転職の際に、自分を過大評価する人と過小評価する人がいます。
40代あたりになると、豊富な経験も実績があることで、過大評価しやすくなるので注意が必要です。
今回は、過大評価をする原因とデメリットと、転職活動や転職後にどのような影響が出るのかの事例をご紹介します。
真の転職成功を手に入れるために参考にしてください。
能力が低い人ほど、自分を過大評価する傾向が強いとも言われます。
人が自分を過大評価してしまうのはなぜでしょうか。
これからご説明する原因の一つ一つが、人の能力を示すともいえるでしょう。
自分を客観視できていないと、過大評価する可能性が高まります。
自分を客観視しないということは、自分を正確に見たり、評価したりすることができないということです。
自分の内側からだけ、つまり主観で見ると、どうしても良い面や都合の良い部分しか見なくなり、失敗や欠点からは目を背けてしまいがちなのです。
失敗しても自分の中に改善すべき点があるとは思いません。
良い面だけを見れば、自分への評価が高いのは必然でしょう。実は能力が低かったとしても、客観視できなければ、自分のその未熟さに気付けないのです。
自分の周りを見れば、たくさんの比較対象があります。
周りの人の能力と比較して、自分の能力を測ることは無意識にも行っていることです。
そのため、他人の能力を正確に測れないことも、自分を過大評価する原因になります。
自分より低いレベルの人と比較すれば、当然、自分の評価は上がるでしょう。
しかし、比較する相手の評価は、果たして何を基準にして導き出したものでしょうか。
縮小されたイメージや良くない噂によって、本来とは異なる低評価ということも少なくありません。
周りの能力が低く見えるなら、たとえそれが正確でなくても、自分が優っているように思えるでしょう。
比較したときに自分の不十分さにも気付けないのです。
人には、知らなければ良い方に捉えるという習性があるそうです。
自分のことも他人のことも、正確に知らなければ、自分にとって良い見解を答えにしてしまいます。
「自分」とは、自分に一番近い存在です。しかしながら、自分に見えていない自分というのは、自分が思っているより多く存在しています。
自分のことは自分が一番よく知っていると思いがちですが、実は「知らないことにも気付いていない」ことが多いのです。
このとき、自分に対する過大評価が起きてしまう可能性は十分にあります。
30~40代になると、勤続年数も長い人が多くなります。気をつけなければならないのが、自分の能力の有効性がその企業の中だけではないかということです。
勤続年数が長くなれば、職場の人や業務を深く理解していることでしょう。
活躍しやすく実績も残しやすい環境があります。
しかし、ひとたび会社の外に出てみると、機能しない能力ということもあり得るのです。
このように、狭い範囲だけで自分を評価してしまうと、過大評価に陥りやすくなります。
自分を過大評価することには、さまざまなデメリットがあります。
過大評価がどのようなことにつながるのかを見ていきましょう。
前項で、過大評価をしてしまう原因をお伝えしました。
自分を客観視できなければ、自分を正確に知ることができません。
過大評価しているということは、良い面ばかりを見ているということです。
その逆の側面でもある、変えるべき点や改善すべき点に気付けません。
結果的に、自己を向上させたり、成長させたりする機会が少なくなるのです。
過大評価をする人は、自分に自信を持っています。
その自信が、横柄な行動や言動、態度に出てしまうことも少なくありません。
また、自分の失敗やミスを直視しないのであれば、何か問題が起きたときに、周りのせいにするでしょう。
こういった人たちは、職場で孤立することが多いのです。
過大評価の上に成り立った転職は、そのあとが大変です。
問題なくこなせると言って入社した仕事でなかなか成果を出せず、焦りとプレッシャーが募るばかりの毎日になってしまうでしょう。
企業や周りからの信頼も低下します。
重要ポジションであれば降格ということもあり得るでしょう。
自分でもできると思い込んでいたことができないことに、自信を失くしプライドも傷つきます。
その心理的負担がさらにパフォーマンスを落とすことにも繋がりかねないのです。
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転職してすぐの時期というのはストレスや不安がいつもより多くなります。放置せず、能動的に対処や解消を心がければ、ストレスや不安に振り回されることもなくなります。ストレスや不安から解放されるには、早く職場に慣れることが一番の対策です。転職した直後は、仕事でキリキリ舞いの状況になりやすいですが、自分をいたわる意識もしっかり持っておきましょう。
では、自分を過大評価する人の転職活動にありがちな事例をご紹介します。
過大評価している人は、自分の欠点や不足点を認識していないため、謙虚さに欠ける傾向が見られます。
横柄な言動や態度が、面接でも出やすくなります。
面接官に自分のことを説明するときも、まるで自慢話のような話が多くなるでしょう。
面接官にとっても、単なる自慢話は聞こえの良いものではありません。
結果的に、なかなか内定を獲得できないということに陥りやすいのです。
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過大評価する人は、転職活動の求人検索で、自分の能力やスペックよりかなり上の条件や待遇の案件を探しがちです。
この時点でミスマッチが起きているため、選考通過の可能性は低くなります。
同時に、自分に合う案件を自ら除外し、転職可能な機会を逃していることになります。
さらに、内定をもらえた場合も、身の丈以上の条件交渉に持ち込んで、内定が成立しなかった例もあります。
前職で高い評価を受け、活躍してきたから、さらに上を目指せるはずと思うのが過大評価をする人の特徴のひとつ。
その「上」の基準も、自分ではなく、外部要因となる「給与や待遇」となることが多いようです。
スカウトやエージェントからの紹介は「経験企業の知名度やスペック」で発生することも少なくありません。
条件だけを見て飛びつき、ブラック企業など、のちに後悔するような企業に応募してしまうこともあるようです。
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次に、自分を過大評価して転職した人のその後の事例をご紹介します。
過大評価する人に起こりがちなのが、求人にある業務をざっくり捉えてしまうことです。
業種や職種が同じというだけで、自分にできると勘違いすることがあります。
入社してから、実際に業務を進める段階になって、自分には難しいということに気づくのです。
あとに引けない状況で、成果が出せないまま、焦りやプレッシャーがつきまとう毎日を過ごすことになります。
前職では、周りから頼られ、高い評価を受けていても、その能力やスキルが転職先で通用するものかはわかりません。
過大評価する人は、社内という狭い範囲だけの自分を測っているので、あてはまらないことが多いでしょう。
高いレベルにチャレンジすることはいいことですが、過大評価する人は学びの意識が低く、横柄な態度になりがちです。
前職と同じような評価や扱いが受けられないことに対して、心理的不満も溜まりやすくなります。
過大評価で入社し、実は仕事ができないとなれば、企業や職場のメンバーからの信頼を失います。
横柄な態度の新入社員に快く従ったり、積極的に協力したりするメンバーは少ないはずです。
また、前職で高度にこなしていた(錯覚の場合も多い)仕事の進め方やスタイルを、新しい職場のメンバーに求めて、大きな抵抗に遭う人もいます。
仕事は一人では進められないものですから、結果を出せない状況に陥ってしまうでしょう。
つまり、その転職先での活躍が難しくなるということです。
自分を過大評価して転職し、思っていたより仕事が進まない、求められる成果が出せないとなると、一転して自信を失います。
断続的になるほど、今後は自分のことを過度に過小評価するようになるのです。
逃げの意識が働くようになり、さらなる活躍や成長につながる機会を逃すことにつながっていくでしょう。
無視できない、過大評価の副作用と言えるかもしれません。
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現職における自己評価と転職市場における評価の違いを理解しないまま、転職活動へと進んでしまってはいけません。この記事では、現段階での自分の能力を見直すポイントと、自分の市場価値を見極めるための「転職の技法」についてご紹介しています。
自分に対する正確な評価をすることは難しいものです。
人がもともと自分の能力に対して過大評価をしがちな性質を持つことを認識しておくことが防止の第一歩かもしれません。
とくにミドル層は、積み重ねた経験と実績が、助長要素になりがちなので客観視を心がけてください。
等身大の自分をしっかり把握して、新天地でもしっかり活躍し、自分を高めていける転職を目指しましょう。
過小評価されてはいけませんが、自分を過大評価してしまうのも危険です。自分を客観視するためにも、周りの人とコミュニケーションを良りながら、自分の「市場での価値」を常に意識したいものです!