
副業元年といわれる2018年を含めたここ数年で、副業に対する社会的認識が変化しました。
副業としてできる仕事の多様化も進んでいます。副業市場の現状と、副業を解禁する企業が増えている背景を説明します。
リクルートキャリアの企業に対する意識調査では、「兼業・副業認める企業」が2015年は14.7%でした。
2018年には28.8%, 2019年は30.9%,と全体の3割を超えて増え続けています。
引用元:「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」 株式会社リクルートキャリア
厚生労働省の統計の副業者数の推移を見ても、2012年の105万人から、2017年には128.8万人に増えています。
その後も政府のガイドライン等の整備が進んでいるため、現状の数はさらに上回るでしょう。
引用元:「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」 報告書 厚生労働省
ビジネス環境の変化が激しくなり、企業は人材と終身雇用を約束することが難しくなりました。
また、少子化の影響によって人手が足りていない現状もあります。
副業を解禁すれば、将来に危機感を抱く社員も、自社に留まりながら自らの市場価値を高め、収入源を分散化するというリスクヘッジも可能になるのです。
政府も、国内の生産年齢人口(15-64歳)の減少を認識しており、企業の生産性や国際競争力の低下を懸念し、労働者の副業を推奨する方向にシフトしました。
働き方の多様化も進み、正社員として働くことにこだわらない人材も増えています。
折良く、デジタル技術の進化が、ビジネスシーンにも大きな変化をもたらし、企業が外部(正社員以外)に任せられる業務を増やしています。
企業が人件費削減と生産性の確保を両立させる上でも、非正規雇用(副業)人材のニーズは高まっているのです。
これらの要因が相まって、副業を解禁する企業が増えています。
労働者が副業をすることに対しては、賛否が分かれているようです。
肯定派と否定派それぞれの見解を、副業のメリットとデメリットに絡めてご説明します。
副業する人が増えた現在も、副業による収入増を目的に副業している人は多いです。
ただ、ここ数年の特徴として、「自分の理想のキャリア像や働き方を実現するための手段」としての副業も浸透してきています。
いつ倒産やリストラがあってもおかしくない現状の中、副業は将来の転職の備えにもなるのです。
本業を辞めるという大きなリスクを回避できますし、万が一、本業の倒産やリストラがあっても100%の打撃は避けられます。
企業にとっても、自社に慣れた優秀な人材を失わないための策となるでしょう。
複数の組織(企業)に関わる仕事が、さまざまな接点と経験をもたらします。
自己の能力を発揮する場を広げ、自己能力の練磨にもつながるという見解も広がっているようです。
副業は、本業以外の時間で取り組む仕事になるため、必然的にトータルの労働時間が長くなりがちです。
十分な休養や休暇が取れないことで、結果的に本業にも良くない影響を及ぼすことが懸念されます。
働き方改革などで社員の健康面にも考慮した事業運営を行い、自社の生産性を保とうとしても、自社の所定労働時間以外で働けば、健康を害するリスクは拭えないままでしょう。
また、自社の貴重な技術や機密情報が外部に漏れてしまう可能性もあります。
副業を解禁する企業が増えたとはいえ、割合を見ればまだ2~3割程度に留まります。
「大部分」の企業が容認していないのも、このような懸念があるためです。
関連記事:40代・50代以上からは「小さな起業(副業)」が向いている!
副業を解禁する企業が増えているのはなぜでしょうか。
面接での副業に関する質疑応答に備え、企業が解禁に踏み切る意図を捉えておくことが大切です。
ビジネス環境が不安定な世の中で、社員が副業によって収入を増やし、安定した生活を維持できることは、企業にとってのメリットでもあります。
将来的なキャリア構築や選択肢があるという安心感も、本業での業務遂行を助けると考えられています。
社員の将来的なキャリア計画や希望に、自社が応えられないときもあります。
そのような社員は計画や希望に沿う会社に移ることを考えるでしょう。
しかし、副業を解禁しておけば、社員は離職せずとも、自社での活躍を続けながら、望む経験を積み、スキルアップしていけるのです。
実際に、副業解禁によって人材のリテンション(定着・離職防止)効果があったと実感する人事担当者も少なくありません。
社員は、副業によって経験や人脈を広げることができます。
自社だけでは成し得ないことも多いです。
それらが、人材の能力やスキルを高め、ひいては本業の業務にも活かされていくと期待されています。
関連記事:サラリーマンこそ「副業」で道を切り拓く感覚を味わおう
では、副業OKの企業との面接で「副業はされるつもりですか」と聞かれたときはどのように答えるのが適切でしょうか。
「副業する」と答える際のポイントを見ていきましょう。
前項で、企業が副業を解禁する主な3つの意図をご紹介しました。
これらを満たすような回答を心がけましょう。
とくに、本業のプラスになるという点は、企業にとって魅力となるはずです。
面接では、副業のデメリットの項でご紹介した企業の懸念点を払拭するよう心がけましょう。
副業の目的や内容、携わる時間帯や時間の長さなどは面接官が気になる部分です。
副業について採用の人事担当者に質問、就業規則をしっかり調べて、支障が出ないことを伝えると良いでしょう。
副業についての、許容範囲やルールは各社で異なっています。
企業への入社を希望する以上、企業側の方針や意向を確かめ、遵守することは必須です。
しかし、副業ルールについて、就業規則を公表しているところばかりではないため、面接時点で不確かな点があるかもしれません。
候補者に副業の意向がある場合、企業側も慎重に規定や条件についての認識を一致させておきたいと思っているはずです。
不明点があるのであれば、自分がやろうとしている副業が、企業で許容されるものかどうか、面接で確認することも大切になってきます。
関連記事:50代が会社の歯車として大企業に残るのはおいしい?それとも厳しい?
副業を希望する人だけでなく、実際に取り組む人の数も増え、同時に、副業を認める企業も増加傾向にあります。
副業OKの企業の面接で、「副業するか」を問われたときは、企業ルールに反しないことや本業に影響しないことを伝えましょう。
さらに、本業にプラスとなる効果を付け加えることができるのが理想的です。
社会的に副業が認知され、副業を推奨する会社も増えています。
面接で「副業をするつもりがあるか」聞かれたる事があり、回答の仕方に悩むかたが多くいます。
意図を組んだ回答ができるようしっかりと準備しておきましょう。
参考:
「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」/ 株式会社リクルートキャリア
「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」 報告書 / 厚生労働省