ニューノーマルのサラリーマンの生き方指南

住宅ローンが返せない!自宅を簡単に手離さないために何をすればいいのか

自宅を購入した方の殆どは住宅ローンを利用しているはずです。

30代から50代の方の多くは住宅ローンを利用していることでしょう。

憧れのマイホームを買うために必要不可欠な住宅ローンですが、皆さんは住宅ローンが返済できなくなってしまうと、どのような事態になるかご存知でしょうか?

そこで今回は、住宅ローンが返済できなくなると起こることについて説明をします。 

 

住宅ローン破綻が増えている背景

住宅ローン破綻してしまう人は、増加傾向にあります。

この数年のローン破綻のきっかけとなる背景は「コロナによる収入減」、「ペアローンの増加」、「雇用環境の変化」等です。

コロナによる収入減

新型コロナウイルスによる収入減が大きな影響を与えているのは明らかです。

住宅金融支援機構のお客様コールセンターへの相談は緊急事態宣言下の2020年5月にピークを迎え、その後は相談数は落ち着きを見せてきていました。

引用元:2021年2月「住宅金融支援機構」発表資料

2021年に入っても新型コロナウイルス感染者数は増加を続け、2021年4月25日に3度目の緊急事態宣言が発令されています。

コロナによる収入減がきっかけとなってローン返済が滞る件数は、今後も高水準で推移していくものと予想されています。

 

ペアローンの増加

現代社会では、多くの家庭で夫婦共働きが当たり前になり、ペアローンと呼ばれる大型の住宅ローンを組むカップルが増えています。

ペアローンは、夫婦の収入を合算してローンを組むことができます。

借り入れの上限額が大きくなり物件選択の幅が広がる、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる上に税金の控除をそれぞれで受けられる、メリットがあり、共働きがずっと続く前提で身の丈以上の金額を借りてしまいがちです。

何らかの理由で一方の収入が途絶えてしまうと返済ができなくなる可能性のある高リスクな借り入れ方法であり、ローン返済が滞る一因となっています。

 

雇用環境の変化

労働市場では労働力の流動化が進み、企業は終身雇用制度・年功序列型の賃金体系を維持しなくなりました。

どんな会社に勤めていても、定年までの給与・ボーナスが保証されていないのは明らかです。

退職金が出ない企業も少なくありません。

住宅ローンをずっと払い続けられる見通しは立てづらく、退職時にローン残を一括返済することもままなりません。

しかし、住宅ローンを35年返済で組むことは一般的で、定年後にローン残を抱えている方も少なくありません。

殆どのサラリーマンにとって定年後にローンを払い続けるのは困難です。

雇用環境が変化した今、長期間の借入はローン滞納リスクの高い選択となります。

住宅ローンの支払いが止まって起こること

前述した背景に限らず、様々な理由で住宅ローンの返済ができなくなることがあります。

返済が滞った時に起こること、をステージ別に説明します。

  • その1:初期延滞(最初の1か月)
  • その2:中期遅延(2~3か月) *この時期に行動を起こす事!
  • その3:後期遅延(4~5か月)
  • その4:その4:ローン一括返済を求められるの催告状が届く
  • その5:代位弁済
  • その6:回収 住宅の任意売却・競売

 

その1:初期延滞(最初の1か月)

住宅ローンの引き落としができないと、金融機関から返済金が引き落としできなかった通知が届きます。

気付いてすぐに支払えば困った事態に陥る事はまずありません。

ローン契約上では1回でも返済が滞ると「期限の利益」と呼ばれる「借り手の分割で払う権利」が失われることになっていますが、1ヵ月の遅れであれば問題にされることはありません。

しかし、住宅ローンに限らず他のローンでもそうですが、1回でもローンの返済に遅れてしまうと信用情報機関に載ってしまうことがあります。新たなカードローンやクレジットカードを作る事が難しくなります。

その2:中期遅延(2~3か月)


延滞が月末を超え、数か月続くと中期遅延のステージに入ります。

金融機関からの督促の回数も増え、電話・訪問による督促も行われるようになります。

3ヶ月以上返済が滞ってしまうと事態は深刻になります。

この時期に今後の収入・出費を見直し、将来の返済を予測、必要な行動を起こすべきです。

具体的には「自宅の市場価格の確認」と「金融機関への相談」です。

自宅の売却を望んでない場合でも、市場価格を知っておくことは大切です。

売却価格の見積りはインターネットで無料で取れますので、売却相場価格を早めに入手しておくと良いでしょう。

今後のローン返済が厳しいと判断したら、滞納が3か月以内の間に銀行に相談するべきです。

〇金融庁の取り組み

銀行の監督官庁である金融庁では住宅ローンの返済で困っている方に対し、契約先の金融機関の窓口へ相談へ行くようアナウンスをしています。

銀行は住宅ローン等の債務のご相談にて誠実に対応が求められていて、条件が合えば、つなぎ融資や元本・金利を含めた返済猶予などを検討してくれることもあります。

〇住宅金融支援機構

長期固定型住宅ローン「フラット35」を提供する住宅金融支援機構でも、「返済期間の延長」「一定期間の返済額の軽減」「ボーナス返済の見直し」等のサポートを提供しています。

〇コロナ減免制度

コロナの影響で住宅ローン・その他ローンの返済が難しくなった場合は、自然災害に準じた「コロナ減免制度」の利用も検討できます。

関連記事:コロナで借金が返せなくなると自己破産?【コロナ減免制度も紹介】 

「今後の支払の見通しが立たないまま、カードローンでお金を借りて住宅ローンを返済」は絶対に避けるべきです。

数か月後にボーナスが入る予定がある、等の確実な見通しがない限りは、金融機関への相談が最優先です。

誰もが気が進まないことですが、この時期であれば立て直しが可能です。

両親・兄弟・親戚等に事情を話して返済資金を用立ててもらうのも悪い考えではありません。

 

その3:後期遅延(4~5か月)

延滞期間が3か月を超えると、自宅を手離さずにローン返済するのは相当に難しくなります。

3ヶ月以上返済が滞ってしまうと、住宅ローンの一括返済を求められる覚悟をする必要があります。

毎月の返済でも難しいのに一括で住宅ローンの返済をできる方はいないでしょう。

この頃より金融機関だけでなく実際の返済が滞ったときのリスクを引き受けている保証会社からも問合わせが入るようになります。

その4:ローン一括返済を求められるの催告状が届く

延滞回数が6回程度になると、金融機関から「次回返済日に返済できない場合に期限の利益を喪失する」内容の催告書が届きます。

その5:代位弁済

住宅ローン利用者の期限の利益が喪失し、長期にわたって返済できる権利がなくなります。

その時点で保証会社から金融機関に、その時点の住宅ローンの元本、利息及び遅延利息も含めた金額を支払ます(代位弁済)。

借り手の対応窓口が保証会社に移ります。

その6:回収 住宅の任意売却・競売

引き続き一括返済を求めてきますが、返済資金の調達ができないと住宅は売却されることになります。

住宅ローン残を返済できるだけの高い値段ですぐに売却することができれば問題ありません。

自宅を手離すことになりますが、ローンはなくなり、売却価格によっては手元に現金が残ります。

しかし、なかなか売却をすることができないと競売にかけられてしまいます。

競売とは、住宅ローンなどの借入金を返済できなくなったとき、借入れの担保となっている土地や建物などの不動産を、裁判所を通して強制的に売却することをいいます。売却された不動産の代金は、金融機関等の債権者で配当(配分)されます。

引用元:任意売却と競売の違いを比較(一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会)

競売では足元を見られることが多いので一般的に売却金額は低くなりがちです。

住宅の売却でローン残高を返済ができれば良いのですが、ローンが残る場合は、自宅を手放した後でも返済を続けなければなりません。

残債を全額返済できず、自宅を失って借金だけが残る精神的なショックは言うまでもありません。

住宅ローンの残った借金の返済と賃貸住宅の家賃の二重払いが続きますので、最悪のケースでは自己破産をせざるえなくなってしまいます

最悪の事態に備えて常に自宅がいくらで売れるか把握しておく必要がある

住宅ローンを延滞し、ローンの残高が残ってしまうと、自己破産が現実的になります。

自己破産をしてしまうと、ほとんどの財産を手放す必要があります。

官報に名前が載ってしまいますし、5年から10年の間はクレジットカードやカードローンを作ることができません。

 

こうした事態を防ぐためにも、常に自宅が今いくらで売れるか把握しておく必要があるでしょう。

今はインターネットで簡単に見積もりを出すことができますので定期的に自宅の価値について調べておくようにしてください。

売却見積もり金額が住宅ローンの残債よりも少ないオーバーローンの状態になってしまうのであれば非常に危険な状況です。

早急に対策を取るようにしましょう。 

住宅が高く売れる場合、売却してしまうことも1つの選択肢です。

本当に持ち家が必要なのか見直す良いきっかけになりますので、家の値段については常に把握するようにしましょう。

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どうしても家を残したい場合は生活の見直しを!

この記事を読んでいる方の中には、家計が苦しくてもどうしても自宅だけは残しておきたいという方も多いでしょう。

マイホームに愛着がある方もたくさんいらっしゃいます。どうしても家を残したい方の場合は、生活の見直しをすぐに行うようにしましょう。

家計の見直しを行う中で、最も簡単で効果が大きいのは固定費の削減です。

 

状況次第では、もう一歩ふみ込んで、保険・自動車・教育費の見直しをすると良いでしょう。
  

生命保険

生命保険は非常に見直しの効果がとても高いので早めに行います。

生命保険については、本当に必要なのかよく考え、自宅保有と天秤にもかけて、やめてしまうのも一案です。

どうしても保険に入っておきたいという方は、保険料が安いネット保険や共済保険への切り替えを検討するようにしましょう。

 

自動車

自動車についても本当に必要なのかこの機会をきっかけによく考えてください。

自動車の維持費は想像以上にかかっています。

日々かかるガソリン代はもちろんですが、車のメンテナンス代、2年に1回かかる車検費用、自動車税など様々なお金が自動車を維持するためには必要です。

たくさんのお金をかけて果たして車を維持することが正しいのかよく考えるようにしてください。

週末だけの利用でしたら、レンタカー、カーシェアリング、を利用することも検討できるはずです。

 

教育費

固定費の見直しだけでは足りない場合、子供の教育費についても考える必要があります。

子供の教育費に手をつけると聞くと切ない気持ちになりますが、今は安い費用で質の高い授業を受けることができるサービスはいくらでもあります。

教育の質を落とさず、教育費を下げる方法はいくらでもありますのでこちらも工夫のしどころです。

 

まとめ

今回は、住宅ローンが支払えなくなってしまった場合、どのような事態に陥るのかについて説明をしました。

住宅ローンは、低金利で借りることができるものすごく質の高いローンです。

しかし、夫婦共働きを前提にローンを組み、かつ退職金がでないとすると住宅ローンは非常にリスクが高いものになります。

今回、説明した「家計の見直し」や「住宅がいくらで売れるかを把握しておく」ことなどを参考に、住宅ローンの返済に備えていただければ幸いです。
 

労働環境の変化・コロナ禍により、誰もが住宅ローンが返せなくなる可能性があります。

ローンが返せなくなる対策として、常に自宅の市場価格を調べ、今後の収入・支出について中長期的な見通しをもつ、ことがますます大切になっています。

もし返済が滞ったら、早めに銀行に相談に行きましょう。見通しのないまま「カードローンで住宅ローンを返す」ことはくれぐれも慎んでください。

素早い判断と適切な行動が、あなたの自宅・信用情報を守ります。

この記事を書いた人
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