転職活動は、自分の市場価値をきちんと見極めた上で進めるほうがうまくいきます。
転職市場における自分の市場価値はどのように測っていけばいいのでしょうか。
ここでは、市場価値の要素を確認し、市場価値を知る方法をご紹介します。
また、自分を過大評価・過小評価することを防ぐためのポイントも併せて確認していきましょう。
転職における市場価値とは、「社会や企業に対して、自分がどれほど価値あるもの(知見・能力・人脈など)を提供できるか」、さらに、「社会や企業から自分の提供できるものがどれくらいニーズがあり、どれほど評価されるか」を示すものです。
「そのときの」自分の市場価値が高ければ、より自由に好条件の求人案件に応募でき、採用される可能性が高まります。
低ければ、転職先の選択肢は狭くなり、今より条件や待遇の良い求人を選べる可能性も低くなるでしょう。
転職するときには、それまで働いていた企業の中だけでの評価枠を外し、転職市場全体に枠を広げて自分の市場価値を見なければなりません。
では、市場価値は、具体的に何を基準に測られるものなのでしょうか。
その要素をご説明します。
企業で働いていると、その企業ならではの業務があり、独自のシステムが使われたりします。
各企業で業務の進め方も異なりますし、当然、携わるメンバーも違うはずです。
企業独特の業務をこなせることは、他の企業にとってはあまり価値がありません。
ただ、事業を進めるには、各社に共通するビジネススキルがあります。
業界・業種で特質は異なるものの、どの会社でも培うことができ、他の企業に移っても活かすことのできる能力やスキルです。
企業間で持ち運んで活用できることからポータブルスキルと呼ばれます。
たとえば、コミュニケーション能力やマネジメント能力、問題解決力などがあります。
もう少し絞ると、英語力や営業スキル、会計知識などもあてはまるでしょう。
転職時には、レベルの高いポータブルスキルを多く持っている人のほうが価値が高いと見なされます。
ポータブルスキルは、レベルの差はあっても業界や業種を問わないため、備えている人が多いです。
ここに専門性の高いスキルが「加わる」ことでさらに市場価値が高まります。
専門的な知識やスキルは、業界や分野ごとに異なるものであり、ポータブルスキルに比べて希少度も高くなるからです。
このような人材を採用することで、その専門知識や知見、技術を自社に波及できることは企業にとって魅力となります。
人材の人脈が広いことも企業にとって高価値となる要素です。
40代くらいになると、社内だけでなく、クライアントや取引先、仕事以外のネットワークなど広範囲の人たちとの関係を築いている人は貴重な戦力となります。
自社の事業に活かされ、プラスをもたらすことが期待されますし、人材の人間性を測る材料にもなるでしょう。
市場価値は、上記のような自分側の要素だけでなく、市場の状況にも左右されます。
どれだけ能力やスキルが高かったとしても、不況な業界では積極的な採用を控えることも多いです。
他の業界・業種にとっては、他業界の専門知識やスキルがまったく効力がないということもあります。
このようなとき、選択肢が狭まり、好条件の求人を見つけることも難しいかもしれません。
つまり、自分の市場価値は低いとなるのです。
転職市場は景気や各業界の動向によって変動するため、正確に測ることは難しいものです。
大切なことは、転職時の自分の価値は自分ではなく、転職市場(社会や企業)が決めるということです。
では、転職時の自分の市場価値は、どのようにして測ればいいのでしょうか。
ここで、いくつかの方法をご紹介します。
客観的に自己分析をする必要があります。
自分には「何が」「どのレベルで」「どの程度(限界値)」できるのかを把握しましょう。
自己分析の精度を高めるには、周りの人が見る自分や、自分に対する評価を集めたり、周りの人の能力やスキルと比較したりするのも一手です。
ただし、基準を同じくした評価や数値で比較することがポイントになります。
インターネット上を検索してみると、転職サイトなどで自分の市場価値を測ることのできるツールが公開されています。
あくまで大まかな結果となりますが、登録すれば無料で活用できるので目安に試してしてみてもいいでしょう。
市場の動向に対応されているものもあり、診断時期ごとの変動も分かるはずです。
転職活動をしてみると、実際に自分のスペックに対して、どのような企業が、どれくらい反応してくるかが分かります。
転職サイトに登録するとスカウトメールが届きます。
その企業の特徴や求人条件を見ると待遇や報酬的な面で自分を測ることができます。
エージェントに登録して、希望条件を調節して案件が紹介されるかどうかを見ることもできるでしょう。
すぐに転職を考えていなくても、登録をして定期的に更新やコンタクトをしていけば、コンスタントに自分の市場価値をチェックすることも可能です。
40代は職務経験が豊富なため、良くも悪くも自分に対する評価材料がたくさんあるかのように思えるかもしれません。
しかし、適切な評価ができているかは、かなり疑わしいところです。
経験が多い分、さまざまな心的バイアスがかかっている可能性があります。
過大評価、もしくは過小評価してしまっている人も少なくありません。
ここで、過大評価や過小評価を防ぐための意識ポイントを紹介します。
活躍したい同業界・業種で、今働いている会社以外の人たちと接したり、交流したりする機会を持つことをおすすめします。
具体的な結果や数値でなくても、取り組んでいる仕事の内容や目標などを知れば、嫌でも自分との違いが見えてくるでしょう。
会社という枠を超えて自分がどこまでできるのか、現状の限界値を知ることも大切です。100%中で50%なのか95%くらいまでいけるのか。
100%がどれくらいのものと見るかは、あなたの知見と視野にかかっています。
もちろん、どのような人たちに接しているかでも変わってくるはずです。
先程、同業に携わる人たちとの交流を提案しましたが、比較するときに大切なことは相対的な差(ギャップ)より、違いを見ることです。
目の前の人は個人であり、業界全体を示すものではありません。そのプラス/マイナスは、あなたとその人の差でしかないのです。
やり方考え方、使っているものなど何が違うのかにぜひ、着目してください。
いずれにしても、できないことの「存在」を知れば、自分にまだ知らないことや不足な点があると分かり、過大評価が防げます。
できることをしっかり認識できていれば、周りの人がどんなに優秀だったとしても無闇に過小評価することはなくなるでしょう。
「学び」は、常に自分にとって未知のものがあるということを意識させます。
何かにチャレンジし続ける人は、うまくいくことばかりではない=自分が万能ではないことを認識できるのです。
諦めない継続も大切ですが、ときには断念しなければならない自分の限界値に出会うこともあるのではないでしょうか。
これが過大評価を抑止します。
うまくいかないことや失敗は、成長ののびしろであり、モチベーションの源です。
取り組みに工夫や改善を加えれば、その過程でもできることは増えていくでしょう。
過小評価に陥る必要もないのです。
市場価値は、決して経験の長さで決まるものではありません。
40代の方は要注意です。自分の市場価値を適切に測るには、自分の目線だけで判断しないことが大切です。
一つの企業の枠を超えた業界目線や業界動向にも目を向けてください。
過大評価や過小評価によって、転職のミスマッチを発生させないためにも、学びとチャレンジを続けていきましょう。
自分の価値を正しく知ることは、転職市場で自分を適切に売り込むために必要な知識です!
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