自宅を「購入」するのが良いのか「賃貸」が良いのか悩んでいる方は多いでしょう。
インターネットで検索してみても購入と賃貸どちらが良いかはっきりしないケースが多いかと思います。
「満足度」と「経済性」を混同して比較している場合が多いのが一因のようです。
住宅購入により満足感が満たされるのであれば、「購入」「賃貸」の論争はナンセンス、「経済性」を気にする必要はありません。
「他の人から見ると理解に苦しむもの」に人は喜んでお金を払います。
例を挙げるときりがありません。
「欲しいもの」=「満足感」と置き換えれば、自宅購入者・家族が満足で幸福感を得られるなら、購入は良い選択になるでしょう。
「損得」にとらわれないで価格以上の価値を感じた自宅を「購入」するのは理にかなった行動です。
無理のない範囲で、希望の場所・間取りの物件を選び、購入に踏み切りましょう。
人生の大きな喜びに変わる事でしょう。
自宅購入者は経済的な優遇を受けられます。
日本だけでなく世界中で経済活性化のカンフル剤としてどの国も「持ち家政策」に力をいれます。
自宅購入者の多くは「より良い生活スタイルの実現」のため、仕事に励み、住宅ローンを返済し、更なる消費拡大に貢献します。
住宅業界にとどまらず、家電業界、自動車業界、幅広い業界に良い影響を与え、経済全体を上向きにする効果が広く行き渡ります。
自宅購入をきっかけにした経済活性化の効果は国民にも政府にも理解しやすい政策モデルですので、どの国でも強く推奨される政策となるのです。
国が政策として自宅購入を推奨するため、自宅購入者は多くの経済的サポートを享受出きます。
自宅の購入は、国策もあって際立って優位な条件が揃っています。
メリットをひとつずつ説明します。
自宅には住む「利用価値」以外に、売買可能な「不動産価値」があります。
土地・不動産価格は経済安定をもたらす基盤のひとつですので、不動産価値が維持または緩やかに上がっていくのは国全体にとって良い影響をもたらすと考えられていて、様々な促進策がとられます。
逆に不動産価格が下がり始めると、国は様々な手をつかって不動産価格を維持しようといます。
近年の不動産価格を振り返ると、インフレ促進・低金利政策による融資拡大の流れを受け、都心を中心にしたマンションの価格上昇は目覚ましいものがありました。
2019年のマンション価格は2008年に比べておよそ1.5倍になっています。
立地・築年数・それぞれの物件の価値を考慮にいれる必要はありますが、2008年に4,000万円で購入したマンションは2019年に6,000万円で売れる事になります。
平均的なローンを組んで2008年から10年にわたって都心で自宅を保有していた場合、頭金・住宅ローン・管理費等の支払いを考慮にいれても、賃貸と比べて3000万円以上の現金を多く残せた計算になります。
自宅を購入することの目的は「家に住む事」ですが、「売却をして大きな利益を得る財産」の側面があるのは大きな魅力です。
株の有名な格言に「国策に売りなし」があります。聞いたことのある方も多いはずです。
国策に乗っかる株式投資家と同じように、「将来の値上がり」を期待して投資家の目線で自宅を購入するのは筋の悪い考えではありません。
相場が右肩上がりの過去10年に適切な場所で自宅を購入した方は「すばらしい成績の投資結果」を手にしているはずです。
老後に賃貸住宅が借りづらくなる傾向にあることを心配して、将来の自宅の確保のために自宅の購入に踏み切る方もいます。
賃貸の方が自由で引っ越しもしやすいということから賃貸を一生涯利用しようと思っている方も多いでしょう。
自由を手にするメリットは大きいものですが、家賃を払い続ける経済力、健康な体を維持できない可能性、を心配するのは決して大げさではありません。
日本の高齢者向けの賃貸住宅事情はまだまだ整備途上です。
国策として「持ち家政策」を促進し続けてきたのとは対照的です。
賃貸市場の整備が整っていない背景もあって貸す側からみると高齢者はリスクのある「割に合わない賃貸人」と見られています。
高齢者のリスクは過大な懸念を生むことが多く、高齢者の家賃相場は高くなる傾向があります。
審査する前から高齢者の入居を断るつもりの大家さんも少なくありません。
将来にわたって家賃を払う十分な蓄えがある賃貸人であっても「高齢者」というカテゴリーで一括りにされてしまうのが現状です。
誰に遠慮もせず生活できる安心感を得るために、自分の家を購入で確保するのは理にかなっています。
終の棲家を確保、長期間にわたって安心した人生を過ごすためのコストと見積もれば、購入は合理的な判断となるでしょう。
住宅ローンの金利は、借り手優遇、「経済原則」を逸脱した低金利が設定されていると言わざるをえません。
現在の政策金利は、過去最低水準であるということもあり、住宅ローンの変動金利の中には0.5%を切る金利も珍しくありません。
他の「教育ローン・マイカーローン・カードローン」と比べると、住宅ローンは信じられない低金利が設定されています。
単純比較できるものでもありませんが、日本を代表するトヨタといった大企業が資金調達する際に払う金利よりも、個人の住宅ローンの金利の方が低い、という有様です。
経済原則では、お金を借りる借主の信用度・借入目的により、資金調達コスト(金利)が決定します。
利用目的が別ですので単純比較できませんが、個人の信用度がトヨタより高いと考えるのは違和感があります。
住宅ローンを借りる個々の家計の健全性・信用度はトヨタには遠く及ばないはずです。
国策にそって「住宅購入目的」のローンを優遇、特別に低い金利が設定される中で、銀行を含む貸し手は国策にそって社会全体に貢献する立場をとって低金利で資金を提供する役割を続けています。
その恩恵を受けて住宅ローンの借り手は超低金利のローンを享受できています。
金利だけでなく住宅ローン返済期間でも優遇されています。
住宅ローンの返済期間は最長35年または80歳までの長期ローンを組むことができます。
45歳で借り入れを始めた場合に80歳までの35年ローンが組めることになります。
高齢化が進む社会で80歳まで仕事を続ける方が増えるのは想像できますが、サラリーマンの多くは55歳頃に役職定年、65~70歳でリタイア、収入が減っていくと考えるのが自然です。
45歳の年収をずっと維持できると考えるのは非現実的です。
45歳の年収をベースに80歳までの返済期間を設定できる住宅ローンの優遇ぶりは明らかです。
住宅ローンの借入額は返済上限額を年収の最大40%以内で長期ローンを組むことが可能となっています。
長年続いている低金利政策に借入期間の長さを掛け合わせると、借入可能金額は大きくなります。
今の金利水準・長期返済期間から計算すると年収の6倍から7倍程度まで借りることも可能です。
例えば、年収600万円の場合4200万円程度まで借りられます。
パワーカップルと呼ばれる夫婦それぞれが600万円を稼ぐ家庭では、共有名義で借り入れると2倍の8400万円までの借り入れもできます。
頭金を全く用意せずに100%を借入で賄うこともできますので、収入の高い世帯は自宅購入の幅が広がり、購入のハードルはますます下がります。
借り入れ割合を増やして自宅を購入、首尾よく高い価格で売却ができた場合には「レバレッジ効果」により投資資金(頭金)の何倍もの現金を得る事もできます。
金利・期間・限度額の優位性に加えて、住宅ローンは「借りやすい」とういう大きなメリットがあります。
ローンの担保として住宅の権利を貸し手に差し出しているのが大きな理由です。
お金の貸し手は万が一返済が滞っても担保として住宅を売却・ローン残の回収ができればリスクはありません。
しかも、貸し手である金融機関は、売却時に貸したお金を回収できない場合に備えて返済が滞るリスクを肩代わりする保証会社を利用していることが殆どです。
貸し手である金融機関の回収リスクは限定的ですので、審査は緩く、形式的になりがちです。
不動産販売会社と貸し手の金融機関の関係が良好であれば、その不動産会社との提携ローンの審査はさらに緩くなる傾向もあります。
自宅購入をサポートする住宅販売会社・仲介会社の担当者は住宅ローンを熟知しています。
販売会社の売上拡大のために、営業担当者が融資の通る範囲で最も高額の物件の購入をすすめるのは想像に難くありません。
また、毎月の給与を継続的もらっているサラリーマンは「属性」の良い借り手とみなされ、住宅ローンは非常に借りやすくなっています。
何倍もの収入がある芸能人やスポーツ選手、会社経営者、よりもサラリーマンがローン審査に通りやすいのは不動産販売の現場では常識です。
大企業であっても終身雇用の保証はなくリストラの可能性もある現在のサラリーマン、今の給与が永続的に続く前提は現実的ではありませんが、一律に審査が行なわれるために非常識かつ寛大な融資判断が横行しています。
住宅ローンがパッケージ商品である以上は、一定の基準を満たした申込について貸し手としても融資を承認せざるを得ないでしょう。
多額の借入にも関わらず、購入者の年収・勤続年数・借入状況等が、銀行が定めた「住宅ローン商品」の基準を申し込みがクリアしている限りは、実態とは離れていても融資は承認されるのです。
住宅ローンを利用して自宅を購入すると税金で大きな優遇を受けられます。
もっとも有名な「住宅ローン控除制度」は、住宅ローン利用者を対象に、毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除される仕組みです。
各年の控除限度額は40万円(認定長期優良等の場合は50万円)です。
生命保険料控除のような所得控除(税金が下がる金額は下がった所得に対する所得税のみ)ではなく税額控除となり、丸々40万円(50万円)が年末調整や確定申告の時に戻ってきます。
これだけ大きな控除を受けることができる税金面でのサポートは住宅ローンならではのメリットです。
売却時の税金メリットも見逃せません。
所有する土地や不動産を売却する際には、保有した期間に応じて、長期保有(5年超)であれば約20%、それ以下の短期保有であれば39%の税率で課税されます。かなり厳しい税率です
マイホームだと特別控除として3000万円が譲渡所得から差し引かれます。
3000万円までの利益には税金が全くかからず、3000万円をこえて利益が出た分にも軽減税率が課されるという優遇ぶりです。
また、控除は一人につき計算しますので夫婦共有名義の場合は二人で6000万円まで無税となります。
しかも、不動産の売却で損失が出た倍には一定の条件を満たせば「ほかの所得との損益通算」と「3年間の損失繰越し」も認められています。
自宅を他の投資と単純に比べるのも違和感はありますが、「税引き後に3,000万円」を手にするケースを他の投資商品と比べてみると税金の優遇ぶりは際立っています。
マイホームは相続税対策としてもすぐれています。
小規模宅地の特例を利用することができると、相続時の宅地の評価額は最大80%減額になります。
都心にあるタワーマンションが相続税対策に使われ、タワマン減税と話題になって国税庁で見直しが入ったのをご存知のかたは多いでしょう。
節税策としてのタワマン購入に見直しが入ったのですが、不動産の売買に使われる「市場価格」と相続時に使われる「評価額」が大きく違っているのは今も変わりません。
市場価格1億円のマンションの評価額が2000万円くらいの例も珍しくありません。
現金1億円を相続させずに売却がしやすい市場価格1億円の都心タワ-マンションの自宅を相続させる節税策、は今でも有効です。
自宅購入は相続対策の手段になりえるのです。
自宅購入の様々な優遇は非常に大きく、こらから上げるデメリットは小さな問題と感じるかもしれません。
多くの方にとって「ローンが返せないリスク」以外は大きな問題ではないでしょう。
不動産を購入する際には様々なコストがかかります。
中古取引の場合は仲介手数料3%かかるのが一般的ですし、不動産取得税などの税金もかかってきます。
不動産を購入する際にかかるコストは自宅を購入する大きなデメリットになるでしょう。
不動産は、購入した後も固定資産税や修繕管理費など様々なコストがかかります。
賃貸の場合には家賃に諸費用が含まれているとも言えますが、所有者が自宅を保有する限り払い続ける固定資産税や修繕費を負うリスクは決して小さくありません。
ランニングコストの負担は自宅を購入するデメリットといえるでしょう。
市場価格を読むのは不動産のプロでも難しく、自宅購入の大きなリスクとなります。
先ほど、東京都心部を中心に地下やマンション価格が上昇を続けていると説明をしました。
しかし、場所によっては不動産価格が下がり続けているところがたくさんあります。
マンション価格が上がり続ける一方で、戸建ての価格はほぼ横ばいです。
自宅の保有コストは、金利変化、建物メンテナンスの必要性から、大きくなる傾向にあります。
自宅の市場価格が横ばい、または下落局面では、保有コストの上昇は大きな負担です。
しかし、ローンを予定通り払い続け、売却など考えずにずっと利用し続ければ大きな問題にはなりません。
自宅の不動産価値が下がっていくのは気持ちの良いものではありませんが、致命的なデメリットとはなりません。
「住宅ローンが返せないリスク」は生活設計を根本から崩す、取り返しのつかない問題となりえます。
このデメリットを決して低く見積もるべきではありません。
低コストのレバレッジが使える自宅購入は、個人にとってリスクが大きい場合があります。
マイホーム購入を促すメリットである「低金利」「大きい融資枠」「借りやすい」住宅ローンは、「借り過ぎ」すなわち「レバレッジのかけすぎ」を誘発しがちなのです。
関連記事:レバレッジ投資の魅力と怖さ
住宅ローンが優遇されているあまり、生活の環境変化などによる収入の変化があった際に返済ができない、無理なローン(借金)を組んでしまっている方が少なくありません。
他の投資商品と違って住宅ローンは担保となる自宅の「市場価格」がローン残を下回る、いわゆる「オーバーローン」、になっても貸し手から返済を迫られることはありません。
自宅に住み続けている限りは、「オーバーローン」になっているのを気にかける人は殆どいませんし、返済が滞らない限りは問題になりません。
しかし、最長35年の住宅ローン返済期間中に思わぬ家計の危機が訪れ、返済が滞るのは特別なことではありません。
家を売却しローン残を支払えれば良いですが、「オーバーローン」の状態では、金融機関の許可なしに不動産の売却は出来ないのです。
任意売却または競売となり、自宅を売却した後にもローンの返済が続くことになりかねません。
関連記事: 住宅ローンが返せない!自宅を簡単に手離さないために何をすればいいのか
自宅の「満足感」を失い、家賃とローンを背負う「経済的・心理的」な負担の大きさは言うまでもありません。
状況次第では、自己破産を選ばざるを得ないことにもなります。
自己破産で全ての財産を失い、信用情報にも傷がつく、自宅購入が人生において取り返しのつかない致命的な痛手を生み出すキッカケとなる可能性があるのです。
ローンの借り入れ計画はくれぐれも慎重な判断が必要です。
購入した自宅の市場価値が将来にわたって維持できれば、住む、貸す、売る、いずれの方法においても役に立ち、長い人生の助けにもなります。
自宅の購入は、国策にそった様々なメリットを受ける事が出き、低金利で借りやすい住宅ローンが利用できます。
他の投資商品の購入と比べると圧倒的に有利な条件で簡単に資金調達ができます。
ローン控除により税金を減らせるばかりか、損した場合に税金を取り戻すことも可能です。
自宅を投資商品と置き換えた時に、日本の税制で自宅ほど恵まれた投資対象はありません。
長期的な資産構築を進める最も恵まれた手法と断言できます。
しかし、物件の不動産価値が下がると、賃貸に出すにも思った家賃では借り手はつかず、売却もままなりません。
売却時のローンの残高次第では、自己破産をも引き起こす可能性を秘めています。
自宅購入の際には、「満足度」に惑わされず、「住宅ローン・税金の優遇」に目を奪われることなく、しっかりとした将来の生活設計をベースに慎重な検討をするようにしましょう。
自宅購入は、「どっちがお得」といった経済的な損得から離れて、欲しい物件があれば購入すると良いでしょう。
買ったら得するか、35年にわたってローンを返せるか、誰にも分りません。
一方で、「借り過ぎ」は取り返しができない大きなリスクになり得ます。
くれぐれもご利用は計画的に(カードローンの広告と同じです!)
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